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コラム バックナンバー

 【「聖」という価値】
ヒトが持つ価値観のひとつに「聖」がある。この連休中にクウェート国民会議が「預言者とその家族を侮辱した者には死刑を適用」と、刑法を改正した。かつては、イスラームの預言者ムハンマドを誹謗したとして、インド人作家がイラン政府から死刑判決を受けた。その作家の著書を和訳した日本人学者は何者かに殺害された。最近では、アフガン駐留の米兵が聖典コーランを破棄したとしてオバマ大統領が謝罪した。「聖」という価値はそうして守るべきものというのが、イスラーム世界の考えなのである。

New 最首 公司  2012/05/14


 【東電会長人事を考える】
かつて東京電力会長の席は、次官クラスの大物が席を狙うなど電力と政治という側面があった。しかし、今回の人事は、民間からと考えられていたが法曹界からとなった。法曹界出身者は、経営的な観点はなくていい。また一義的には懲罰的な方向性があり、世間的納得が得やすい。しかしそれでいいのか。「現状を前に進ませるというより懲罰的でありたい」という世間の雰囲気に全体が飲み込まれてしまってはいないか。

新井 光雄  2012/05/07


 【脱原発へLNG輸入価格の引き下げ努力が肝要だ】
原発依存度を限りなくゼロに近づける一番現実的な解は、天然ガスでの代替だろう。だが、発電コストの問題がある。日本のLNG輸入価格は米国の約3倍と異常に高い。海上輸送費の負担があり、パイプライン輸送主体の欧米に比べてコスト高になるからだ。総括原価主義も問題だ。コストプラス適正利潤が認められるなら、LNG輸入価格の引き下げ努力をしなくなる。また、長期の安定供給を目的にすると価格は二の次になってしまう。脱原発へ向うには、LNG価格引き下げに真摯に取り組まなければならない。

山口 正康  2012/04/30


 【誰がまとめ役を務めるか】
東京電力は、昨年3月11日まで、10電力会社の“司令塔”という立場にあった。しかし、もはや電力業界のボスたり得なくなった。東電は電事連会長社になれないどころか、10電力会社の社長が集う総合政策委員会の一員にすらなれず、オブザーバー的な扱いに留めおかれるかもしれない。談合組織と見誤られそうな電事連など不要という考えもあり得るが、そうでないなら、関電、中電が代わってボスの役割を話さなければならない。

中瀬 信一郎  2012/04/23


 【2030年における原子力比率】
経産省の総合エネルギー調査会基本問題委員会は3月27日、2030年における原子力の電源構成比率の選択肢5案をまとめた。原子力発電比率を決定する上で重要なのは、温暖化防止対策やエネルギーセキュリティ政策の考え方だ。温暖化防止対策は、排出削減余地が大きく削減コストの低い国や地域で重点的に削減を行えば、原子力比率を高めなくてもよい。エネルギーセキュリティの面では、賦存量の少なさから、現実的には自前のエネルギー源は原子力発電しかないが、化石燃料の価格リスクの管理に徹するという考えもある。

矢島 正之  2012/04/16


【サウジで休日変更の動き】

最首 公司  2012/04/09


【評価したいイラン関連制裁回避】

新井 光雄  2012/04/02


【大震災から1年、エネルギーの何が変わろうとしているか】

山口 正康  2012/03/26


【実質国有化を回避する】

中瀬 信一郎  2012/03/19


【発送電分離】

矢島 正之  2012/03/12


【なにか変だ“イラン核疑惑”情報】

最首 公司  2012/03/05


【地熱開発の規制緩和への疑問】

新井 光雄  2012/02/27


【ブルネイLNGと田中角栄の怨念】

山口 正康  2012/02/20


【人材こそが再生のカギ】

中瀬 信一郎  2012/02/13


【電源別発電コスト試算】

矢島 正之  2012/02/06


【湾岸で存在感増す中国】

最首 公司  2012/01/30


【混沌深めるエネルギー問題の行方】

新井 光雄  2011/01/23


【これからのガス事業経営に求められるもの】

山口 正康  2012/01/16

【新電力体制の構築】

中瀬 信一郎  2012/01/02


【再生可能エネルギーの全量買取制度】

矢島 正之  2011/12/26


【結束を強化するGCC(湾岸協力会議)】

最首 公司  2011/12/19


【エネルギー問題への国民意識】

新井 光雄  2011/12/12


【反対運動に立ち往生するカナダ】

山口 正康  2011/12/05


【創立60周年】

中瀬 信一郎  2011/11/28


【総括原価方式】

矢島 正之  2011/11/21


【自然エネルギーで発電機を!】

最首 公司  2011/11/14


【石油危機を風化させるな】

新井 光雄  2011/11/07


【地元貢献を一歩進めて街づくりに協力】

山口 正康  2011/10/31


【違和感があるなぁ】

中瀬 信一郎  2011/10/24


「論理矛盾」は正しいか

矢島 正之  2011/10/17


【洪水を制する者、アラブを制す?】

最首 公司  2011/10/10


【見守りたい野田政権の原子力政策】

新井 光雄  2011/10/03


【新たなLNG輸入先として浮かび上がるカナダ】

山口 正康  2011/09/26


【さぁ、どうする、どうする】

中瀬 信一郎  2011/09/19


【脱原発の影響】

矢島 正之  2011/09/12


【「核廃絶」と「原発」を考える国際会議をフクシマで】

最首 公司  2011/09/05


【原子力の言葉にまつわる怪しさ】

新井 光雄  2011/08/29


【電力不足と超円高が加速する産業空洞化】

山口 正康  2011/08/22


【落ち着き先は?】

中瀬 信一郎  2011/08/15


【発送電分離と再生可能エネルギーの導入】

矢島 正之  2011/08/08


【Atomic carbon】

最首 公司  2011/08/01


【何か根本的におかしい菅首相の「脱原発」】

新井 光雄  2011/07/25


【米エネルギー開発業界のリーク資料が明かす「シェールガス」影の部分】

山口 正康  2011/07/18


【本物の工程表はどこにあるのか】

中瀬 信一郎  2011/07/11


【発送電分離】

矢島 正之  2011/07/04


【「アラブの春」と「日本の夏」】

最首 公司  2011/06/27


【新エネあるから原子力不要の不毛】

新井 光雄  2011/06/20


【現地でしか分からない離島「奄美大島」の悩み】

山口 正康  2011/06/13


【リスクをどう取るか】

中瀬 信一郎  2011/06/06


【我が国電気事業のインフラ輸出】

矢島 正之  2011/05/30


【新エネルギーも国家補償するの?】

最首 公司  2011/05/23


【亡霊のごとき言葉「行政指導」】

新井 光雄  2011/05/16


【電力不足が加速する産業空洞化】

山口 正康  2011/05/02


【経営トップの判断とは】

中瀬 信一郎  2011/04/25


【福島第1原発事故の海外への影響】

矢島 正之  2011/04/18


【電気の地産地消とEV】

最首 公司  2011/04/11


【エネルギー政策論議はしばし凍結を】

新井 光雄  2011/04/04


【大震災と原発事故に直面して―「足るを知る」生活を心掛けよう】

山口 正康  2011/03/28


【M9.0】

中瀬 信一郎  2011/03/21


【温暖化防止政策と市場メカニズム】

矢島 正之  2011/03/14


【アラブの新人類ネット・ベドイン】

最首 公司  2011/03/07

コラム

● 最首 公司  エネルギー・環境ジャーナリスト

 

1934年 東京生まれ
上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社(のち中日新聞と合併) 主としてアラブ、エネルギー問題を担当日本アラブ協会理事GCC研究会を主宰している。
著書 『聖地と石油の王国 サウジアラビア』、『人と火』、『水素社会宣言』など。


「聖」という価値

 ヒトが他の動物と違うのは、「真」「善」「美」という価値観を持っていること・・・とは、学校で教わり、家庭で身につけていくものだが、もう一つ大事なものは「聖」という価値だろう。
 欧米では日曜学校や教会で説教され、日本でも敗戦前までは日課とされた神棚や仏壇での供物、神社参拝、学校へ行けば拝礼殿への参拝、皇居に向かっての遥拝など、日常行事のなかで「聖なるもの」への畏敬の念が子供のころから植え付けられた。日本の豊かな自然が守られてきた底辺には、森羅万象、みな大きな力(Something great)による、という価値観があった。
 戦後、占領政策の一環として、この日本的伝統のなかで醸成されてきた価値観は、天皇制とともに破壊され、物質中心の価値観が大手を振って歩くようになり、「聖」なるもの畏敬の念が希薄になった・・・。
 と、そんなことを改めて考えさせられたのは、この連休中にクウェート国民議会が「預言者とその家族を侮辱した者には死刑を適用」と、刑法を改正したからだ。
 クウェートは保守的なアラビア半島国家群のなかにあって、比較的民主化が進んだ国と評価されている。議会も、隣接の国々が国王の指名や推薦で議員になる「諮問評議会」であるのに対し、クウェートでは選挙で選ばれ、そのために議会はしばしば首長家や政府と対立し、選挙のやり直しや組閣に手間がかかったことがある。その国民議会で上程された前述の刑法改正案が41対7で可決された、というのである。
 かつてイスラームの預言者ムハンマドを誹謗した、としてインド人作家がイラン政府から「死刑」の判決を受けて話題になった。彼はいまだに逃避行を続けているのではないか?気の毒なのは、その著書を和訳した日本人学者が何者かに“処刑”されたことだ。
 最近ではアフガン駐留の米兵が聖典コーラン(より正確にはクルァーン)を廃棄したとして、大統領が謝罪している。戦後に育った日本人には「なんでそこまで・・・」と思うかもしれないが、「聖」という価値はそうして守るべきものというのが、イスラーム世界の考えなのである。
 「アラブの春」は長期独裁政権を倒す、という前向きの顔を見せると同時に、独裁政権に都合よく利用されてきたイスラームの価値を根源的に見直すという動きをも触発している。この動きは中東に限らず、アフリカや東南アジアのイスラーム世界でも起きている。イスラーム国57カ国が加盟する「イスラーム諸国連合」(OIC)は、国連に次ぐ一大国際組織である。私たちは、改めて「聖」なる価値を見直す必要に迫られている。5月9日記

コラム

新井 光雄  ジャーナリスト

元読売新聞・編集委員。エネルギー問題を専門的に担当。
現在、地球産業文化研究所・理事 日本エネルギー経済研究所・特別研究員、総合資源エネルギー調査会・臨時委員、原子力委員会・専門委員
大正大学非常勤講師(エネルギー論)。
著書に 「エネルギーが危ない」(中央公論新社)など。
東大文卒。栃木県日光市生まれ。

最首 公司  エネルギー・環境ジャーナリスト

1934年 東京生まれ
上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社(のち中日新聞と合併) 主としてアラブ、エネルギー問題を担当日本アラブ協会理事GCC研究会を主宰している。
著書 『聖地と石油の王国 サウジアラビア』、『人と火』、『水素社会宣言』など。

矢島 正之  慶應義塾大学大学院教授

1947年 生まれ
国際基督教大学大学院卒、電力中央研究所に入所。
現在、同研究所研究顧問、慶応義塾大学大学院商学研究科特別招聘教授。
専門は公益 事業論、電気事業経営論。著書に、「電力自由化」「世界の電力ビッグバン」「電力改革」など

中瀬 信一郎  ジャーナリスト

毎日新聞社で経済部、政治部記者など
有料衛星放送のWOWOW取締役。昭和50年代初めにエネルギー業界を担当したことから、現在に至るまで電力業界を中心に取材を続けている。
一橋大経済学部を1964年卒、東京出身

山口 正康  ジャーナリスト

1935年 生まれ
東京大学文学部卒、毎日新聞社入社、経済部編集委員、編集局次長などを経て、ガスエネルギー新聞常務取締役編集局長、仁愛大学教授などを歴任。
著書に「LNGチェーン物語」「新聞の歴史をたどる」など

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