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コラム バックナンバー

 【2030年における原子力比率】
経産省の総合エネルギー調査会基本問題委員会は3月27日、2030年における原子力の電源構成比率の選択肢5案をまとめた。原子力発電比率を決定する上で重要なのは、温暖化防止対策やエネルギーセキュリティ政策の考え方だ。温暖化防止対策は、排出削減余地が大きく削減コストの低い国や地域で重点的に削減を行えば、原子力比率を高めなくてもよい。エネルギーセキュリティの面では、賦存量の少なさから、現実的には自前のエネルギー源は原子力発電しかないが、化石燃料の価格リスクの管理に徹するという考えもある。

2012/04/16


 【発送電分離】
政府や経産省は、発送電分離の議論で「機能分離」案を軸にした検討に入った。「機能分離」は、欧米でいう独立系統運用者(ISO)の設立を伴うが、これは、新たに独占的で官僚的な組織が生まれることを意味する。ISOは、送電部門のエンジニア主体の組織であるため、信頼度の観点から、系統への第三者アクセスについて認めないかもしれない。また、資産を有していないので、系統の新設や増強について、系統の所有者との間で対立が生まれる可能性もある。

2012/03/12


 【電源別発電コスト試算】
政府は昨年12月に、原子力発電のコストを2004年に提示した5割増しの8.9円/kWhと算定した。環境汚染による損害という負の外部性を算入したからだが、原子力には地球温暖化防止やエネルギーセキュリティの観点による正の外部性もある。石油危機の際、原子力は、石油の代替電源として国民経済の影響を軽減してきた。再生可能エネルギーでは稼働率が低く、エネルギーセキュリティは改善しない。

2012/02/06


【再生可能エネルギーの全量買取制度】

2011/12/26


【総括原価方式】

2011/11/21


「論理矛盾」は正しいか

2011/10/17


【脱原発の影響】

2011/09/12


【発送電分離と再生可能エネルギーの導入】

2011/08/08


【発送電分離】

2011/07/04


【我が国電気事業のインフラ輸出】

2011/05/30


【福島第1原発事故の海外への影響】

2011/04/18


【温暖化防止政策と市場メカニズム】

2011/03/14


【欧州における電気事業への増税の動き】

2011/02/07


【ドイツにおける再生可能エネルギー発電支援コストの増大】

2010/12/27


【市場の失敗と市場の障壁】

2010/11/22


【再生可能エネルギー電源の増大と卸電力市場】

2010/10/18


【再生可能エネルギー電源の促進と構造問題】

2010/09/13


【再生可能エネルギー電源の促進】

2010/08/09


【総合エネルギー企業】

2010/07/05


【省エネルネサンス】

2010/05/31


【最近における英国の電力政策】

2010/04/19


【FIT vs. RPS】

2010/03/15


【歴史は繰り返す?】

2010/02/08


【EUにおける炭素税導入の動き】

2009/12/28


地球温暖化問題とエネルギー・セキュリティ

2009/11/23


固定価格買取制度 ―ドイツになにを学ぶか―

2009/10/19


原子力ルネサンスとポリティカルリスク

2009/09/14


米国における電力政策の変化

2009/08/10


再生可能エネルギー発電の飛躍的増大がもたらすもの

2009/07/06


コラム

● 矢島 正之  慶應義塾大学大学院教授

 

1947年 生まれ
国際基督教大学大学院卒、電力中央研究所に入所。
現在、同研究所研究顧問、慶応義塾大学大学院商学研究科特別招聘教授。
専門は公益 事業論、電気事業経営論。著書に、「電力自由化」「世界の電力ビッグバン」「電力改革」など


電源別発電コスト試算

 政府のエネルギー・環境会議のコスト等検証委員会は、昨年12月13日に、原子力発電のコストは、最低でもkWh当たり8.9円と算定し、2004年の試算よりも約5割高いとする報告書案を示した。原子力発電所の廃炉や事故による賠償費用を考慮すれば 火力並みになるとするとともに、太陽光発電などの再生可能エネルギー電源は、技術革新などでコストが大幅に低下すると指摘した。一部報道では、東京電力の福島第1原発事故に伴う廃炉や賠償費用が確定すれば原発コストはさらに上昇し、 火力の約10円と並ぶことがほぼ確実と伝えている。 このコスト等検証委員会の成果を踏まえ、政府は、エネルギー源毎の短期・中期・長期の導入可能量の評価やエネルギー源毎の電源構成における役割などについて、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で検討中である。
 今回の電源別コスト試算の特徴は、原子力発電のコストに環境汚染による損害という負の外部効果を算入したことである。これにより、原子力発電の「本来のコスト」が明らかになったとの報道もあるが、果たしてそうであろうか? 原子力発電にはコスト算入すべき負の外部性が存在していることは確かだが、正の外部性も存在している。温暖化防止の観点からの正の外部性は、CO2対策費用が化石燃料電源コストに加算されているため、考慮されていると言えるだろう。考慮されていないのは、エネルギーセキュリティの観点からの正の外部性である。1970年代に2度の石油危機が発生し、日本経済は大きな影響を受けた。しかし、2000年以降、石油価格の高騰が何度かあったものの、国民経済に深刻な損害はもたらしていない。 その理由は、石油代替電源、とりわけ原子力発電や省エネで石油に対する需要を大きく減少させてきたからにほかならない。このような努力を怠っていたならば、石油価格高騰の程度は大きくかつ頻繁であり、石油価格の高騰の国民経済に及ぼす損害は大きかったに違いない。また、世界的なレベルで原子力発電の開発や省エネを進めてきたことがOPEC諸国に対する需要を減じ、その市場支配力の行使に歯止めをかけてきたといえる。言い換えれば、原子力発電の開発は化石燃料高騰による国民経済への影響を軽減させてきたという正の外部性をもっている。 原子力のコストには、負の外部性だけでなく、このような正の外部性を考慮すべきである。再生可能エネルギーの開発も化石燃料に対する需要を減少させるが、稼働率が低いため、その開発量にほぼ見合った化石燃料電源も同時に開発していかなくてはならず、エネルギーセキュリティは改善するどころか悪化してしまう。実際、原子力発電の早期閉鎖を決めたドイツでは再生可能エネルギー電源に期待をかけているものの、ガス火力の大幅な増大がガスの輸入依存度をさらに高めることになると懸念されている。

コラム

新井 光雄  ジャーナリスト

元読売新聞・編集委員。エネルギー問題を専門的に担当。
現在、地球産業文化研究所・理事 日本エネルギー経済研究所・特別研究員、総合資源エネルギー調査会・臨時委員、原子力委員会・専門委員
大正大学非常勤講師(エネルギー論)。
著書に 「エネルギーが危ない」(中央公論新社)など。
東大文卒。栃木県日光市生まれ。

最首 公司  エネルギー・環境ジャーナリスト

1934年 東京生まれ
上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社(のち中日新聞と合併) 主としてアラブ、エネルギー問題を担当日本アラブ協会理事GCC研究会を主宰している。
著書 『聖地と石油の王国 サウジアラビア』、『人と火』、『水素社会宣言』など。

矢島 正之  慶應義塾大学大学院教授

1947年 生まれ
国際基督教大学大学院卒、電力中央研究所に入所。
現在、同研究所研究顧問、慶応義塾大学大学院商学研究科特別招聘教授。
専門は公益 事業論、電気事業経営論。著書に、「電力自由化」「世界の電力ビッグバン」「電力改革」など

中瀬 信一郎  ジャーナリスト

毎日新聞社で経済部、政治部記者など
有料衛星放送のWOWOW取締役。昭和50年代初めにエネルギー業界を担当したことから、現在に至るまで電力業界を中心に取材を続けている。
一橋大経済学部を1964年卒、東京出身

山口 正康  ジャーナリスト

1935年 生まれ
東京大学文学部卒、毎日新聞社入社、経済部編集委員、編集局次長などを経て、ガスエネルギー新聞常務取締役編集局長、仁愛大学教授などを歴任。
著書に「LNGチェーン物語」「新聞の歴史をたどる」など

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