中瀬 信一郎 ジャーナリスト
ジャーナリスト毎日新聞社で経済部、政治部記者など有料衛星放送のWOWOW取締役。昭和50年代初めにエネルギー業界を担当したことから、現在に至るまで電力業界を中心に取材を続けている。一橋大経済学部を1964年卒、東京出身。
トランプ新大統領にかこつけて (2017/01/30)

 私の原稿は──エネルギーフォーラム社のご注文に従えば──電力業界に関するあれこれ、ということになっている。
しかし、今回はその路線をいささか逸脱して、米国のトランプ新大統領についてちょいと物申させてもらいたい。

 彼のツイッターは物議を醸してばかりいるが、そのひとつがメディアへの露骨な物言いだ。自身に好意的な論評の多いテレビ、たとえばFoxNewsは褒めちぎる。批判的なNBC、CNNに対しては、報じる中身を“ウソ”の一言で切り捨ててしまう。嘘の論拠は示さない。ニューヨークタイムズ紙に言及する時は、failing@nytimesと表記する。failingにどんな意味を込めているのか分からないが、悪意が滲んでいることは確かだろう。
 「第4の権力」と標榜するのにふさわしいメディアがどれくらいあるか、と問われると、いささか答えに詰まる。大方はただ書き流しているだけの記事が多かろう。それでも右から左まで、精粗まちまちではあるが、多様な判断材料を提示してくれる独立したメディア群が存在することは、民主社会にとって不可欠ではないか。
 ツイッター上の宣言によれば、トランプ政権は単純な2つのルールで律されるのだそうだ。いわく、アメリカ製品を買え、アメリカ人を雇え。
 GMやトヨタなどの自動車メーカーに、メキシコで製造するな、米国内の従業員を増やせ、さもないと国境税をかけるぞ──と平然とツイートできるのは、そのルールを金科玉 条にしているからだろう。
・・・でも、これ、恐喝じゃない?これが自分の政策だ、従わなければ痛い目に遭うぞと言っているに等しいからだ。多様な意見を多角的に議論し、合意を得られたものが議会で法になる──その手続きを無視しているからだ。さはさりながら、世界最強の国の大統領になる人にこんな事を言われれば、メーカーが頭を下げるのも無理からぬことではあるが。

 で、以降は牽強付会の議論と言うかもしれぬが、青息吐息の東京電力が“倒産しないこと”を恩着せがましく掲げ、それをエサにして電力業界の再編・統合を進める経済産業省も、トランプ政権と似ていませんかね。
記事一覧
2017/03/06
原子力御三家の覚悟は?
 東芝・日立製作所・三菱電機。その3社の最近の株価をみると、トップは三菱電機、次いで日立、東芝は大差のドン尻だ。東芝の転落は、東芝だけの問題では止まらない。東芝は、11年前に約6000億円の高値で買収して子会社化した米ウエスチングハウスの統制がうまくいかず、巨額損失で足を引っ張る始末。他の2社にしても、日立は米ゼネラルエレクトリックと合弁で日立GEニュークリア・エネジーを設立し、原子力事業を本体から切り出している。三菱重工業は仏アレバの要請で300億円出資することになったが、経営難のアレバと組むことにどれだけのメリットがあるのか不透明だ。
2017/01/30
トランプ新大統領にかこつけて
 「アメリカ製品を買え、アメリカ人を雇え」という単純なルールで政権を語る米国トランプ大統領のツィッターが物議を醸している。「これが自分の政策だ、従わなければ痛い目に遭うぞ」と言っているのは恐喝に違いない。多様な意見を多角的に議論し、合意を得られたものが議会で法になるという手続きを無視しているからだ。しかし、トランプ氏は世界最強の国の大統領。メーカーが頭を下げるのも無理からぬことではある。
2016/12/26
なんのための再編・統合
 経産省は12月9日、東京電力の賠償・除染・廃炉費用などが21兆5000億円になるという試算を出した。うち15兆9000億円を東電が負担するという。そのようなお金はどこからひねり出してくるのか。中部電力との合弁会社JERAの設立、原子力と送配電部門の共同事業者構想。東電再建と原発存続をテコに電力業界の再編・統合を進めようとする経産省の真意が見えてくる。
2016/11/21
東電を人質にして
 経産省は10月、有識者会合に提示したシナリオの中で、東京電力が本社が担っている原発事業の分社化を打ち出した。一方、関西電力、九州電力、中国電力、四国電力、北陸電力も同月、廃炉や事故時の対応で協力することで合意した。これらには大きな違いがある。前者は官、後者は民がリーダーシップを握ろうとしていることだ。自由化と言いながら、官の規制が次々に増している。
2016/10/17
そんなゆとりはありません?
 日本は、2回の石油ショック後、日本はエネルギー安全保障強化の一環として原子力開発に取りくんできた。その具体的な表れが、商用炉としてき軽水炉を採用しつつ、将来に備えプルトニウムを活用する実験炉「常陽」と原型炉「もんじゅ」の自主開発を行うことだった。別の炉である「ふげん」は、天然ウランやMOX燃料など核燃料の多様化を追求した。使用済み燃料からプルトニウムを抽出する再処理工場の建設も、自前の核燃料サイクルの構築を目指した。その自前主義が今ついえようとしている。ロシア、インド、中国は、高速増殖炉を2020年~40年ごろに実用化すると高言しているのだが。
2016/09/12
知事に振り回される
新潟県の泉田知事が8月30日、知事選の不出馬を表明した。泉田氏は福島第一原発事故後、検証・総括なしに柏崎刈羽原発再稼働の議論はしないとかたくなな姿勢を貫き通していた。また、鹿児島県では、7月10日に当選した三反園訓知事が、再稼働した川内原発に一時停止を求めた。一方、沖縄県の翁長雄志知事は、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設に徹底反対して、県民の圧倒的支持を確保した。そして小池百合子都知事は都政の透明化、五輪費用の検証などを主張して選挙に勝つと、まずは目前に迫った築地市場の移転を延期してみせた。耳目に触れやすいテーマを掲げて人気を得る“劇場型”地方自治が当世流なのだろう。
2016/08/01
覚悟も新たに
 4月に公表された関西電力の「中期経営計画」は、同社の10年後の姿が描かれている。これによると、2025年度のグループでの経常利益は3000億円以上。うち3分の1は、「不動産・暮らし」「情報通信」「国際」の3事業で稼ぎ出すという。振り返れば、10年に発表した「関電グループの長期成長戦略2030」では、20年後の経常利益を4000億円にする目標を掲げていた。目標値が下がったのは、福島第一原発事故によることが大きいが、実際に実現可能性はあるのか。その真意は、経営計画に何度も出てくる「挑む。」という言葉に表れているだろう。地域独占の公益事業という自己規定は、既に過去のものとなりつつある。
2016/06/27
脱原発は票になる?
 7月10日の参議院選挙に向け、各党の公約が出そろった。福島第一原発事故から5年が過ぎたが、野党に限らず公明党も原発を叩くことで票を稼げると思っているようだ。とはいえ、今回の争点は、憲法改正や安全保障法制の是非、アベノミクスの成果など、テーマが多岐に渡り、原子力の比重は軽くなりつつある。こうした流れの中で、原子力を冷静に考える雰囲気が少しずつ醸成されてきているのであればよいのだが。
2016/05/23
制度いじりの結末
 都立高校の格差をなくす学校群制度が1967年に導入された。これで都立高が全体的にレベルアップしたのであればよいのだが、実際はレベルダウン。結果として、中・高一貫教育の私立高が東大合格者数の上位を独占するようになり、塾通いも小学生からが当たり前になった。14年後同制度は廃止されることになり、今や東京都は、都立高の中から進学指導重点校を選定し、東大合格者をかつてのように増やそうとしている。
2016/04/11
割れる司法
 3月に大津地裁が「安寧の基礎と考えるのはためらわれる」として、関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを決定したら、4月になり福岡高裁宮崎支部が「不合理とは言えない」として、九州電力川内原発1、2号機の運転差し止めを棄却した。裁判官の“胸三寸”といったところだろう。類似案件の判例が積み重なると自ずと胸三寸の幅は限定されてくる。ただ、新規制基準も3年前にできたばかりだから判例が数少なく、司法の判断が割れるのもごもっともだ。電力業界は、既に安全対策に費用を2.2兆円費やした。にもかかわらず、火山噴火時の対策や避難計画など課題が残る。原発はやめようにもそう簡単にはいかない。
2016/03/07
いつまで続く叩き合い
 4月に開始される電力小売り全面自由化を受け、沿線の居住者を対象にした東急電鉄や、ガスと電気のセット販売を売りにする東京ガスなど、異業種による電力サービスの提供が盛んになってきている。受けて立つ東京電力はどうか。新たに設定した4プランを検針員がパンフレットとして配るのはよいが、カスタマーセンターに電話をかけたら、説明が素人だった。約200社の新電力が参入しているのだから、競争が激化するのは至極当然だ。ただ、電気は差別化が難しい上、効率化となると発電所の規模により左右される。大規模になればなるほど初期投資が巨大になるし、立地にも時間がかかる。いずれは多くの参入者が淘汰されていくだろう。
2016/01/25
自由化とプライド
 地域独占や総括原価の特権と安定供給の責務を負った9電力体制が整った1951年、ある電力トップは、「うまくいって30年の寿命だろう」と思っていたという。それは、東京や関西、中部などの3電力会社と比較してほかの電力会社は、需要密度が小さいため、原価高の圧力にさらされるからだ。しかし実際にそうはならなかった。その大きな要因は、業界のリーダーである東京電力が、体制護持のための「料金設定」を続けたからだ。東電も、原発建設のため多大な投資を行わなくてはならず、各電力の資金が豊かであることが必要だった。自ずと多く売り、たくさん儲けることが目標になる自由化では、このような協力体制を取ることが難しくなる。
2015/12/07
「もんじゅ」廃炉の行く末
 原子力規制委員会は11月13日、高速増殖炉(FBR)の原型炉「もんじゅ」の開発に当たっている日本原子力研究開発機構を、別の運営主体に替えるよう文部科学省に勧告した。しかし、機構に替わって開発を引き受け、実証炉、実用炉まで進められる組織は見つけられそうもない。考えられる方策は、「もんじゅ」を使用して超ウラン元素の核種変換を研究するなど従来路線を維持することだが、それができなければ、廃炉しかない。廃炉になれば、燃料にプルトニウムを利用するより安価な低濃縮ウランを使った発電が可能になるが、エネルギーセキュリティは脆弱になってしまう。
2015/10/26
チームワークでいこう
 米国の火力発電から生じるCO2の削減目標設定や、英国の既存石炭火力発電所の閉鎖検討など、「石炭火力発電はNo」という声が、欧米諸国で高まってきた。特に米国は、石炭火力ブラントの輸出にまで目をつけ、融資を規制しようとしている。しかし、世界の電気の4割は、石炭火力によって生み出されている。最も安価で産地が広がっているのは石炭だ。石炭ガス化複合発電(IGCC)や石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)などの高効率発電技術もある。エネルギーは、原子力、石炭、石油、再生可能エネルギーなど、「チームワーク」で考えるべきではないか。
2015/09/07
現場はどう見ているか
 福島第一原発事故から4年半が経ち、東京電力の関係者に理不尽な言葉を浴びせることが少なくなってきているらしい。ある時、新電力から買電しているマンションの住民の変圧器が故障して、停電が発生した。急いで新電力に電話してもすぐには駆けつけてくれない。思いあぐねて東電に電話をしたら、ただちに駆けつけ無料で修理してくれたという。このようなことの積み重ねが、“東電憎し”の思いを、薄皮をはぐように癒しているのかもしれない。
2015/07/27
うまくいくのだろうか
 電気事業法の第3弾が6月参院本会議で設立し、送配電部門の法的分離が決定した。経産省としては、寡占体制の電力市場に新規参入事業者を招きいれ、競争を通じて効率化し、電気料金を安くしようというのが建前。本音は、厳しい競争の中ほとんどの事業者が淘汰され、生き残った2~3社が電気に加えガスや石油も包含した総合エネルギー企業になり、グローバル展開するという夢を抱いているのではないか。
2015/06/15
原子力の復権?
 現在政府が提示している2030年の電源構成案は、原子力の比率が20~22%となっている。しかし、48基ある原発のうち30年末で運転40年未未満のものは、建設中の中国電力島根3号機、電源開発大間原発を加えても20基。それらが70%の稼働率で運転されても、30年の予想発電量1兆kWhの15%だ。40年超の運転延長を認められる原発、あるいは新設する原発を何基か勘定に入れないと、20~22%の達成が出来ないわけで、つまりは、原子力の復権をめざした内容といえる。
2015/04/27
自由心証主義ですか
 司法の場で、180度異なった判断が出た。福井地裁は14日、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分を決定した。一方、鹿児島地裁は22日、九州電力川内発電所1、2号機の再稼働差し止めの申し立てを却下した。福井地裁の裁判官の立論は、素人が見ても粗雑に思える。電源喪失が5時間経つと、炉心損傷に陥るなどの事実誤認に加え、昨年5月の関西電力大飯原発3、4号機では、「人格権」という定義も対象も不明確な権利を振りかざしたからだ。なぜか。多分裁判官の能力や公正さなどへの信頼の礎となる「民事訴訟法第247条」を金科玉条にしているからではないか。だからといって、恣意的判断がまかり通っていいはずはない。
2015/03/16
自由化の中での原発
 電力自由化のメリットは何か。政府は、地域独占と総括原価主義に甘えてきた9電力体制の解体し、新規参入者を含めた市場の競争により、3E(効率、環境、エネルギー安全保障)+S(安全)を実現することだとしている。現実的にみれば、LNG(液化天然ガス)や石炭の超臨界圧火力発電などで電力の安定供給を支えるといったところだろうが、国富の流出は免れない。私見を述べれば、原子力が日本のエネルギーの大宗を占めてもらいたい。しかし、原子力は、初期投資や事故損害の大きさなどを考慮に入れると、自由競争環境下では危うい。民主導で官がサポートする形になるはずだ。
2015/02/09
流されて自由化
「電力システム改革の構築に向け、積極的に協力していく。しかし、送配電部門の分離には、課題や懸念が残されている。まず発送電分離を補完する仕組みやルールの整備。次に需給安定化に向けた原発の再稼働や原子力事業環境整備の具体化が必要だ」。1月の定例記者会見で、電気事業連合会の八木誠会長はこう述べた。はっきりしているのは、既存の10電力会社が発・送・配電を垂直統合した一貫体制を、不承不承ながらあきらめたということだ。ただ、この自由化の流れは、福島第一原子力発電所事故に源を発し、十分な議論を尽くされたわけではない。
2014/11/25
原子力をめぐるあれこれ
 IEA(国際エネルギー機関)の事務局長が、総合エネルギー調査会基本政策分科会の場で日本の2040年のエネルギーベストミックスについて言及し、「メーンは火力に置き、原子力21%、再生可能エネルギー(水力含む)32%にするのがよい」と指摘した。同時に「原発ゼロを選択する安全保障上のリスク」「燃料輸入額の増高」「CO2増加」「再生可能エネルギーの国民負担増」の課題があるので、バランスの取れたエネルギーの組み合わせをすべきだとも忠告した。忠告の下書きは、IEAに出向している日本人職員が書いており、その後ろには経産省がいるはずなので、来春以降に策定されるエネルギーベストミックスは、常識的な線に納まりそうだ。
2014/10/20
もっと利益を!
 50年ほど前、電気事業連合会の3常務が東京電力の平岩外四氏、関西電力の小林庄一郎氏、中部電力の田中精一氏だったころは、皆が歩調を合わせていた。それゆえ、第一次、第二次オイルショックへの対応や原子力への注力などの連携プレーがうまくいった。翻って今の電力業界のトップの間には、そのような信頼関係がないように見える。電力自由化で厳しくなる競争の中で各社はどうやって生き残るかを考えなければならないからだ。政治家や官僚など大方は、それが自由主義経済の当然あるべき姿、と言う。しかし、本当に電力小売りの自由化、送電網の広域活用、発電部門の分離独立の3点セットが国民経済的に有効なのだろうか。20年後にその答えが出る。
2014/09/15
再処理は官僚に任せるには余りに重大すぎる
 総合エネルギー調査会(経産相の諮問機関)原子力小委員会の中で、株式会社である日本原燃を認可法人にしてはどうかという意見が出始めてきた。国が関与すれば同社に出資する電力会社のリスクは軽減されるかもしれない。しかし、故・平岩外四(東京電力社長、会長、経団連会長)は、再処理を官に近い公社で行うことに対し、「原子力発電は民営で取り組んできたのだから、再処理も民でやるべきだ。カネがかかるから、それは官に委ねるという発想は自分にはない。もし再処理を官に委ねたら、原発も官に、ということになりかねない」と話していた。
2014/08/04
電力自由化論のおかしさ
 3・11以降に唱えられている電力自由化論は、明らかに以前のそれとは異なっている。その代表例が来年4月に設立される「広域的運営推進機関」だ。同機関の業務は、「需給計画・系統計画の取りまとめ」「周波数変換設備など送電インフラの増強」「需給ひっ迫時の電力融通・電源の焚き増し」など。これだけの権限があれば、電力会社の経営に手を突っ込むこともできる。しかも、機関の中立性を守るという大義名分で、電力マンは会社を辞めなければ役員になれないらしい。果たして電力インフラの商売は、電力会社以外の機関でできるのだろか。
2014/06/30
これで社員はついてきますか
 1月に認定された東京電力の新たな総合特別事業計画に、50歳以上の社員を対象にした1000人規模の希望退職が盛り込まれた。結果は、募集を1割以上上回ったそうだが、会社側が対象者をランク付けして実質的な肩たたきを行ったというのがもっぱらの噂だ。その中には、ベテラン管理職の定年も含まれる。これまでは、東電の課長クラス以上だと、57歳で役職定年になり、その後は子会社に天下るのが通常だった。今は、もし残るならば、福島専任の道しか残されていない。
2014/05/26
どこまで本気か
 ソ連と米国がキューバのミサイル基地をめぐり激しく対立した1962年のキューバ危機では、米国のケネディ大統領がキューバに侵攻せずその周辺を海上封鎖して核戦争を回避させた。時が過ぎ今年4月、オバマ大統領は日本、韓国、マレーシア、フィリピンを訪れ、アジア重視のリバランス政策をアピールした。しかし、中国はその実効性を”瀬踏み”しているようにみえる。日本の安全保障の基盤は、日米安保に依拠している。エネルギー安全保障や原子力への取り組みなど、米国とのかかわりを長期的な視野で見ていく必要がある。
2014/04/21
往時茫々
 エネルギー基本計画が11日に閣議決定されたが、メディアは、「数値目標がなく問題の先送りだ」「3・11の反省はどこへいった」「これではエネルギーの安定供給に不安」などと主張し、政府にかみついている。茂木敏充経産相は、数値目標の決定時期について「2・3年かからない」と述べているが、本当に決められるのか。ある電力マンが言っていた。「昔と違って、将来を考える政治家がいなくなった」。月に数回、政治家官僚OBなどと一杯やりながら、もっぱら相手の話を聴くことに徹していると、見えてくることもあるらしい。
2014/03/17
昔より環境は厳しいのに
 1973年の第一次オイルショック時、日本の総発電量の76%は、化石燃料から生まれていた。その後、中東依存の脆弱性を改善するため、準国産エネルギーである原発に注力し始める。その努力の結果、福島第一原発事故が起こる前の2010年度の化石燃料は62%まで低減。原発比率は29%になった。しかし、事故後の2012年度は原発が全期停止し、依存度が88%まで跳ね上がった。原発が怖いからといってエネルギー安全保障は確保できるだろうか。次世代に恨まれないよう、じっくり考えねばならない。
2014/02/10
「Politically Correct」なんだって
 東京都知事選は、2月5日時点で、舛添要一元厚労相がリードし、細川護煕元首相が追う展開にある。実際、“脱原発”を最大の争点にしようという細川陣営の作戦は、世論調査などを見ると、功を奏していないように思える。都民の原発やエネルギーに対する関心は、景気や雇用、医療・福祉の次に位置するからだ。しかし、原発は直ちに、または徐々に減らして最終的にゼロにするという声は7割を占める。それゆえ候補者は、内心はどうであれ、原発容認と見られないように身づくろいしなければならない。それがPolitically Correct(政治的に正しい選択)だといえそうだ。
2014/01/09
いかがいたしますか。
 電力事業を振り返ると、1951年、年中停電する電力事情の改善するため電力9社体制が誕生。73年には、第一次オイルショックの影響からエネルギーセキュリティの観点から、準国産エネルギーとしての原子力発電の普及が進み、国策民営路線が確立された。95年から始まった電力自由化は、経営効率化による電気料金抑制を目指したが、中途半端に終わった。福島第一原発事故以降は、脱原発、再生可能エネルギーの導入、発送電分離が声高に唱えられたが、最近になり、不安定で割高な再生可能エネルギーの不安や火力発電の焚きましによる国富の流出の懸念から、安全基準を満たせば原発の再稼働をしてもよいという声が広く聴かれるようになってきた。あなたは今、どう判断しますか?
2013/11/25
見えてきたこと
 13日に成立した改正電気事業法や、自民・公明両党の東日本大震災復興加速化本部が11日に提出した福島復興加速化案により、日本の電力業界の行方が見えてきた。法改正に伴い関西電力や中部電力が首都圏への進出を目指す一方、東京電力は、持ち株会社プラス分社化という形で電力会社のモデルケースになろうとする。もっともらしげな方向に向かっているようだが、自民党政権になってから既に11カ月が過ぎている。
2013/10/21
電力業界のマジノ線
 電気事業法改正案が臨時国会に提出された。3・11以降、悪いのは地域独占、総括原価に守られた電力業界。だから、電力自由化という大義名分の下、脱または縮原発、再生可能エネルギーの大幅な導入、スマート・グリッドの採用などが当然視される。しかし、広域系統運用機関の新設、電力小売の自由化、発送電の分離という大枠は変わらないだろう。実質国有化された東電は別として、他の電力会社はこうした状況にどう対応するつもりなのか。
2013/09/17
仏の顔は1回限り
 ブエノスアイレスで行われた2020年夏のオリンピックの最終プレゼンテーションで安倍晋三首相は、福島第1原発から漏れている放射性汚染水について「完全に問題ないものにする」と約束した。順調に廃炉作業が進めば、東京オリンピックが開かれているころには、1、2号機の溶融核燃料の回収が行われているはずだ。招致が決まった翌日、東京地検は、業務上過失致死傷などの容疑で告訴・告発されていた東京電力の勝俣恒久前会長、菅直人元首相ら42人を不起訴処分にした。しかし、今後万一の事故に遭えば、同様の“赦免(しゃめん)状”は期待できない。
2013/08/05
期待するのはよいが
 7月の参院選に大勝し、政権基盤を固めた安倍晋三内閣は、どんなエネルギー政策を打ち出してくるのか。福島第一原発事故以降、各電力会社は、地域独占に甘え、経営努力を怠っている企業として認められるようになったものの、「安全が確認されれば原発の再稼働を認めよう」という声が、自民党から漏れ伝わってくる。しかし、かつてのように、電力マンと政治家の間に長い付き合いの中から生まれる「彼の言うことなら間違いあるまい」という信頼関係があるようには思えない。
2013/07/01
すべては参院選の結果待ち
 国会の最終日、電気事業法改正案が廃案に追い込まれた。生活の党などの野党3党が提出した安倍晋三首相に対する問責決議に、民主党が相乗りしたからだが、廃案となれば、どこかを修正しなければならない。福島第一原発事故を受けての電力システム改革ならば、改正案にいくら”待った”をかけたくても、政治もメディアも聞く耳をもってくれない。加えて、エネルギー基本計画の策定もままならないままなら、「2020年まで結論を先送りしましょう」となるのも不思議ではない。結局、7月の参院選の投票が終わるまでは、面倒な話は休戦ということになるのだろうか。
2013/05/27
どっちもどっち
 原子力規制委員会の審査の進め方に違和感がある。電力会社側が原発の直下、近傍に活断層はないと主張している中で、規制委は活断層だと認定する構えを崩そうとしないからだ。自らの判断は正しいという自信があるのだろう。しかし、電力会社に反論の機会を与えない、あるいは、機会は与えても時間が過ぎたら規制委の委員も事務局員も席を立ってしまうというのはいかがなものか。ただ、そんなやり方に怒り心頭に発している電力会社も、規制委に行政訴訟を起こそうという気構えはなさそうだ。規制委ににらまれて原発の再稼働が遅れたら、元も子もないということなのだろうが。
2013/04/22
英雄待望論ではないが
 第二次石油ショックがあった1980年。電力9社による電気料金の値上げ申請幅は、平均64.4%だった。当時電気事業連合会会長だった平岩外四氏は、大平正芳首相と直接会談したがうまく話が折り合わず、歴代の首相福田赳夫氏や田中角栄氏を訪れ交渉を重ね、最終的に平均50.83%の値上げに落ち着いた。当時の一幕を知る人は「あのころの政治家にはワルがいてね。でも、ワルだから決断ができた」と振り返る。政府の電力システム改革専門委員会は、昨年から12回の議論を経て2月に今後の電力自由化についての報告書を取りまとめた。一方、エネルギー基本計画を審議する総合部会は、一昨年10月から33回も検討を重ねたものの、報告書は未完成のままだ。
2013/03/18
こんな男がいた
昨年9月に他界した東京電力元副社長の依田直氏。電力業界を離れた後も「昭和50年以降は原子力にすばらしい技術者がいない」「今の東電の経営者は、自分が何をしていのか大志をいだくことがない」「不祥事などの発生原因を本当に知っているのは、下請けの下請けの、そのまた下請けだ」などを語り、常に厳しい目で電力業界をみつめていた。
2013/02/12
黒か白かで大丈夫?
「科学者の倫理はどうなっているのか」。日本原子力発電の敦賀原発2号機の直下に活断層が走っているかどうかを審査する原子力規制委員会への疑問だ。原子力事業者が活断層ではないと完全に証明しない限り、原発の再稼働・新増設は認めないという判断は、安全を唯一の価値基準にして「黒か白かの論理」だけで物事が進められているように見える。
2013/01/07
これで良いんですかね
昨年12月の衆院総選挙で自民党が圧勝したが、自民党の選挙公約に掲げられたエネルギー政策は、「原発の稼働は3年内に結論を出す」、「ベストミックスは10年かけて考える」など、かなり腰が引けている。そんな中、原子力規制委員会は、脱兎の勢いで、活断層の判断を下している。実質的な“脱原発”が着々と推し進められている。
2012/11/26
歴史のイフ
原子力安全推進協会が11月15日に設立された。電力会社、原子炉メーカーなど123社により構成された組織だが、前身の日本原子力技術協会は、運転や補修などの共通ルールをまとめようとしても、原発を持つ電力会社から情報を集められず苦労した。もし機能していたら、津波対策としての非常用ディーゼル発電機などの設置場所が改められ、全電源喪失は防げたかもしれない。
2012/10/22
言霊の幸ふ国
枝野幸男経産相の発言を受け、中国電力の島根3号機、電源開発の大間原発、東京電力の東通1号機の工事再開が認められたが、枝野経産相が10月に出版した著書には「原発国有化」が主張されている。「事故のコスト負担を考えれば、原発は民間企業に任せられない。しかし、民間企業が原発で利益を挙げ、リスクだけ国が負担するのはおかしい」をいうわけだ。でもアメリカはそうしている。
2012/09/17
可哀そうな将来世代
政府のエネルギー・環境会議では、原発の発電比率をゼロにすると、GDPや就業者数が減少し、貿易収支も赤字になると試算している。しかし、民主党のエネルギー・環境調査会は「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という方針をまとめた。GDPの2倍を上回る国家債務の償還や高齢者年金の負担に加え原発ゼロ。将来世代のダメージは大きい。
2012/08/06
化外の民ですか?
政府が設けた意見聴取会で、電力会社の社員の発言がやらせではいかと批判が出た。その後、政府は電力会社の意見表明を認めないことにしてしまった。しかし、日本国憲法は第21条で「一切の表現の自由は、これを保障する」と規定している。なぜマスコミは、政府のやり口を批判しないのだろう。
2012/06/26
歴史観のない言葉遣い
6月20日に成立した原子力規制委員会の設置法に「安全保障」の文言が加わった。原子力の研究・開発・利用は「平和目的に限る」とされてきたことから、軍事利用を視野に入れているのではないかとの憶測を呼んだ。核物質の軍事転用を禁じるIAEA(国際原子力機関)の保障措置を意味すると、提案者の自民党議員は説明するが、それならば、国際的に規定されている3S(Safeguards、Safety、Security)という用語を使うべきだ。
2012/05/28
トップの覚悟
東京電力の会長に内定した下河邉和彦氏は、社外取締役として東電の最高権力者となる。社長は福島第一原発事故の賠償に携わっていた廣瀬直己氏だが、廣瀬氏の役割は、会長のイエス・マンになることではあるまい。東電は福島第1原発事故に伴う賠償、除染、廃炉を進める一方、本業の電力事業により利益を上げ、国からの借金、出資を返していかなければならない。しかし同時に10電力会社中で最大規模の存在であることは間違いない。言うべきことは言う─それが東電のもう一つの責務であるはずだ。
2012/04/23
誰がまとめ役を務めるか
 電源開発はいまや完全民営会社だが、かつては国から69.69%の出資を仰ぐ国策会社だった。そのころの電発の姿を熟知する人間は、こう述懐する──「国の出資比率が1割だろうと3分の2超だろうと、結果は同じ。何事であれ、国のご指示に従わざるを得ない」。
2012/03/19
実質国有化を回避する
 福島第1原発の事故から1年が過ぎた。この未曾有の事故を起こした東京電力が被災者への賠償を行いつつ、電力の供給責任を果たすためには、どうしたらいいか──。その根幹となる総合特別事業計画の3月末策定を目指し、東電と原子力損害賠償支援機構との協議が大詰めを迎えている。
2012/02/13
人材こそが再生のカギ
 敗戦直後の1947年。大学を繰り上げ卒業した若者が関西配電の面接試験を受けた。会場は旧・宇治電ビル。4階に赤旗がひるがえっている。会場の向かって右に会社側の人間が座っているのは不思議ではないとして、どういうわけか左には組合の面々も居並んでいる。この年2月のゼネスト(GHQの指令で中止)で中核となった電産は、採用にまで介入していたのだ。
2012/01/02
新電力体制の構築
    言うまでもないことだが、自然人であろうと法人であろうと、その存在に意味が乏しければ、存続することは難しい。2011年3月11日以降、電力各社が問われていることは、まさに地域独占、総括原価主義、発送配電一貫をベースとした10電力体制が本当に必要不可欠であり、代替不能なのか、ということにほかならない。この体制が明らかに人為的なシステムである以上、何らかの問題が生ずれば、こうした疑問が出てくるのはごく当たり前であり、これに答えられないのであれば、大きく改変されて当然ということになる。
2011/11/28
創立60周年
 今は誰も想起してくれないが、今年は電力9社体制が誕生して60年になる。3月11日の大津波によって東京電力の福島第1原子力発電所1~4号機が壊滅──という事態が起きなければ、関係者によって60周年の盛大な祝いが行われていただろう。
2011/10/24
違和感があるなぁ
 やらせメールで九州電力が叩かれている。このコラムの読者なら先刻ご承知のことだと思うが、ようするに玄海原発2、3号機の運転再開について県民の意見を求める「佐賀県民向け説明会」(経済産業省主催)に対し、九電が自社や関係会社の社員らに再開支持のメールを送るよう指示したという1件である。
2011/09/19
さぁ、どうする、どうする
 野田佳彦内閣が9月2日、発足した。鳩山由紀夫元首相、菅直人前首相の良く言えば夢想家、大方の見るところ大衆迎合の政治姿勢に比べれば、まずは足元を固める実務的な立ち位置が評価されたのか、各新聞・テレビの世論調査によると60%前後の内閣支持率でまずまずのスタートを切った。
2011/08/15
落ち着き先は?
 民主党の若手議員11名(当選3回1人、2回5人、1回5人)でつくる「国益を考える会」が7月中旬、ある提言を官邸に突き付けた。これに対し、菅直人首相、枝野幸男官房長官は会の代表と面談するのはむろんのこと、ペーパーを受け取ることすら拒否。まぁ、提言の表題が「菅総理の即時退陣を求めるの議」というのだから、官邸の反応もわからないではないが・・・。
2011/07/11
本物の工程表はどこにあるのか
 シンクタンクの日本総研のある理事がメルマガで概略こう述べていた。──「原発の完全廃止には、いくつもの大きなハードルがある」。たとえば、太陽光発電などの再生可能エネルギーが総発電量に占める比率をドイツ並みに35%(2020年時点)に引き上げる覚悟があるのか。その場合、再生可能エネルギーの導入コスト、電力料金の引き上げ幅はいくらになるのか・・・この判断材料を国民に提供すべきだ。今の脱原発の勢いだけで話を進めると、計画が具体化するにしたがって、瓦解する危険性も高まると指摘する。
2011/06/06
リスクをどう取るか
 日本とアメリカのリスクに対する感覚がいかに異なるか、それをクッキリと示しているのが原発事故に関する法規制だろう。日本の原子力損害賠償法(原賠法)は3条第1項で「異常に巨大な天災地変」による事故は政府が賠償措置を行う──と規定しているにもかかわらず、菅直人内閣はあっさりと福島第1原発の事故はこの条項に該当しないと宣言してしまった。
2011/04/25
経営トップの判断とは
 東京電力は4月17日、福島第1原発の事故収束について6~9ヶ月におよぶ工程表を発表した。この間に原子炉を“冷やす”とともに、放射性物質の流出を極力“閉じ込める”という計画だが、後者については100%ストップというわけではない。9ヶ月後でも、収束は依然として途上なのだ。
2011/03/21
M9.0
 M9.0の巨大地震が3月11日午後2時46分に発生してから96時間後にこの原稿を書いている。東京電力や東北電力の知人はほとんど不眠不休で対応に追われているだろうから、彼らに電話などで状況を訊くわけにはいかない。不本意ながら、新聞、テレビ、インターネットを情報源に書くより仕方ないのだが・・・。
2011/02/14
政局と政策と
 2月1日、経団連会館で元参議院議員の「加納時男を祝う会」が開かれた。2期12年の任期を勤め上げて旭日重光章を受章、「三つの橋を架ける」と題した自著を出版したことも併せて祝う会で、東京電力の勝俣恒久会長や自民党の谷垣禎一総裁などが顔をそろえ、なかなかの盛況だった。
2011/01/10
ウサギとカメ
原子力発電や火力発電において欧米追従からスタートした日本の重電メーカーがこれだけの地位を確立した背景には、電力業界が大規模化・効率化を求め、それにふさわしい新鋭機を買い上げるだけの購買力をもっていたことがある。しかし、韓国や中国が背後に迫ってきている。今の日本はカメなのかウサギなのか。
2010/11/29
長い目で応援
 「やったぜ、ベイビィ!」とまでは書かなかったが、それに似たニュアンスの新聞論調ではあった。菅直人首相とベトナムのグエン・タン・ズン首相が10月31日に発表した共同声明で、ベトナムの原子力発電所2基建設の協力パートナーは日本、とあったからだ。
2010/10/25
細部に神宿る?
 東京電力は21世紀になって、2001年3月に「お客さま満足の獲得を目指して─東京電力経営ビジョン─」を、04年10月に「東京電力グループ中期経営方針『経営ビジョン2010』」を策定しているが、今年9月に新たな計画「東京電力グループ中長期成長宣言 2020ビジョン」を発表した。南直哉、勝俣恒久、清水正孝と、ここ3代の社長がそれぞれ経営の方向を指し示してきたことになる。
2010/09/20
18度目の正直
 日本原燃でいま流行るジョーク──「18度目の正直で、今度こそうまくいくぞ」。同社は今年10月に再処理工場を稼動させると約束していたが、それを2年先送りせざるを得なくなった。これで先送りはなんと18回目。ガラス固化体をつくる溶融炉が相変わらず所期の性能を発揮できなかったからだが、なんで今度ばかりはうまくいくと期待できるのか。
2010/08/16
ハードもソフトも
 2007年7月16日午前10時13分。あの中越沖地震が起き、東京電力・柏崎刈羽原発の原子炉7基すべてが一気に停止に追い込まれてから、3年経った。この間、懸命の復旧作業が進み、7号機、6号機に続いて1号機も8月4日に営業運転を再開したが、2~5号機の4基はまだ点検中の域を脱していない。
2010/07/12
貧しても、貪しません
 2010年3月期決算から年間1億円以上の役員報酬を得た役員情報を有価証券報告書に記載せよ──と金融庁が義務付けたことから、メディアは誰がいくらもらったと大騒ぎ。ヒトの懐に手を突っ込むような真似はいささか“品下れる”話で、日本経団連の米倉弘昌会長がいかがなものかとブーイングしたのも無理からぬところ。
2010/06/07
大人の長期戦略
 関西電力が3月、「関西電力グループ長期成長戦略2030」を公表した。タイトル通り、2030年には自らの姿がどうなっているのか、それを見通した長期計画だ。東京電力も夏か秋には、10年ビジョンを発表すると見られている。
2010/04/26
あまり遠慮せずに
 日本一の名峰・富士山には「一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」という言葉がある。あの秀麗な岳に一度も登らないのもアホウだが、でも登り降りそのものはただ上がって下るだけ。北アルプスの山々とは異なり、なんの趣きもない。だから二度登るのはバカというわけだ。申し添えておくが、これは筆者が言っているのではなく、そういう言葉があると紹介しているだけなのであって・・・。
2010/03/22
ちょっと落ち着いて
 原子力ルネッサンスが声高に語られているおりもおり、UAE(アラブ首長国連邦)とベトナムの原発商戦で日本勢は2連敗を重ねてしまった。ウェスチングハウスを買収した東芝、米GEと提携した日立製作所、仏アレバと組んだ三菱重工業と有力プレーヤーがそろっているのだから当然、我が方は連戦連勝という気分に浸っていたから、敗戦のショックは大きい。
2010/02/15
脇役が主役へ?
 東京電力からの借地というわけでもあるまいが、電源開発の磯子火力発電所(横浜市)の敷地はまことに狭い。無理もない、つい数年前までは26.5万kWの発電機が2基あるだけだったのに、いまや60万kW2基が肩を並べているのだから。
2010/01/11
新入社員が定年退職するころ
 昨年12月、デンマークのコペンハーゲンで開かれていたCOP15(第15回気候変動枠組み条約締結国会議)は予想通り、成果らしい成果を挙げずに閉幕した。先進国、新興国、途上国の利害が真っ正面からぶつかり合ったためだ。CO2の削減は化石燃料の抑制と同義語だから、当然といえば当然だろう。
2009/11/30
孤独な戦いをさせぬため
 このところ原子力のバックエンドで流行る言葉、それは“正念場”だ。原子力発電環境整備機構(原環機構、NUMO)、そして日本原燃に対する苛立ちをシンボライズする言葉でもある。
2009/10/26
民主党と公益企業
 かねてから引退を表明し、8月末の総選挙には出馬しなかった自民党の前代議士。総選挙で民主党が大勝した後、こんなことを言っていた──「自民党の大敗は必然としか言いようがない」。理由は?「自民党には人材が払底している」。民主党はこれまで野党として、自民党に対抗すべく、懸命に政策を勉強してきた。自ずと人間が磨かれてくる。一方、自民党は2世議員に象徴的に示されているように、考え方も身の処し方も小粒になってしまった。
2009/09/21
楽観と悲観の間で
 9月7日、民主党の鳩山由紀夫代表はあるセミナーで、日本の温暖化ガスの排出量を2020年には25%削減する(1990年比)と表明した。自民党の麻生太郎首相が提唱した15%削減(2005年比。90年比だと8%削減)でも実現に疑問符がついていたのだから、バナナの叩き売りではないが、えらく思い切ったものである。まぁ、米国や中国なども排出削減に足並みをそろえてくれたら、との条件付ではあるのだが・・・。
2009/08/17
原子力は人材育成から
 経営の根底は人材育成にあるとは、昔から言い古されてきた命題である。繰り返し言われてきたので、耳にタコの感がしないでもないが、それでもこのテーゼに反対する者はまずいなかろう。
2009/07/13
CO2削減と電力経営
 6月10日、官邸。麻生太郎首相が記者会見で、我が国のC02排出量を2020年までに2005年比で15%削減するという目標を発表した。首相直轄の地球温暖化問題に関する懇談会の中期目標検討委員会が示した6案のうち、14%削減案が最有力と目されていたが、最後の最後になって首相裁断で1%上乗せされる形になった。