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最首 公司 エネルギー・環境ジャーナリスト |
東京生まれ 上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社(のち中日新聞と合併) 主としてアラブ、エネルギー問題を担当日本アラブ協会理事GCC研究会を主宰している。 著書 『聖地と石油の王国 サウジアラビア』、『人と火』、『水素社会宣言』など。 |
反日・排日の蔭に好日・敬日の国あり (2012/10/08) | |
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領土問題で火がついた韓国、中国での反日、排日運動は治まる気配がないが、一方で日本を評価し、日本大好き、日本に学ぼうという国がある。アジアの西端に位置し、日本がいま必要とする石油・LPGの供給国サウジアラビアだ。 建国82周年を迎えたばかりの王国だが、アジアの東端に位置する日本と似た点がある。日本国民が天皇家を敬愛する如く、サウジ国民もアブダラー国王を慈父のごとく敬慕する。 中国で日本車や日本企業が焼き打ちにあっても、日本人は中国大使館や中国人を襲ったりしない。「アラブの春」で、チュニジア、エジプト、リビアなど共和制の国では政変があったが、サウジでは国王主導で改革が進められ、「静かな春」と称賛された。イスラームを侮辱するUチューブやマンガをきっかけに多くのイスラーム国で欧米大使館が襲われたが、サウジでの抗議は重く、静かに行なわれた。 アジアの大国を取材したTV番組で、道端にお金を置いて、通行人の行動を試す番組があった。某大国の街角では10人が10人、そっとポケットにしまい込んだ。東京では全員が交番へ届けた。「やらせじゃないか?」という声が上がった。 数カ月後、サウジ第2の都市ジェッダで、日本とサウジのサッカー試合が行われた。国民的スポーツのサッカーは全国に生放送される。試合は地元チームが圧勝し、日本から駆け付けたサポーターのがっかりする姿が映し出された。サウジ人観客は帰り始めたのに日本人サポーターは観客席のごみを拾い出した。観客席をきれいにして、彼らはサッカー場をあとにした。生中継のTVはこの一部始終を映していた。 「あれはやらせではなかった。日本人は素晴らしい」と、国王以下、サウジ人はみな感じたのだろう。翌年春に国王主宰で開かれるサウジ最大の民俗祭典「ジャナドリア祭」に、日本は「ゲスト国」として招かれた。メルケル首相を押し出して「ゲスト国」の運動をしていたドイツを退けてである。 すでに日本は官民協力で自動車修理工、プラスティック加工職人、電気機器修理工を養成する研修センターをサウジに作っている。全寮制で、朝礼、点呼にはじまる日本式研修は、当初地元の人たちに敬遠されたが、いまでは卒業生は引っ張りだこだ。 「日本人の勤勉さ、礼儀作法、律儀さ、忍耐力・・日本式教育を採り入れた学校を作りたい」という協力要請が、いまサウジ要人からきている。小学校から日本式教育を採り入れ、欧米式点取り教育を是正したいというのだ。日本人はもっと自信と誇りをもっていい。 |
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