最首 公司 エネルギー・環境ジャーナリスト
東京生まれ 上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社(のち中日新聞と合併) 主としてアラブ、エネルギー問題を担当日本アラブ協会理事GCC研究会を主宰している。 著書 『聖地と石油の王国 サウジアラビア』、『人と火』、『水素社会宣言』など。
トランプ政権の対中戦略の切り札がウイグル問題 (2017/01/16)

 トランプ政権発足を前に、さまざまな情報、憶測が乱れ飛ぶ中で、確実にいえることは、対中国外交の切り札に台湾とウイグル問題が使われるだろうということだ。
 ウイグル人の故郷は現新疆ウイグル自治区だが、この「シルク・ロード」の舞台であるウイグル人の故郷は、医聖イブン・スイーナーやペルシアの詩聖オマル・ハイヤームを生んだ文化先進地で、漢や唐に匹敵する歴史を誇りにしている。近世では第1次大戦後と第2次大戦後の2回、「東トルキスタン共和国」として独立を果たしたが、それぞれ2年と5年ほどの”国家“で、最初はソ連により、2度目は中国共産党によって武力で潰された。
 70~80年代、石油、天然ガスなどエネルギー資源が見つかると、政府は「漢人化政策」を強行、ウイグル語の使用禁止、土地の収用、海外渡航制限などを強制し、ロプノール核実験による住民被害も隠している。これに抵抗する知識人は海外に脱出し、絶望した若者の中には過激派に加わる者も出てくる。
 オバマ政権は「人権外交」を唱えながら、アル・カイダ、自称イスラム国などイスラム過激派を「テロ組織」に指定する交換条件に、ウイグル人活動家を「テロリスト」とすることを暗黙裡に了承していた。
 トランプ政権は人道主義や外交戦略というより、ビジネス面から、中国の為替操作やダンピング商法を糾弾してきた。中国のアキレスけんともいうべき台湾を揺さぶり、さらにウイグル問題を中国攻めの切り札に考えているのだろう。中南米訪問途上で米国に立ち寄った台湾・蔡英文主席には、米有力議員が会談しているし、前後してトランプ氏側近が在米ウイグル人政治団体幹部と接触している。在米ウイグル民間組織もトランプ系財団から多額の寄付を受けたといわれる。
 ウイグル人の国際組織には「世界ウイグル会議」(本部ワシントン)と「東トルキスタン共和国亡命政府」(臨時首都カナダ・オタワ市)がある。前者は自治権拡大を目指し、後者は独立を志向する。トランプ政権が“ウイグル・カード“のどこに絞って中国に譲歩を迫るのか、また、米中両国の交渉に在外ウイグル人組織がどう反応するか、注目したい。
 その一方の当事者である「東トルキスタン共和国亡命政府」の詩人で大統領であるアフメトジャン・オスマン氏が来日している。1月19日に開かれる「ウイグル語になった百人一首」のイベントに、訳者の1人として参加するためだが、あまり知られていない。マスメディアも中国に遠慮しているのかナ?
記事一覧
2017/03/27
欧州で広がる“原発テロ“の恐怖
 2月から3月にかけて欧州諸国を旅してきた。その時感じたのは、空港や駅、港、そして街中でも警官の姿が多いことだ。昨年3月、ブリュッセル国際空港と地下鉄連続テロが発生した直後、フランス国境近くにあるティアンジュ原発が突然停止し、ベルギー保険省が全原発の半径20km以内の住民にヨウ素剤を配布したことがあった。その時、原発の警備員が殺害され、管理施設に入るための暗証番号が盗まれたという。テロリストの矛先が核施設に向けられてる現状を改めて知った。
2017/02/27
サウジ・アラムコが注目する日本の地下水探査技術
 先日マレーシアで地下水探査の国際フェアがあり、そこに出展した日本のベンチャー企業の技術がサウジアラムコから注目された。著名な地質学者が「地下水はない」と明言した場所で、地下水を掘り当てたからだ。一定間隔で地中深くに打ち込んだ電極で電波を流し地下の構造を立体的に捉える技術に、サウジ・アラムコ関係者は舌を巻いたという。日本のベンチャー企業とサウジ・アラムコが合意すれば、サルマン国王来日前に実地テストが行われるかもしれない。
2017/01/16
トランプ政権の対中戦略の切り札がウイグル問題
 ウイグル人の故郷である中国・現新疆ウイグル自治区は、70~80年代に石油や天然ガスの資源が見つかると、政府による土地の収用などにより、「漢人化政策」を強行された過去を持つ。オバマ政権は「人権外交」を唱えながら、ウイグル人活動家を「テロリスト」とすることを暗黙裡に了承していたが、トランプ政権ではどうなるだろうか。これまでトランプ氏は、ビジネス面から、中国の為替操作やダンピング商法を糾弾してきた。中国のアキレスけんともいうべき台湾を揺さぶり、さらにウイグル問題を中国攻めの切り札に考えているのだろう。
2016/12/12
OPEC合意で注目されるイエメン内戦
 11月30日のOPEC加盟国の減産合意について、多くのメディアは「サウジの譲歩」と解説しているが、私はその最大の要因はイエメン問題にあると見ている。1月に、サウジアラビアでサウジ人シーア派指導者の死刑が執行されたことを受け、イランでは群衆がサウジ大使館を攻撃した。その報復としてサウジ主体のアラブ同盟軍がイエメンのイラン大使館を空爆したことで、両国は代理戦争に突入した。サウジアラビアの財政は、原油価格の低迷で苦いことに加え、イエメン戦費も増大するばかりだ。サウジはこの状況をどうにかして打開したかったのだろう。
2016/11/07
1品加えて新メニュー
 宇宙の原理を火、気(風)水、土、木の5つの要素で説明する風水五行説は、中国人の発明と思っていた。しかし、その元祖はウイグルで3000年前に確立した「4つの治療理論」にあったらしい。ウイグルの治療では、火、気、吹、土の要素が変化して、熱、湿、乾、冷となり、人に移って怒りやすい性格、血気盛んなる人、おおらかな人格、短気な人に患者が大別されるという。この理論に「木」を加えて五行説としたのは、唐の時代の漢人だったので、木が生まれるのはずっと後のことだ。1品加えて“新説”にするなど、漢人らしい賢さとずるさを覚える。
2016/10/03
全自社製バイオマス発電への挑戦
 東日本大震災の被害を受けた東松島市宮戸地区で、バイオマス発電に取り組む企業がある。環境ルネッサンス(本社東京・武田豊樹社長)だ。同社では、復興プロジェクトの一環として市から借り受けた稲育苗温室で独自開発した速成樹を育苗。その後は植林し、幹枝をバイオマス燃料として、葉は発酵させたい肥として使用する予定だという。伐採ロボットやベルト・コンベアの導入も検討しており、さながら「森林工場」といえる。
2016/08/29
「水力発電が日本を救う」でイラン水力発電は? 
 イランにビジネスで訪れた際、標高5000mのエイブルス山脈を越え、カスピ海に出た。その時雪解け水が奔流となり山を下っていくのを見てイランの河川で水力発電ができないかと考えた。例えば日本では、河川法に「エネルギー開発」の項目を加える、既存のダムをかさ上げして発電量を増やす、未利用の中小河川で中小水力発電を進めるなど実現可能な水力発電の施策があるという。これらの案は、イランでも応用できそうだ。
2016/07/19
テヘランにて
 20年ぶりにテヘランを訪れた。市の中心部に入ると高層ビルが立ち並び、デザインの凝ったビルも目に付く。イランでは、日本政府による100億ドルのイラン投資支援策の採否をめぐり、8月に安倍首相が訪問するとの期待がかけられている。これは、日イ双方の事前交渉で日本側が日本製の採用を重視するのに対し、イラン側は自国に必要なプロジェクトを主張し、意見が分かれているからだ。
2016/06/13
サウジの若きプリンスへの期待と不安
 サウジアラビアの若き実力者であるモハンマド・サルマン福皇太子(30)が発表した脱石油国家戦略「サウジ・ビジョン2030」は、西暦2030年までに、①平均寿命を74~80歳にする、②メッカとメディナにイスラム博物館を建設する、③スポーツ、芸術を支援するなど、若い世代に受け入れやすい内容になっている。その実現のため皇太子は、信頼できる側近やテクノクラートを重要なポストに配置した。だが、14世紀のアラブ史家イブン・ハルドゥーンが書いた「歴史序説」では、「初代は建国に苦労し、2代目はその苦闘を覚えているが、3代目は都市を離れて・・・」と記されている。若きプリンスが心配だ。
2016/05/02
6月の英・国民投票に注目を
 英国のEU離脱問題で「EUの危機」が取りざたされている。英国民がEUの“不当”な分担金や移民による福祉制度の浸食を不安視しているからだが、直近の世論調査では、残留・離脱とも39%で拮抗(きっこう)している。「離脱」すれば、ドイツやフランスの右派、民族派を元気づけ、国内ではスコットランドが独立しEUに加盟するかもしれない。また、スコットランドの「独立」は、スペインのバスク、ベルギーのフラマン、中東のクルドの独立を促し、中国のチベット、ウイグルの民族運動も元気づけるだろう。6月の国民投票は注目だ。
2016/03/28
日本はどうする「クルド人独立」
 クルド人が独立宣言をした。独立したのはアサド政権から差別・抑圧されてきたシリア・クルド人(PYD)で、イラク・クルドの自衛隊ペシュメルガとともに「イスラム国」(IS)と果敢に戦っていることから、米国からの信頼もある。ただ、トルコはそれを良く思っていない。かつて武力行使も辞さない独立運動を行ったクルド労働者党と軍事部門で交流があるからだ。実際トルコ軍はシリア領土内のISを空爆した際、PYDとPKKの基地も爆撃している。さらに複雑なのは、米国もこれを容認していることだ。トルコやイランとの関係が深い日本はこの問題にどう対処すべきだろうか。
2016/02/22
2つのイラン選挙に注目を
 中東情勢を大きく左右しかねない選挙が、イランで26日に2つ行われる。1つは一院制の議会選挙、そしてもう1つは、大統領よりも上位の最高指導者を選出する専門家会議委員選挙だ。ロハーニ大統領は、議会で穏健派といわれるが、まだ少数派だ。今回の2つの選挙で穏健派議員が増えるとサウジとの妥協も出てくるかもしれない。ただ、15日には議員立候補者の事前調査の結果が発表されたが、候補者希望の3000人のうち審査をパスしたのはわずか30人だったという。穏健派の象徴だった故ホメイニ師の孫も失格になったというから驚きだ。
2016/01/12
炭素価格制度・・・みんなでCO2削減を
 プラスチックにバイオマスを混入する技術を実用化したベンチャー企業の「バイオポリ上越」が、福島県いわき市に新工場を建設し、古々米を混ぜた家庭用ごみ袋や医療用廃棄物容器を量産することになった。野ざらしにされたのプラ製品はよくて2年しか持たない。しかし、これに51%のバイオマスを混ぜると、寿命が2~3倍伸びる。また、一般ゴミとして扱われるようになり、混入分はCO2の削減にもつながる。ごみ袋だと家庭や学校単位でより身近な形でCO2が削減できるようになる。そのためには、炭素単位でポイント還元できる「炭素価格制度」の整備が不可欠だ。
2015/11/24
欧州は再び「壁」をつくるのか 「難民危機」と「テロ」との戦い
 久々に訪れたドイツのベルリンで、ホテルから一歩外出て驚いたのは、物乞いの多さだった。難民、移民にやさしいといわれるドイツだが、さすがに限界がきたようで、メディアは「Refugee Crisis」(難民危機)と呼び、国民に拒否反応が出てきたことを報じている。ハンガリーは、既に難民受け入れを拒否している。欧州の「反難民」ムードは益々強まり、現実の「壁」の前に「心の壁」ができるだろう。実はそれがISの狙いだといえる。
2015/10/13
サウジ・ナウワーフ殿下の死を惜しむ
 サウジアラビアのナウワーフ・ビン・アブドルアジーズ殿下が9月29日、83歳で逝去した。殿下は、2001年に病気で退任した後、異母兄弟のムクリン殿下が後継となることで、サルマン現国王の後継路線を敷いたが、サルマン国王は実子モハンマド殿下を福皇太子兼国防相に抜擢した。その後サルマン新体制は3月にイェメンのシーア派武装勢力を攻撃。6カ月におよぶ戦いで第2の都市アデンを奪回したものの、原油価格低迷も重なり700億円の海外資産を取り崩し、国債を発行したとも言われている。私は、イェメン問題を収拾するには、母親がイェメン人のムクリン殿下が最適だと考えていた。サウジ王制は重要時に、大事な人を失ったことになる。
2015/08/24
今夏猛暑異聞
 今夏は猛暑にもかかわらず、電力供給側からピーク対応を要請する声は起きなかった。その中で、九州電力・川内原子力発電所が再稼働した。地元自治体の長や事業者は再稼働を支持する一方、「反対」を叫ぶ人も少なくない。もし「再稼働」に反対を唱えるなら、エアコンのある快適な居住環境を支えている原発発電分を節約してみてはどうか。同様のことは「安保法制」への反対についてもいえる。「憲法9条の順守」は、国際紛争の解決を国際連合・安保理事会に委ねることである。これは必然的に安保理の機能を強化することにつながる。「安保法制反対」を叫ぶだけではこれからの日本国の安全など保障できるはずがない。
2015/07/13
人質解放にみる「目には目を」考
 「目には目を、歯には歯を」という言葉のとおり、中東では古来、略奪や殺人が発生すると、被害者は「同罪報復」で決着をつけた。昨年6月、イラク北部の主要都市モスルが自称「イスラム国」(IS)に襲われた時、トルコ・モスル領事館も占拠され、総領事など49人が人質になった。その際、トルコ政府は裏で情報機関を使いISの重要人物を次々と拉致し、人質と交換していたという。その結果、101日間の交渉はあったものの、1人も犠牲者を出さず、全員が解放された。日本はどうだろうか。
2015/06/01
拡散・繁殖するIS(イスラム国)細胞
 IS(イスラム国)が、アフガニスタンからパキスタン、そして中央アジアに、拡散・繁殖している。アフガニスタンでは、国際治安支援部隊が撤収すると、すぐにタリバンを攻撃し手中に入れ、タリバンの元幹部を知事とした「ISホラサーン州」を設立した。中央アジアでは、ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)が、昨年11月にISのバグダーディ指導者に忠誠を誓った。IMUには、漢人支配に抵抗する中国新疆ウイグル人も参加している。
2015/04/13
代理戦争か、宗派闘争か、それとも・・・イェメンの危機
 3月下旬に、サウジアラビア主力のアラブ同盟軍がイェメンを空爆した。イェメンは13世紀、シーア派の分派であるザイド派を受け入れた歴史を持つ。その後長年に渡りザイド派首長が鎖国政策を続けてきたが、1962年に軍事クーデターにより王制が倒れると、サウジが旧王党派を、エジプト・ナセル政権が共和派を軍事支援する米ソの代理戦争に発達した。2010年末から始まった中東諸国の民主化運動「アラブの春」で勢力を拡大したのは、ザイド派のホーシー族だったが、その背後には、シーア派の宗本家イランがいるともいわれる。いわば、サウジとイランの代理戦争だ。イェメン危機とは、宗派を利用した部族間の覇権争いともいえる。
2015/03/02
次はクルド独立が問題
「イスラム国」(ISIS)と果敢に戦っているクルド人。その中で最も組織的に戦っている自衛組織「ペシュメルガ」は、他国がクルド軍として強くなるのを恐れ、武器の提供を拒むほどだ。一方で米国は、唯一ペシュメルガに信頼を寄せている。今後米軍は、ISIS掃討作戦を決行するペシュメルガに呼応して4月に空爆。さらに地上部隊も派遣する見通しだ。当然ながら、クルド人が1200万人居住するトルコは大反対するだろう。日本政府の選択が問われている。
2015/01/26
人と火と「聖」
 人類は、火を手に入れる副産物として、「恐れ」や「畏れ」を精神世界に採り入れ、神聖視して信仰の域にまで引き上げた。また、「火」と「陽」の賜物として、「聖」という価値を生んだ。先日フランスで、イスラム過激派とされる暴漢が風刺画で売る週刊紙の発行元を襲った事件に市民が抗議し、「言論の自由」や「表現の自由」を掲げ大規模なデモが起きた。このことは、「言論の自由」と「聖」なる価値の関係をどう考えるか、という根源的な問いを言論人に提起しているように思える。
2014/12/15
当世敵味方考
 「敵の敵は見方」という言葉がある。いつ今日の敵が明日の友になるか判らないことがあるからだ。本当の敵というのは、したときの不幸な巡り合わせだろう。たとえば「韓国と北朝鮮」「インドとパキスタン」「イスラエルとパレスチナ」。でも、これも譲り合えば友になり、味方になる。敵をつくり己のために権力や金力を蓄える者たちこそ「本物の敵」なのだろう。
2014/11/10
もう一つの不安材料イェメン
 イェメン共和国では、2011年の「アラブの春」により長期独裁のサーレハ政権が崩壊し、新興勢力のスンニー派過激派「アラビア半島のアルカイダ」と、伝統的なシーア派系武装勢力「ホーシー派」の争いが活発化している。そんな中、9月21日、「ホーシー派」が首都サヌアの政府庁舎を占拠。国連の仲介により一定の条件(政府は中立的人物を新首相に任命するなど)のもと停戦協定が締結されたが、未だに、宗派戦争が続いている。
2014/10/06
驕るなかれ「イスラム国」
「イスラム国(IS)」と共同戦線を張ってきた自称「ナクシュバンディ教団」が、離反の動きを見せ始めた。この教団は、かつて旧サダム・フセイン政権の残党が潜入して活動していた。しかも、その指揮をとっているのが、米国が指名手配中のイザット・イブラヒム元イスラム革命評議会副議長だ。バース党はアラブ民族主義を掲げる政党で、イスラム主義のISとは相いれないはずだ。しかしISは、フセインの故地であるティクルートで診療所や学校を建設するなどしている。ただ、その背後には、旧バース党の官僚が協力しているともいわれている。ISと旧バース党の官僚を引き離し、いかに中央政権に引き込むかは、アバディ新首相の腕にかかっている。
2014/09/01
東電・柏崎原発の災害対策
 8月末に、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所を見学した時、「これだけの装備をする必要があるのか?」と思った。日本海に沿って5kmに渡り高さ5mの盛り土が築かれた防潮堤や15mのコンクリート製膨張壁、電源車23両、7基の原子炉に対し各3基のディーゼル発電機、2万tの貯水池に注水用消防ポンプ車42台など、これらにかかった費用は、約3000億円にのぼるという。福島第一原発事故が起こるまでは、原子力の 1kW当たりのコストは35万円だったが、津波対策が加わり現在は40万円となっている。その中に使用済み燃料と処分場の費用は含まれていない。
2014/07/22
 侮るなかれ「イスラム国」  
 6月10日にイラク第2の都市モスルを占領した「イラク・レバント・イスラム国」(ISIL)は、同月末に「イスラム国」を宣言した。この過激派組織、そう侮ってはならないことが、イスラム国機関誌「DABIQ(踏ん張る)」を読むと見えてくる。同誌のタイトルは、1517年、オスマントルコとマムルーク軍が激突した場所「Marju- Dabiq」と関連しているが、その場所は、「イスラム国」がシリア・アサド政権と戦った本拠地でもある。ある在日アラブ留学生は、「これを読んだら、多くのアラブ青年がかつてのイスラム国の激戦を思い出し集結するだろう」と話した。仮に「イスラム国」が“爆破”されても、第2、第3の「イスラム国」が出現する可能性は否定できない。
2014/06/16
イスラム抜きのハラール・ブーム
 イスラム教徒に許された飲食物「ハラール・フード」がブームとなっている。ここ数年、官公庁や地方自治体が東南アジアからの観光誘致に積極的になり、マレーシアやインドネシアなど、ムスリムへの対応が求められつつあるからだ。そのため、「ハラール」認証発行がビジネス化し、イスラム教に弱い関係者から法外な「認証料」や「更新料」を取る法人や団体が出てきている。しかし、これは日本に限ったことではないらしい。
2014/05/12
大丈夫か?トルコ原発
 「日本・トルコ原子力協定」が5月3日、トルコの首都アンカラで締結された。ただ、懸念材料もある。トルコは20世紀以来、M6の以上の地震が22回発生している地震大国である。また、3月末に建設予定地のシノップで行われた市長選では、反原発を掲げるバーキ・エルグル市長が再選された。対岸にクリミア半島もあり、今後のウクライナ情勢次第では、トルコへの影響が出てくるかもしれない。
2014/04/07
“日韓同舟”のサハリンLNG
 ロシアのプーチン大統領への制裁措置として、オバマ大統領は、日本や韓国にシェールガスを提供するロシア・サハリン産のLNGをボイコットするよう要請してくるかもしれない。しかし、サハリン産LNGの輸入量を見ると、日本は年間150万tで総輸入量の約7.6%を占めるが、韓国も年間150万tで総輸入量の約5%と状況が似ている。それならむしろ、日韓両首脳がオバマ大統領に対し「サハリンLNGは制裁の枠外に」と陳情してみてはどうか。オバマ大統領はむげに断ることはないだろうし、プーチン大統領も悪い気はしないだろう。
2014/03/03
サウジアラビアと日本 メディア交流は実現するか
 2月18~22日にかけ、サウジアラビアのサルマン皇太子が訪日された。その間に「日・サ・ジャーナリストによるシンポジウム」が急きょ設定された。シンポジウムでは、「日サ国交60周年記念」に向け、双方からさまざまな提案があり、活発な議論が交わされたが、最大の課題はサジ政府が日本人ジャーナリストに入国査証を発給するかどうかだった。この課題に対し司会を務めたA.ホッジャ文化・情報相は、「ここの皆さん全員を招待する。常駐の特派員も受け入れる」と前向きな意見を述べた。
2014/01/27
名護市長選と都知事選
 1月19日に沖縄県名護市長選が行われた。結果は、基地の移設反対を唱える現役市長の圧勝だったが、この選挙がこれほど注目されたのは、中国の軍事的圧力が高まる中、沖縄の米軍基地の意義を日本国民が、それも地理的に近い沖縄県民がどう評価するかという国政レベルの判断を迫られたからだろう。名護市長選と同様の構図は、2月9日に行われる東京都知事選にも現れている。宇都宮候補に加えて、細川・小泉コンビが「反原発」の公約を真正面から取り上げており、地方自治体の選挙とはいえ、その選挙結果は原発やエネルギー政策に影響するはずだ。
2013/12/16
原発を危うくする特定秘密保護法 
 4年前に、小泉元首相が訪れたフィンランドの使用済み核燃料貯蔵施設「オンカロ」を訪ねたことがある。その時印象に残ったのは、政府・電力会社・地元自治体間での信頼関係だった。政府は原発に関する情報を全て住民に提供し、電力会社は本社を現地に置く。雇用は積極的に地元から採用した。その結果、処分地の選定の際、3つの自治体が手を挙げた。日本はどうか。ある時、電力会社の幹部に「原発の副所長に地元出身者を選び常に情報が伝わるようにしたらどうか」と提案したが、はぐらかされてしまった。今回成立した「特定秘密保護法」は、原発情報の透明性を阻害しかねない。住民の不信感はますます強まっていくだろう。
2013/11/11
中東の政治潮流・・・イスラム主義と世俗主義のせめぎあい
 エジプトでムバラク独裁政権が崩壊した後の選挙で第一党になったのは、ムスリム同胞団だった。一方、チュニジアでは、第一党がイスラム主義の「ナハダ党」でありながら世俗路線の第二党「共和国会議」から大統領が選出されたため、大統領が拉致される事件も発生している。「アラブの春」から3年経たないうちに、中東では、イスラム主義と世俗主義のせめぎ合いが複雑化している。
2013/10/07
オバマの急ブレーキが中東を変える
 中東の枠組みが大きく変わろうとしている。まず、イランの国際社会への復帰で米国との国交回復の兆しが見えてきた。次に、オバマ大統領のシリア攻撃回避によるイスラエルの今後だ。もし米国がシリアを攻撃したら、シーア派の戦闘集団ビズボッラーがイスラエルを攻撃し、イスラエルが混乱する。そうすると、ガザを拠点とするハマスが軍事行動を開始し、これを受けイスラエルがイランの重水炉を攻撃してイランの核武装に終止符が打たれ、イスラエルも秘蔵する核ミサイルを放棄するかもしれない。シリアの解決の糸口は、今アラブ諸国の中にある。それは、エジプトがいかに立ち直るかであり、エジプトの軍事政権を支援するサウジアラビアにかかっている。
2013/09/02
「敵の敵は味方」で和解する政府と反政府勢力 
 「アラブの春」後の混乱は、中東各地に最新兵器と過激派組織を拡散させた。シリアでは反政府軍に紛れ込み、シーア派主体の政府軍を攻撃する一方、無差別テロで社会を混乱させている。そこでサウジ政府は、兵器が過激派の手に渡るのを憂慮し、シリア政府との間で成約済みの最新対空ミサイルをアサド政権に引き渡さないようロシアに要請した。シリア政権を支援しながら、一方でチェチェンやグルジアでのゲリラ活動に手を焼くロシアと、過激派を警戒する両国が手を結んだのは「敵の敵は味方」を証明している。
2013/07/22
第三次オイルショックは忘れた頃にやってくる 
 イラン政府が「重水炉を建設する」と発表した。重水炉は天然ウランがそのまま燃料として使えるため、ウラン資源に恵まれているイランにとっては好都合な炉だ。加えて、イランは、ウラン濃縮設備を所有し、既にもう少しで核爆弾を1個作れるところまで来ている。敵対しているイスラエルは、地下に位置するウラン濃縮施設は破壊できないが、地上にある重水炉は攻撃が可能だ。もしそうなれば、第三次オイルショックの引き金になりかねない
2013/06/17
エネルギー業界再編の胎動?
 東京電力が募集した火力電源を応札したのは、東京電力と中部電力だった。また、米国のシェールガス獲得には、中部電力と大阪ガスが共同で取り組んでいる。家庭用燃料電池「エネファーム」では、都市ガス・石油・LPG家電業界が協力し、技術交流や共同イベントなどを開いている。エネルギー業界再編の兆しが見えてきた。
2013/05/13
「低温地熱発電」再考
地域のエネルギー資源を活用した温泉発電が増えてきている。しかし「1kWh42円」の買電単価がいつまで続くか。温泉発電を行う場合は「湧いている温泉を利用する」「廃業した温泉旅館の泉源を再利用する」「近くに新たな井戸を掘る」などの手間で、地熱発電ほどの経費はかからない。場合によっては半値を覚悟しなければならないだろう。
2013/04/08
花も蕾(つぼみ)の若桜
桜の季節が近づくと太平洋戦争時の喧騒を思い出す。1943年の秋に、東条内閣が「学徒動員令」を発し、学生数万人が戦争に駆り出され、親しい人も戦死した。その2年後の3月、桜が咲くころ、東京は焼け野原になった。今の日本は、尖閣諸島で中国に威圧され、北方領土ではロシアに翻弄され、北朝鮮から核ミサイルの威嚇を受けている。このような現状では、自然と核武装論も出てくる。しかし、あのころの犠牲や反省の上に築かれた日本国憲法と非核三原則を思うと、核兵器を持とうとは思えない。
2013/01/28
イスラム国首脳に”アルジェリア・ショック“
アルジェリアで起きた武装勢力によるガス・プラント襲撃事件で、「イスラムフォビア(イスラム忌避・嫌悪現象)」が広がっている。イスラム教徒が「あれはイスラムではない」「自称イスラムの犯罪集団」といっても、日本を含めた西側世界はそうは受け取らないからだ。日本では、アルジェリア事件の教訓としてインテリジェンス(諜報活動)の強化が説かれている。イスラム世界の底辺でなにが起きているかを知ることが重要だ。
2012/12/17
浅層低温地熱発電の勧め
地熱発電の有望な技術として「浅層低温地熱発電」が注目され始めている。日本で開発された「雨が地表から地下まで移動する道筋を時間軸で映像化する技術」や「水源を探し当てる探索技術」、これにオーストラリアで実用化されている「地下温度探査技術」を組み合わせることで、掘削でコストをかけずバイナリ―発電が実現できるからだ。温泉の泉源の状態まで把握できるので、地熱発電に反対する温泉事業者の理解も得られるだろう。
2012/11/12
サウジ女性の運転免許はまだ早い
サウジアラビアでは、女性が車を運転できないことになっている。しかし、最近では、女権の象徴として女性自身が運転デモをしたり、社会的要請としてソーシャル・メディアで意見するなどしている。私も女性の運転を認めるべきだと思っていた。しかし、今回メッカ巡礼に参加してサウジ女性の運転はまだ早いと思うようになった。
2012/10/08
反日・排日の蔭に好日・敬日の国あり
サウジアラビアが、今日本を評価し、日本に学ぼうとしている。中国で日本車や日本企業が焼き打ちにあっても、日本人は中国大使館や中国人を襲ったりしない。サウジアラビアでのサッカーの試合では、試合終了後、日本人サポーターが観客席のごみを拾い出した。「日本人の勤勉さ、礼儀作法、律儀さ、忍耐力・日本式教育を採り入れた学校を作りたい」との協力要請もサウジアラビアの要人から来ている。小学校から日本式教育を採り入れ、欧米式点取り教育を是正したいというのだ。日本人はもっと自信と誇りをもっていい。
2012/09/03
脱原発に“脱昼食”
“脱昼食”の「1日2食制」をはじめたら10kg減量できた。仮に日本人が1日3食のうち1食減らすと、単純計算で3分の1の食料、水、エネルギーが節約できる。日本の食料自給率は39%だから、1食減らせば1980年代の60%ぐらいまで戻せる計算だ。福島原発事故前原発比率は3割弱だった。原発ゼロにしても慌てて太陽光だ風力だと、中国製や韓国製の発で装置に飛びつくことはない。もっと質素で不便でいいのではないか。
2012/07/23
原発―一体どうすりゃいいんだ
「2030年原発ゼロ」のシナリオを見た時、とっさに浮かんだのが戦時中に体験した松の若木伐り出しの光景だった。だからといって、事故から1年半経っても自宅に戻れない人たちを考えると原発推進ともいえない。そんな中、日本の援助に謝意を示してきた国々さえもが、日本に背を向けはじめている。もう一人の自分は「日本の国力が落ちた」ことに自憤している。
2012/06/18
冷戦構造の復活を思わすNATOとSCO
第12回上海協力機構(SCO)首脳会議が6月6日に開催され、主要国の中国、ロシアと中央アジア4か国に加え、イラン、パキスタンなど過去最多の14か国が参加した。この会議でイラン・アフマドネジャド大統領は、国主導による西側の経済制裁を声高に非難。主催国の中国も「SCOはNATO(北大西洋条約機構)の東方版ではない」(中国紙)と強調している。冷戦終結で敗退した非米欧勢力がSCOに結集しているかに見えるが、ロシアは中国の影響力増大を警戒しているし、中国とインド、インドとパキスタンは、利害や感情が対立している。この新たな東西両勢力の拮抗を日本はどう利用するのか?
2012/05/14
「聖」という価値
ヒトが持つ価値観のひとつに「聖」がある。この連休中にクウェート国民会議が「預言者とその家族を侮辱した者には死刑を適用」と、刑法を改正した。かつては、イスラームの預言者ムハンマドを誹謗したとして、インド人作家がイラン政府から死刑判決を受けた。その作家の著書を和訳した日本人学者は何者かに殺害された。最近では、アフガン駐留の米兵が聖典コーランを破棄したとしてオバマ大統領が謝罪した。「聖」という価値はそうして守るべきものというのが、イスラーム世界の考えなのである。
2012/04/09
サウジで休日変更の動き
 サウジアラビアで休日変更の動きが出ている。現行の休日は木曜と金曜で、このうち金曜は宗教に基づく「安息日」だから動かせない。そこでもう1日の休日を木曜から土曜に移そうというわけ。中東は一神教発祥の地で、ユダヤ教は土曜、キリスト教が日曜、そしてイスラムが金曜と、それぞれ安息日が異なる。三つの宗教が共存する地域では、1週7日のうち3日間が「安息日」になる。これに近年の「週休2日制」が導入されて、サウジのように木曜を休日にすると、月曜から日曜までの7日間のうち、4日間がどこかの国で休日になる。
2012/03/05
なにか変だ“イラン核疑惑”情報
 シリア・タルタス港に停泊していたイランの軍艦2隻が2月21日に出港、地中海を南下し始めた22日、サウジアラビアの退役海軍アタッシェが「イスラエル海軍がイラン艦艇を攻撃する可能性がある」と、地元紙に語った。「表だって攻撃すると、イランにホルムズ閉鎖の口実を与えるので機雷敷設か、潜水艦から出たフロッグマンが破壊工作をするかもしれない。乗組員はなぜ自分たちの艦艇がダメージを受けたか判らないうちに沈んでしまうだろう」という。同じ日、イランの最高指導者ハメネイ師は「テヘランは核兵器の開発に全く関与しない。核兵器を作ることは大罪である」と説教した。
2012/01/30
湾岸で存在感増す中国
 新年早々、サウジアラビアに10日ほど滞在した。クリスマスから新年にかけて、欧米外交官やビジネスマンは長期休暇で不在が多く、サウジ要人に比較的会い易い。そこを狙ったのだが、滞在中、玄葉外相がトルコからリヤドに飛来し、アブドルアジーズ・ビン・アブダラー外相代行と会談した。
2011/12/19
結束を強化するGCC(湾岸協力会議)
 サウジアラビアなどアラビア半島君主制国家でつくるGCC(湾岸協力会議)が、内外からの脅威に対して結束を強めている。
2011/11/14
自然エネルギーで発電機を!
 風や水の力、それに太陽の熱や光・・・江戸時代まではそれらを利用して、生活してきた。熱源には薪、木炭、光源には松明、ローソクが、人力で足りない動力源には馬や牛などの家畜が使われた。
2011/10/10
洪水を制する者、アラブを制す?
 サウジアラビアの商都ジェッダ市にある国立キング・アブドルアジーズ大学3年生のハディールさんは、いま水泳を習っている。海水浴という習慣のないこの国では、海に入って遊ぶときも、黒いベールを被り、裾の長い衣服を身に着けたままだ。そうした女性の一人であるハディールさんが水泳を習い始めたきっかけは、「洪水」にある。
2011/09/05
「核廃絶」と「原発」を考える国際会議をフクシマで
 いま世界で保有されている核弾頭は約2万発といわれている。最大の保有国である米国のオバマ米大統領自身が09年4月、チェコの首都プラハで「核廃絶」を訴えたのだから、核兵器保有国政府は驚愕・困惑し、多くの庶民は歓迎した。
2011/08/01
Atomic carbon
 オーストラリア特許庁は5月12日付けで日本のベンチャー企業から出願されていた「Atomic carbon material」を特許として認め、期日までに審査料を支払えば特許として登録されることを決定した。「material」(物質)を特許そして認める例は極めて珍しいそうだ。オーストラリアで登録されれば、特許協力条約(PTC)加盟国である日、米、欧各国でも登録されるだろう。
2011/06/27
「アラブの春」と「日本の夏」
 年初のチュニジア大衆デモが引き起こした「ジャスミン革命」は、国花「ジャスミン」の名をとったものだが、その後のエジプト・ムバラク政権の打倒、リビア、イェメン、シリアに波及した反権力大衆運動を「アラブの春」と呼んだのは、多分、1968年のチェコで発生した反ソ連・独立・民主化運動の別名「プラハの春」を連想したヨーロッパ人の命名だろう。
2011/05/23
新エネルギーも国家補償するの?
 東電・福島第一原発事故の補償問題で「原発は国家政策として推進されたのだから、国が責任を負うべきだ」という議論が町でも国会でもまかり通っている。政府は17日の原子力対策本部で「原発被災者支援工定表」を公表して、避難住民への仮払いを5月中に行う、などを決めた、という。
2011/04/11
電気の地産地消とEV
原子力発電所が打撃を受けた今、電気の地産地消を考えるべきだ。太陽光発電や風力発電、家庭用電源として使える電気自動車(EV)を地域でまず活用する。電気を電力会社のみに依存してはならない。
2011/03/07
アラブの新人類ネット・ベドイン
 アラブの有力者のルーツをたどると、多くはベドイン(遊牧民)に行きつく。リビア然り、サウジアラビア然りである。数少ない例外はヨルダン・アブダラー国王で、王の出自はサウジアラビア・メッカの名門ハシム家である。ハシム家はイスラムの預言者ムハンマドを出している。ヨルダンの正式国名「ハシミテ・ヨルダン王国」はここに由来する。
2011/01/31
アラブ首脳のチュニジア革命ショック
チュニジアで発生した「ジャスミン革命」は、指導者なき市民層によるネット・ソフトが武器となった。アラブで最も政教分離が進み、言論統制も他のアラブ国より穏やかだった国で発生した政変に、アラブ各国の首脳は戸惑い、慌てている。
2010/12/20
原油価格100ドル、強気のサウジ・エコノミスト
 「2011年原油価格は100ドル」という強気の観測がサウジ・エコノミストの間で広がっている。そのエコノミストの一人、サウジ経済協会の市場スペシャリスト、ムスタファ・カリファ氏はサウジ有力日刊紙オカーズで、100ドル説の根拠として
2010/11/15
インフラ事業受注は韓国に学べ
 1970年代の後半、第1次オイルブームで潤う産油国では大型の公共工事が目白押しだった。当時、湾岸諸国に足しげく通っていた私は、韓国勢が次々と大型プロジェクトをさらっていくのを歯ぎしりしながら見ていた。産油国の土木工事を一手に引き受けたのがベトナム戦争帰りの猛虎師団だと聞いて納得した。韓国は国を挙げて産油国市場に挑戦したのだ。「彼らはキムチがあれば、この炎熱下でも労を惜しまず働いてくれる」と、サウジ政府の役人は感心していた。
2010/10/11
「日本核武装論」の誤解を解くために
 10月2日夜放送されたNHKのドキュメンタリー番組「核を求めた日本」には、正直いって身震いするほど驚いた。1964年に行われた中国の核実験に衝撃を受けた日本政府は、原爆製造の可能性を探るべく極秘に作業グループを編成し、ドイツ(西独)とも連絡を取り合った、という。作業の結果は「原爆製造は可能で、容易である」ということだった。
2010/09/06
電力業界、今夏の朗報
 連日の猛暑、酷暑に襲われた今夏の日本列島。熱中症で亡くなる人も多かったが、その教訓は「水分の補給」と「冷房の利用」だった。これまでは、夏とはいえ「省エネ」「節電」で、エアコンをつけるのも遠慮がちだったが、この夏ばかりは誰はばかることなく明け方まで、エアコンと扇風機をつけっぱなし、という家庭も多かったろう。生命の危機を前に「節電」などと言っていられないし、電力会社も石炭、石油を燃やしてそれに応えた。
2010/08/02
「日本版ラマダン」の勧め
 イスラーム暦第9月を俗に「断食月」と呼ぶ。この月に断食を行なうのは、イスラームの預言者ムハンマドがマッカ(メッカ)郊外の岩山の洞窟にこもり、断食・瞑想中に神(アッラー)からの言葉を受けた、という故事に由来する。
2010/06/28
G8の向こうを張るD8、仲をとりもつG20
 第36回先進国首脳会議(G8)が6月25日から28日、カナダのハンツビルで開かれる。議題は世界景気の立て直しとギリシャ、ハンガリ-など財政危機下にある国家の救済策が主題になるだろう。その10日後の7月4日から8日までナイジェリアの首都ラゴスで第7回D8首脳会議が開かれる。
2010/05/24
鳩山韓信の深慮遠謀
 その昔、漢の武将韓信(~前196年)は、兵法の常道を破って、川を背にする「背水の陣」を敷いた。敵方の趙の将軍は「兵法を知らぬ男よ」と嘲笑ったが、結果は韓信の勝利に終わった。寄せ集めの弱卒の兵士を率いた韓信は、川を背にすることで自軍の退路を断ち、遮二無二戦わせたのである。
2010/04/12
法律も「官から民」へ
 民主党政権は「官から民へ」というスローガンを掲げて、国会での官僚の答弁を禁じ、官僚の任免権を確保しようとしている。ならば、「立法」の世界はどうなのか?鳩山首相が世界に向かって打ち上げた「温室効果ガス25%削減」を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案が閣議決定された。この法律の中身は後日論評するとして、ここでは成立に至る過程を検証しておきたい。
2010/03/08
25%より4%が重要だ
 満員電車で「押すな 押すな」とわめきながら押してくる男がいる。どんな人物かと振り返ったら、彼の後ろには誰もいなかった。昨年秋の国連総会で「CO2排出量を25%削減(1990年比)」と大見得をきり、昨年暮れのコペンCOP15でも「25%削減」を叫んだ“宇宙人”こと日本の首相の姿をみて、「押すな 押すな」男を思い出した。日本の背中を押している国はいないのだ。
2010/02/01
政権交代は既得権見直しのチャンス
 政権交代は旧来の陋習を破るチャンスである。明治維新では廃藩置県を断行して藩主の持つ徴税権、徴兵権を明治中央政権が奪取した。敗戦後の日本に君臨した進駐軍は、不在地主から農地を接収して自作農を増やし、財閥を解体して企業の自立を促した。
2009/12/21
ジェッダ大洪水の教訓
 「砂漠の国」といわれるサウジアラビアでも年に数人の溺死者が出る。砂漠に降った雨は、ワジ(涸川)を目指して走り出し、谷間に向かって駆け降りる。谷底に生えた牧草を食むヒツジやラクダが濁流に飲み込まれ、ワジの崖を登り損ねた遊牧民が鉄砲水の犠牲になる。
2009/11/16
バイオ燃料屑を家畜飼料に・・・途上国の知恵
 この10月8日からインドネシアのスラバヤで開かれていたD-8(後述)閣僚級会議は、バイオ・ディーゼル油を採油した含油微細藻の搾りかすを家畜用飼料として利用することを認可した。当面、インドネシアとマレーシアが先陣を受け持ち、徐々に加盟国に広げていくという。
2009/10/12
心の原子力「GATE」
 この通信の読者はすでに映画「GATE」(制作されて4年、各地で上映会が開かれた)を観ていると思うので、それを前提にこの映画の意味を考えたい。 
2009/09/07
今夏フランス原発の教訓
 この夏、欧州は異常な暑さに襲われ、パリは平年より2~5℃高かった。このため冷房需要が急増、その分だけでフランスの電力需要は40万kwにのぼった。加えて原発が冷却用水として取水しているセーヌ、ロアール、ラインなどの諸河川の水温が上昇、発電効率が低下した。
2009/08/03
原子力施設でエコ・ツーリズム!?
 2月に人工股関節置換手術を受けた。後期高齢者の医療補助によって手術用に蓄えた資金が少し残った。体力、気力が回復したら、これを使って旅に出よう。その旅は‥‥・思い切り発想を換えて「原子力の旅=ツーリズム」にしてみよう、と考えた。
2009/06/22
いまの日本はとても恥ずかしい
 石油やガスの値上がりで急速に富を蓄積した湾岸アラブ産油国は、エネルギー資源無き経済大国日本も学ぼうと、さまざまな試みを行っている。