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最首 公司 エネルギー・環境ジャーナリスト |
東京生まれ 上智大学新聞学科卒業後、東京新聞入社(のち中日新聞と合併) 主としてアラブ、エネルギー問題を担当日本アラブ協会理事GCC研究会を主宰している。 著書 『聖地と石油の王国 サウジアラビア』、『人と火』、『水素社会宣言』など。 |
サウジで休日変更の動き (2012/04/09) | |
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「休日変更」を提起したサウジ政府の研究会によると、木曜の休日によって貿易決済や金融取引ができないため、およそ10億㌦の逸失利益があるという。「年間48日の木曜休日は、1カ月半のビジネスデーが失われること」と、「木・金休日」による経済的損失を強調されている。 サウジも一員であるGCC(湾岸協力会議)加盟国では、UAE(アラブ首長国連邦)、オマーンが木・金休日派で、クウェート、カタール、バハレーンが金・土である。GCCに加盟してないが、同じアラビア半島の共和制国家イェメンは木・金とサウジと同じだし、アラブの大国エジプトは「安息日」の金曜を中心に業界によって木・金であったり、金・土であったりする。近年は後者の金・土派が多くなっている。 日本では日曜は「公休日」程度の認識だが、一神教世界の休日は神が定めた安息日である。とくに厳格なユダヤ教徒は金曜日の日没から土曜日の日没までの安息時間、男は仕事をやめ、女性も料理を作ってはならない。だから、金曜午後のマーケットは安息日の3食を用意する買い物客でごった返す。エレベーターに乗っても行く先のボタンを押すのがはばかれるので、当日のエレベーターは各階止まりに設定される。イスラム世界はそれほど厳しくはないが、安息日の金曜は集団礼拝が定めである。 ところでサウジの休日問題だが、以前にも「金・土」に移行する案があった。しかし、国王の諮問機関シューラ(国民評議会)の保守派が反対して、実現しなかった。今回は昨年末に勅令として再検討が指示されたので、シューラも反対できないだろうとみられている。 もし、サウジが金・土を採用するとなると、UAEやオマーンも同調するだろう。日本のビジネスマンにとっても、木曜日に先方と交渉したり、決済ができることは、営業日が1日増えることになり、仕事がしやすくなるはずだ。 |
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