EPレポート

・ トランプ政権のエネルギー・環境政策を占う 2017/02/01

化石燃料を重視、温暖化対策は大きく後退も


 トランプ氏の選挙公約である「アメリカ第1エネルギー計画(An America First Energy Plan)」や「米国を偉大にするための100日行動計画(100-day Action Plan to Make America Great Again)」を読むと、エネルギー独立の達成、国内石油・石炭・天然ガスなど化石燃料資源の再開発、開発のための連邦所有地の開放、エネルギーコストの低減、オバマ政権下でのエネルギー関連規制の緩和・撤廃などを列挙している。
 また選挙中の遊説でトランプ大統領は気候変動への懐疑を掲げ、パリ協定の脱退を示唆した。共和党の大統領候補になる前は、ツイッターなどで「気候変動問題は中国が米国の競争力をそぐためにつくりあげたものだ」と放言していた。

・ 【エネルギーを見る眼】核のゴミの処分方法 2017/02/01

廃棄物を1000年単位で管理できるか


 原子力発電の再稼働問題が議論されており、地震や津波などの自然災害に対する安全性の向上の問題がクローズアップされているが、今後も長期的に原子力エネルギー使い続けるべきか否かという問題を考えた場合、使用済み核燃料をどのように扱うべきかといういわゆる「核のゴミ」の問題が大きな課題とて残る。

・ 【EWN】産油国が望む「60ドル」の価格水準 2017/02/01

米、サウジ、ロシアに価格決定の主導権


 2016年11月30日の石油輸出国機構(OPEC)総会での協調減産決定後、市場の供給量は、協調減産側のサウジアラビア、ロシアとシェールオイルの増産調整による価格決定権を握った米国の3大産油国による価格の調整メカニズムにより決定されることが明確になった。
 一般の米国民にとっての原油価格は、ガソリンなどの燃料油が上昇しないような価格が望ましいと考えられている。エネルギー産業界としては海外を中心に開発生産を行っているメジャーなどの企業以外では、在来型の原油生産者は、メキシコ湾やアラスカなどでの深海、極地の開発でない限り、もし60ドルになれば、生産コストより売り値が高く、設備・掘削投資の償却も可能で平準化した利益が上がることになり望ましい。もちろん生産者にとっては高いに越したことはないが、国民生活上の観点からは及第点だろう。

・ 【視点】エネルギー企業の再編・統合 2017/02/01

首都圏の都市ガス販売が軸に


 エネルギー企業の再編・統合の議論が今年、本格化する。昨年12月、経済産業省の「東京電力改革・1F問題委員会」は、福島第一原子力発電所事故の賠償、廃炉などの費用で今後30~40年間に東電が負担する金額として、約16兆円を提示した。費用をまかなうために東電は年間5000億円の「改革益」を目指すが、単独で稼ぐことは難しく、経産省は他企業との再編・統合を積極的に進める方針。

・ ロスアトムが注力する日ロ原子力協力 2016/06/21

除染やバックエンド対策で高度技術を保有


 ロシアの国営原子力企業、「ロスアトム」が日本とのビジネスや技術協力の関係強化に力を入れている。同社は、原子炉の建設から使用済み核燃料の処理や放射性物質の除染まで扱い、それらの技術力は世界の中でも評価されている。日本には使用済み核燃料の再処理を引き受ける提案もしている。

・ 【エネルギーを見る眼】中東安定の鍵を握るプーチンとエルドアン 2016/06/21

安定化を妨げる露土戦争からの宿縁の対立


 いま、中東の安定にはロシアとトルコの協力が欠かせない。シリア内戦を収めるには、アサド政権を援護するロシアの向背がカギだし、欧州に奔流するアラブ難民を食い止めるにはトルコの協力が不可欠だ。ところが、ロシアのプーチン、トルコのエルドアン両大統領の確執、対立は解けそうにない。過去12度も干戈(ルビ*かんか)を交えた露土戦争の宿縁を思わせる。

・ 【EWN】G7エネ大臣会合「LNG市場戦略」 2016/06/21

 先ごろ、経産省はG7エネルギー大臣会合に合わせて「LNG市場戦略」を発表したが、その内容はこれまでの同省の政策に比べて至極まっとうで現代的なので、若干の前向きな驚きを禁じ得ない。同省は過去何十年にもわたって、エネルギー安全保障の要諦は「海外エネルギー資源の長期的な量的安定確保と、可能な限りのエネルギー源の国産化である」という、かなり古典的で既に実態に余り合わなくなった理念に基づいた政策に固執してきた。    見様によっては、リアルな国民経済的観点よりは、個別関係筋の既得権的擁護に重点を置いて、現実的・全体合理的な観点がかなりなおざり気味だったとも言える。

・ 【スポット解説】石炭火力建設に一歩前進 2016/06/21

環境省が「条件付き容認」


 環境省はこのほど、CO2排出抑制対策への担保措置が不十分としてストップをかけていた石炭火力発電所の新増設計画の環境アセスメント手続きのうち、3件の準備書・配慮書に対して計画推進を認める意見書をまとめ、経済産業省に提出した。うち準備書の2件については経産省が6月中にも事業者に勧告し、これを踏まえ事業者はアセス評価書を策定して工事計画の認可申請、認可を得て着工へと手続きを進めることになる。しかし意見書には厳しい条件が付されている。

・ 国会質疑で露呈した規制庁の「不正行政」 2016/06/11

敦賀原発2号機の「活断層」に固執する規制庁幹部


 原子力規制委員会の有識者会合(地質学などの専門家の調査団)による原子力発電所敷地内の破砕帯などの評価で、事務局を務めた原子力規制庁の不公正で恣意的な対応が国会での質疑で明らかになっている。 有識者会合は、敦賀原発2号機、志賀原発1号機、東通原発の原子炉建屋など重要構造物の下を通る破砕帯などについて、「活断層の可能性を否定できない」とする評価書案を規制委に提出している。規制委はこれを受理し、それぞれの原発の新規制基準への適合性審査で、重要な知見として参考にする。審査の結果、仮に規制委が敦賀原発2号機などを「廃炉」と判断した場合、電力会社は行政訴訟を起こす見通しだが、偏った規制行政は、裁判で規制委側に不利に働きそうだ。

・ 【エネルギーを見る眼】地上設置型太陽光発電と地域社会 2016/06/11

立地地域の居住環境・自然環境への負の効果


5月下旬、八ヶ岳南麓の北杜市で最初に訪問したのは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が建設した大規模な地上設置型太陽光発電設備(いわゆるメガソーラー)の実証施設で、現在は北杜市に移管されており、市の委託を受けた技術者が管理していた。 その技術者と案内役の教授のやりとりで、同市におけるソーラーパネルの立地問題がだんだんと明らかとなった。管理する技術者は太陽光発電による地球温暖化対応への寄与を指摘しつつ、北杜市の日照条件の良好さ(年間日照時間が全国平均の1934時間に対し、約35%長い2625時間)により、効率的な太陽光発電が可能となると説明していた。 他方、案内役の教授は、市内に増えつつある地上設置型太陽光発電設備には土台も整備していない杜撰(ルビ*ずさん)な設備が多いこと、周辺住宅への照り返しや通風・景観の阻害など悪影響を考慮しないものもあることを指摘し、北杜市の取り組みの遅れを批判していた。

・ 【EWN】分散型電源の大量導入に頭を痛める米電力会社 2016/06/11

配電系統に深刻な品質リスクも


 米国において分散型電源(DER)は、送電線を利用して遠隔地に電力を伝搬する必要がある火力・原子力をはじめとした従来型の大規模電源と異なり、電力消費地の近くで発電する小規模の電源を指して使われる。太陽光、風力、バックアップ用蓄電池、電気自動車(EV)など、再生可能エネルギーを中心に構成され、各州の野心的な再エネ導入率目標の後押しもあり、急速に導入が拡大すると見られている。分散型電源の乱立により、電力会社は料金収入の減少は避けられない。また配電系統に対しては深刻な品質リスクをもたらすため、配電部門は品質確保のためのシステム開発など、新たな設備投資・費用が必要となる。  分散型電源の大量導入により、最も負担が大きくなるのは配電系統と言われている。そもそも既存電力会社のビジネスモデル、送配電系統のシステム設計・開発は小規模分散型ではなく、大規模集中型の電源構成をベースに送電線、配電線を経由して、グリッドの末端まで単一方向に電力を伝搬するモデルに基づいている。社会コストを最小限に抑えつつ、送配電系統の品質維持のための必要投資を推し進めるためには、抜本的な制度改革、システム開発、電力会社のビジネスモデル再構築が必要と言われている。

・ 【スポット解説】炭素の価格付け導入に布石!? 2016/06/11

温暖化対策が主眼の環境白書


 5月31日に閣議決定された2016年度版環境白書では、昨年のパリ協定採択を受け、地球温暖化対策が新たなステージに入ったと強調した。温暖化対策を主題に置き、特に国内への導入が検討されているカーボンプライシング(炭素の価格付け)の動向や、化石燃料の気候変動リスクなど環境に考慮した投資の状況をこれまでより紙面を割いて紹介。環境省が今夏から検討を始める、50年を見据えた「長期低炭素ビジョン」ではカーボンプライシングをどう盛り込むかが焦点となる中、白書の書きぶりはその布石として注目される。

・ 温暖化対策の実施加速をG7が率先 2016/06/01

7年ぶりの環境大臣会合、パリ協定の実施などを議論


 先進7カ国(G7)環境大臣会合が5月15、16の両日、富山市で7年ぶりに開催された。G7とEUの閣僚が一同に会し、気候変動や資源効率性など7つのテーマを議論した。共同声明では、パリ協定に基づく各国の温暖化長期戦略の早期策定など、環境政策の国際枠組みの実施を加速させるため、G7が率先して行動を示すことを表明。議長を務めた丸川珠代環境相は、終了後の会見で、「G7が世界のリーダーとして実施の方向性を示した。G7の行動が各国へのメッセージになる」と強調した。

・ 【エネルギーを見る眼】積極的に競争すべき電力の送配電部門 2016/06/01

域外でのコンサルティングで切磋琢磨を


 最近恐ろしい噂話を聞いた。ある地域では、PV(太陽光発電)の新規系統接続に関して、送配電部門から異常に長い工事期間あるいは工事代金をふっかけられ、交渉してもらちがあかない場合、その管内の旧一般電気事業者のOBに口利きを頼むと、それが高い確率で大幅に短縮・低下するというのである。もし本当なら、送配電部門の信頼性を著しく損ねる由々しき問題である。

・ 【EWN】石油依存からの脱却を目指すサウジの経済改革計画 2016/06/01

観光、製造、物流など産業の多角化に主眼


 5月7日、20年にわたりサウジアラビアの石油政策を導いてきたナイミ石油鉱物資源相が交代した。同国の石油政策が今後どう展開されるのか、関係者の注目を集めている。 サウジの石油鉱物資源相は、1960年の同省設置後、これまで4人が任命されたが、初代、二代が解任・更迭された歴史がある。中でも、2代目のヤマニ石油相が自分の更迭を報道で知るといった仕打ちを受けたことは有名である。それに対して、今回ナイミ石油相には異例の「王室顧問」の人事が準備された。アブドラ前国王が同氏にすべて任せていたことや昨年辞任を希望した同氏を自らが慰留した経緯もあり、サルマーン国王も同氏をないがしろにできなかったのだろう。

・ 【スポット解説】低廉・安定的なLNG調達へ 2016/06/01

経産省が打ち出した「市場戦略」


 5月に北九州市で開催された先進7カ国(G7)エネルギー大臣会合では、より透明で流動性のある天然ガス市場の整備に向け、各国が協力していくことが表明された。これに併せ政府・経済産業省は、「LNG市場戦略」を発表。LNG契約における仕向地条項の緩和や需給を反映した価格指標の形成を目指し、低廉で安定的な調達の実現につなげる方針を打ち出した。

・ 温対計画決定で加速するCO2抑制策 2016/05/21

 政府は5月13日、地球温暖化対策推進法に基づく「地球温暖化対策計画」を閣議決定した。昨年12月の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定を踏まえ、経済産業省と環境省が中心となり策定したもの。今後、政府は計画に基づき「CO2等を2030年度までに13年度比26%削減」に全力を挙げて取り組むことになる。一方で両省は早くも50年以降を見通した長期戦略の策定へ向けて火花を散らしている。

・ 【エネルギーを見る眼】日露首脳会談をどう評価するか 2016/05/21

エネルギー開発で領土交渉の環境を整備


 5月6日、安倍晋三首相はG7サミット前の欧州歴訪の最終地であるロシアの黒海沿岸のリゾート地であるソチを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談を行った。会談時間は約3時間10分で、2時間の首脳会談(通訳のみを交えた35分間の会談を含む)、その後1時間10分のワーキングディナーという形式で行われた。  各種報道によれば、安倍首相はロシアに対してエネルギーや極東開発など8項目の経済協力項目を提案するとともに、最大の懸案である北方領土問題について「今までのアプローチとは違う新たな発想」で交渉を進め、首脳間で解決することで一致したという。

・ 【EWN】CCSと天然ガスの国際事情 2016/05/21

 最近、苫小牧沖において日本初のCCS、つまり石炭火力からの排気ガスに含まれるCO2を分離して、海底下の地層内に閉じ込めるための実証実験が、官民一体で始まった。(この実証試験自体は、石炭火力ではなく石油精製装置からのCO2使用)     これに関して日本の主要メディアでもかなり取り上げられたが、その多くの論調はコスト削減の課題はあるが、いよいよCCSも実用化に近づくと言うようなものであった。  実際CCS商業化に関して、国際エネルギー機関(IEA)では、2050年までに世界の平均気温上昇を2度に抑えるのに必要なCO2削減量の約15%はCCSによるとして期待している。

・ 【スポット解説】全面自由化で変わる電力取引 2016/05/21

TOCOMが先物市場に参入


 4月から電力全面自由化が始まり、あらためて電力取り引きの活用に注目が集まっている。日本卸電力取引所(JEPX)の取引高は全電力需要量のまだ2%に過ぎない(2015年度)。しかし12~15年度は毎年の取引量で前年度2割の急増が続いている。その中で東京商品取引所(TOCOM)が16年度中の電力先物取引市場の開設を目指す。

・ 二重導管で既存需要の4.5%獲得 2016/05/01

6月の収束に向けガス改革議論が加速


 2017年4月の都市ガス小売り全面自由化に向け、詳細制度設計の議論が加速している。総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)ガスシステム改革小委員会が4月22日に開かれ、3月31日の前回会合で結論が先送りされていた、二重導管規制の緩和問題と、経過措置料金規制の指定・解除に向けたパブリックコメント実施の方針が了承された。

・ 【エネルギーを見る眼】電気料金プランに見る理解を越えた複雑な社会 2016/05/01

判断に必要な労力が増大


 この連載では、社会の複雑さについての問題を何度か取り上げてきた。国としてのエネルギー問題を考える上での複雑性、社会問題自体が抱える複雑性など、複雑であることに起因する問題はさまざまな領域において課題となっている。社会が大規模になり構成する要素も増えてきているのであるから複雑さが増大することは仕方ないと考える人もいるかもしれない。しかしながら、本来単純であるべきことを故意に複雑化している側面があることも否めない。今回は身近な問題を例に取り複雑性の問題を考えてみたい。

・ 【EWN】経営悪化の打破を狙う独大手電力の事業戦略 2016/05/01

E.ONとRWEの対照的な異なる方針


 ドイツのエネルギー業界はこれまで大手4社(E.ON、RWE、バッテンフォール、 EnBW)が中心的な地位を占めていたが、電力およびエネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえ、各社ともに大きな転換期を迎えている。とりわけ、1位のE.ONと2位のRWEは、脱原発および再生可能エネルギーの大量導入による火力発電の稼働率低下を背景に経営環境が悪化する中、それぞれ異なる経営戦略により状況の打破を図っている。大手4社のうちE.ON、RWE、EnBWについて、それぞれの経営状況と戦略を紹介する。

・ 【スポット解説】熊本地震でエネインフラに打撃 2016/05/01

都市ガス・LPの復旧難航


 4月14日に発生した「熊本地震」は、7日間で震度5弱以上の揺れが17回観測されるなど、断続的に続いた。これにより、熊本県および大分県のエネルギーインフラに甚大な被害をもたらした。  停電は最大約47万6000件に上った。九州電力は本店に非常災害対策総本部、各支社に災害対策組織を14日の地震発生直後に設置。最大約3600人体制で復旧作業を進めた。さらに、他電力から要員629人、電源車110台が応援に駆けつけ、被災した配電設備の復旧や自治体、病院、避難所への送電作業を行った。  阿蘇市、高森町、南阿蘇村では、大規模の地すべりが起こり、同地区に供給している6万6000Vの送電線の使用が不可能となった。九州電力と応援の各社は電源車を集中的に配備し送電。ガソリンスタンド(SS)から軽油をピストン輸送する体制を確立し対応した。同時に、送電線の一時的な代替ルートの建設工事を進めた。

・ 日米協定に影響与える余剰プル問題 2016/04/21

「包括事前同意制度」を維持していくには


 18年の後、協定はどうなるか――。今後についてはいくつかのシナリオが考えられる。そのうち関係安定のためには、20~30年後の現在のままの延長が最ものぞましいと思われるが、それには米議会の承認を必要とし、そう簡単ではない。  また大統領選の関係で時間がないかもしれない。従って、次善の策だが自動延長が望ましく、米国側でも目下、その方向が強くなっているように見受けられる。ただ、自動延長の最大の難点が、いずれか一方の6カ月の事前通告で協定を破棄できることで、ダモクレスの剣が頭上にぶら下がっているようなものである。

・ 【エネルギーを見る眼】経済成長減速でも増える中国のエネルギー需要 2016/04/21

拡大する石油・ガスの需給ギャップ


 中国では経済の減速や産業の構造的転換に伴い、2015年に石炭の消費量が4%減った。そのため1次エネルギー消費量の伸びは30年ぶりにマイナス5%となっている。しかし、石油・天然ガスの消費量はそれぞれが4.4%、5.7%と増加し、対外依存度はそれぞれ61%と32%に達している。  エネルギーの需給ギャップは10年前の5000万tから、現在は4憶t台にまで拡大している。このギャップをいかに埋め合わせるかことが、石炭に偏重するエネルギーの構造転換や環境負荷などの問題に比べても喫緊の課題となっている。

・ 【EWN】石油の供給過剰はいつ解消されるか 2016/04/21

「低価格は将来の高価格の準備」とIEA報告


 国際エネルギー機関(IEA)は2月に2021年までの「中期石油市場報告」を公表した。そのポイントを次に見て行くが、足元の基調と中期的な基調の違いを供給過剰の解消時期を見据えることで探るという点で興味深い内容を含んでいる。  今回の報告は、第1に需給状況に関し14 年と15 年にそれぞれ日量90 万バレルと200万バレル供給が需要を上回ったが、16 年にはその規模は110 万バレル程に縮小、21年時点では110万バレルの不足(=在庫放出)に転じるとみる。供給過剰が解消するのは17 年に入ってからとみているが、その後はこの間積み増しされた膨大な在庫がいつ市場に放出されるかという点が重要である。生産が抑えられたとしても、在庫の放出が行われれば、供給過剰基調は何ら解消されない。

・ 【スポット解説】耐震審査に担当者が復帰 2016/04/21

電力関係者は行方を懸念


 原子力発電所の敷地内に破砕帯などがある電力会社が、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査(安全審査)の行方を懸念している。破砕帯などの評価を行った規制委の有識者会合で、事務局として取りまとめを行った元安全規制管理官が、地震・津波を担当する規制総括官として復職。安全審査で重要な役割を担うためだ。地質や変動地形学などの専門家が集った有識者会合は、敦賀原発、東通原発、志賀原発の破砕帯などについて「活動性を否定できない」と評価したが、電力関係者は「議論が十分尽くされていない」と会合の運営を批判している。

・ 石油元売りの経営統合に独禁法の「障壁」 2016/04/11

2強時代の到来となるか


 昨年、経営統合を発表した出光興産と昭和シェル石油、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油。2強時代の到来を告げる大型再編だが、その前に公正取引委員会による独占禁止法の審査に対応しなければならない。独禁法には、企業結合に関する規制があり、一定規模以上の企業が合併や事業統合をする際、公取委に届け出をし、審査を受けることになる。

・ 【エネルギーを見る眼】温対計画の進ちょく管理は「費用」を重視せよ 2016/04/11

負担増で海外に産業移転も


 パリ協定を踏まえた日本の温暖化対策計画案が政府によってまとめられ、4月13日までの予定でパブリックコメントを受け付けている。安倍晋三首相は3月15日に開催された地球温暖化対策推進本部における同案の審議を踏まえ、「わが国は、『イノベーションを促す』『国際競争力を高める』『国民に広く知恵を求める』という3つの原則に沿って、大幅な排出削減を目指し、世界の排出削減を主導する」と述べた。   今回の計画案には2つのポイントがある。第1にイノベーションを促し、経済成長との両立及び経済活性化を図るとしている。第2に計画全体において進捗管理、つまりPlan-Do-Check and Act(PDCA)を重視していて、進捗状況を毎年確認し必要に応じて施策を見直すとしている。

・ 【EWN】LNG新時代が遂に開幕 2016/04/11

 2月24日に、待望の米国本土からのLNG初出荷がなされた。これまで大型LNG事業に実績がなかった地元独立系のシェニエール社が建設していた、テキサスとの州境にあるメキシコ湾岸のルイジアナ州サビーンパス液化出荷基地から第一船がブラジル向けに出港した。当面の出荷は、最終需要家ではなく、かつ英蘭シェルに買収されたブリテッシュガス(BG)による長期購入契約分だ。現在、アジアのLNG価格がスポット物も長期契約分も大幅下落して欧州などの大西洋市場とのLNG価格差がほとんどなくなってきていることから、米国メキシコ湾岸からよりフレートコストのかかる日本やアジアにこの先数カ月間は来ることはないと見られる。

・ 【スポット解説】HLW処分で国際シンポ 2016/04/11

スウェーデン関係者が提言


 昨年、高レベル放射性廃棄物(HLW)地層処分事業は一歩前進した。経済産業省の審議会報告を受けて、政府は2016年中に、地質環境特性や長期安定性の観点から処分地の適正が高い地域を科学的有望地として提示する方針だ。ただ、科学的有望地の提示や、その先の処分地選定を進めるためには、国や事業主体が国民との対話を積み重ね、自治体の理解を地道に得ていくしかない。資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)は3月28日、HLW処分事業で日本の先を行くスウェーデンの関係者を招いたシンポジウムを開催。処分場建設予定地選定までの取り組みの発表を踏まえ、日本ではどう進めていくべきか、関係者が議論を交わした。

・ 福島復興を加速、新基本方針を閣議決定 2016/04/01

避難指示解除など依然、課題は山積み


 東日本大震災が発生してから5年が経過した3月11日、政府は新年度の2016年度から20年度までを期間とする新たな復興基本方針を閣議決定した。基本方針は、「総仕上げ」に向けた新たなステージを迎えつつあるとして次の5年間を「復興・創生期間」と位置づけた。しかし、放射能汚染が残る福島県の復興・再⽣は、「中⻑期的対応が必要」と指摘、引き続き「国主導で進める」計画だ。①避難指示の解除、②除染・中間貯蔵施設の整備、③廃炉・汚染水対策――など依然、課題は山積みだ。

・ 【エネルギーを見る眼】高浜原発「差し止め仮処分」の不可解な点 2016/04/01

最大の被害者は立地地域の住民


 3月8日、大津地方裁判所にて住民が提訴していた高浜原子力発電所3、4号機の再稼働禁止仮処分申立に対して、債務者である関西電力に同機の再稼働禁止を命じる仮処分決定が言い渡された。裁判所が「新規制基準の不十分さ」や「発電所の安全性への懸念」を理由に運転差し止めの仮処分を言い渡したのは初めてではないが、今回は運転中のプラントに対して即効力のある仮処分決定が下されたという意味で史上初である。  この裁判史上に残る仮処分決定に関しては「司法審査範囲の基準となってきた最高裁判例を逸脱している」など、既に多くの批判がなされているが、本稿ではこの仮処分決定文にも出てくる「新規制基準の不合理性」をめぐる考え方を取り上げたい。

・ 【EWN】技術進歩、再エネ普及で変革を迎える米電力業界 2016/04/01

エジソン電気協会が打ち出した3本柱


 米国の電力業界は急速な技術の進歩とエネルギーミックスの変化、再生可能エネルギーや分散型電源の躍進を目の当たりにし、大きな変革の時期を迎えている。電気事業者の連合であるエジソン電気協会(EEI)は、「電力系統の近代化」「消費者ニーズを満たすための取り組み」「クリーンエネルギー」の3本柱を設定し、それぞれの分野で2030年に向けた行動指針を策定して取り組みを進めることとしている。 電力系統の近代化では、電力系統を多様な新技術を統合させるプラットフォームとして開発すること、電力系統がもたらす価値のPR、新技術への投資を促進させる政策の推奨、ハイテク企業との提携、サイバーセキュリティー強化に向けた相互支援プログラムの推進などが行動指針として挙げられている。

・ 【スポット解説】広域機関システムを公開 2016/04/01

4月1日から本格運用へ


 電力広域的運営推進機関(広域機関)の中枢とも言える広域機関システムが3月16日、報道公開された。広域機関は国の認可法人として、全国レベルの需給調整による安定供給の確保、送配電網の中立運用による競争促進などを進めていくことを目的に、昨年4月に発足した。すべての電気事業者が会員として加入し、電力の供給計画や需給、系統運用に関する報告が義務付けられる。広域機関はこうした情報を基に司令塔となって、各電気事業者へ需給調整業務を指示し、安定供給を確保していくことになる。

・ 高浜原発「差し止め仮処分」の衝撃 2016/03/21

原子力にリスクゼロを求める裁判所


 関西電力の高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを滋賀県の住民29人が求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は3月9日、運転差し止めを命じる決定をした。関電は10日午前に3号機の原子炉を停止させた。稼働中の原発が司法判断によって停止するのは初めてだ。また、原告は隣接した隣県の住民であり、立地道県以外の申し立てが審理されたのも珍しい。

・ 【エネルギーを見る眼】「原発強国」宣言の陰に中華思想の近隣感 2016/03/21

シルクロード沿いに30基建設する中国


 中華思想の近隣観は「東夷(ルビ*とうい)、西戎(せいじゅう)、北狄(ほくてき)、南蛮(なんばん)」といわれる。東西南北、どこを見ても禽獣に等しい野蛮人……東の魁夷とは倭(日本)であろうか。北狄は万里の長城の北で吠える野犬、南蛮はベトナム辺りの虫けらか、そして西戎とは西の未開人、いまの新疆(しんきょう)・ウイグル人に当たるだろう。中国が最近宣言した「原発強国」の陰に西戎の辛苦が見え隠れするのである。

・ 【EWN】本格化する産油国間の原油生産調整の動き 2016/03/21

サウジとイランの関係修復が前提


 長引く原油安を受けて、産油国間で生産量を調整する動きが活発化し始めている。最初は2月16日、4カ国石油相の非公式会議が条件付きながら原油増産の凍結で合意したと報じられたことである。カタールで開かれた同協議には、サウジアラビア、ベネズエラ、カタールの石油輸出国機構(OPEC)加盟国に非加盟国のロシアが参加した。 大方の関係者は油価の下落を食い止めるには凍結では不十分とする。しかしながら、減産に関して、サウジは「減産はOPEC内外の主な産油国が足並みをそろえることが条件」とした。協議後、ナイミ石油相は「1月水準での産油量凍結で市場にとっては十分である」との見解を示し、合意内容は減産に踏み込まず増産凍結にとどまった。

・ 【スポット解説】温対計画案に長期目標 2016/03/21

産業界は影響を懸念


 昨年末のパリ協定採択を受け、経済産業省と環境省の合同会合は3月4日、今後の温暖化対策の道筋を示す地球温暖化対策計画の案を取りまとめた。委員の間で議論が割れた50年温暖化ガス排出80%減という長期目標は、達成は義務付けないが目指すべき努力目標として入れ込むことになった。しかし、すべての業界の温暖化対策のもととなる計画に長期の数値目標が入ったことは、今後産業界に大きな影響を与えそうだ。  計画案では目指す方向として、30年度13年度比26%減という中期目標を達成すべき目標として明記。その次に、長期目標を見据えた戦略の必要性を挙げ、ここで50年80%減という目標が登場する。

・ ガス小売り料金規制の在り方めぐり議論 2016/03/11

需要家保護の効果に疑問符も


 2017年の都市ガス小売り全面自由化に向けた詳細制度設計を議論する総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)ガスシステム改革小委員会。議論は最終段階に差し掛かっているが意見調整を要する論点はまだまだ山積している。当初の予定では、3月31日に最後の会合を開き意見を取りまとめる予定だったが、一部議論については4月に持ち越さざるを得ない状況だ。

・ 【エネルギーを見る眼】地球は本当に温暖化しているのか 2016/03/11

IPCC提示モデルへの異論に説得力も


 正月明けに本を探しに書店へ行ったところ、『地球はもう温暖化していない』(深井有著)が平積みされていた。題名に惹かれて手に取ってみると、地球はもはや温暖化しておらず、CO2排出増加は脅威ではないと論じている。  著者は中央大学名誉教授の物理学者で、気候学を専門とはしていないが、日本の気候学者・気象学者の大多数がCO2温暖化脅威論に囲い込まれてしまっている現在では、むしろ純粋に科学者として物を考えられる得がたい立場にあると主張する。併読を勧めている前著『気候変動とエネルギー問題』と両方購入してみた。

・ 【EWN】天然ガスと水素に関する期待落差の怪 2016/03/11

コジェネ以外の水素利用は有望性ない


 DME(ジメチルエーテル)と言う「次世代燃料」して一時もてはやされたエネルギー源を覚えているだろうか。10年ほど前に経産省などの肝いりで大々的に利用キャンペーンが国内的に繰り広げられたが、今日では名前さえも聞かくなった。  DMEは主に天然ガスや水素を化学的に改変して、LPG並みの輸送効率と取り扱いやすさを実現した2次エネルギーの可燃性気体だ。主にトラックなど軽油燃料やLNGに代わる火力発電燃料として、利用キャンペーンが熱心に繰り広げられ、メディアも大々的に報じていた。なぜ、DMEは失敗したのだろうか。

・ 【スポット解説】日本ロジテックが撤退 2016/03/11

電力自由化に影響も


 2月24日、大手新電力の日本ロジテック協同組合は4月以降の小売り電気事業者としての登録申請を取り下げ、電力事業からの撤退を表明した。同組合は千葉・銚子市を基盤に人材あっせん業から事業を開始し、2010年からはそのノウハウを活用して電力ビジネスに参入した。具体的には、組合員である全国約1300の中小企業や自治体から集めた出資金を元手に大手電力などから電力を一括購入し、大手より安く電力を販売する形で事業展開していた。  しかし、利幅の薄い電力事業について見込みが甘く、同時同量など需給調整への対応に失敗しインバランス料金が増加し、財務体質の悪化を招いた。昨年5月には再エネFIT(固定価格買い取り制度)の賦課金を期限までに納付せず経済産業省に企業名を公表された。さらに、電力会社への託送料金の支払いも滞りがちだったという。そうした中、同8月に小売り電気事業者の申請を行ったが、これらの未納などが影響し審査が進まず、金融機関から融資が受けられなくなり、資金繰りはさらに悪化した。

・ JERA、30年に純利益2800億円へ 2016/03/01

既存火力統合は実現するのか?


 東京電力と中部電力の火力事業合弁会社JERAは2月10日、2030年までの事業計画を発表した。両社は3段階にわたり、JERAへの事業統合を進めている。昨年10月に燃料輸送事業、燃料トレーディング事業を統合したのがステップ1。ステップ2では、今年7月に上流事業、調達事業などの既存燃料事業、既存海外発電・エネルギーインフラ事業を統合する。今回発表の事業計画はステップ2の内容を踏まえて作成した。ステップ3の既存火力発電事業・関連資産の統合については17年春に判断する。

・ 【エネルギーを見る】安倍首相が異例の再訪 2016/03/01

打開を目指す日ロ関係


 今年4月末にも安倍晋三首相がロシアの一地方都市を訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談する可能性が高まっている。安倍首相は2013年4月にロシアを公式訪問しており、外交儀礼的には次はプーチン大統領が訪日する順番であり、その意味で異例の再訪ロとなる。  筆者がロシア外交筋から聞いた話によると、安倍首相のロシアの一地方への訪問を最初に持ち掛けたのは、ロシア側で、昨年9月末にニューヨークで安倍首相とプーチン大統領の首脳会談が行われた時だった。これを受けて、日本政府は11月のトルコでのG20首脳会談の脇で行われた日ロ首脳会談の際にロシア側に前向きの回答をしたという。

・ 【EWN】混迷の度を増す中東情勢、対立を深めるサウジとイラン 2016/03/01

新指導層の政策手腕の評価分かれる


 IS(イスラム国)によるテロ、シリア情勢、イエメン内乱など、混迷の度を深める中東で新年早々、新たな対立構造が持ち上がった。しかも、あろうことか、石油輸出国機構(OPEC)1位、2位の産油国同士の対立である。2大地域大国というべきサウジアラビアとイランの対立は、石油消費国にとって最悪の悪夢である。 1月2日、テヘランのサウジアラビア大使館が暴動に襲われ、7日には、サウジの軍用機がイエメンにあるイラン大使館を爆撃するなど、エスカレートの一途をたどった。

・ JERA、30年に純利益2800億円へ 2016/02/21

既存火力統合は実現するのか?


 東京電力と中部電力の火力事業合弁会社JERAは2月10日、2030年までの事業計画を発表した。両社は3段階にわたり、JERAへの事業統合を進めている。昨年10月に燃料輸送事業、燃料トレーディング事業を統合したのがステップ1。ステップ2では、今年7月に上流事業、調達事業などの既存燃料事業、既存海外発電・エネルギーインフラ事業を統合する。今回発表の事業計画はステップ2の内容を踏まえて作成した。ステップ3の既存火力発電事業・関連資産の統合については17年春に判断する。

・ 【エネルギーを見る眼】安倍首相が異例の再訪 2016/02/21

打開を目指す日ロ関係


 今年4月末にも安倍晋三首相がロシアの一地方都市を訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談する可能性が高まっている。安倍首相は2013年4月にロシアを公式訪問しており、外交儀礼的には次はプーチン大統領が訪日する順番であり、その意味で異例の再訪ロとなる。  筆者がロシア外交筋から聞いた話によると、安倍首相のロシアの一地方への訪問を最初に持ち掛けたのは、ロシア側で、昨年9月末にニューヨークで安倍首相とプーチン大統領の首脳会談が行われた時だった。これを受けて、日本政府は11月のトルコでのG20首脳会談の脇で行われた日ロ首脳会談の際にロシア側に前向きの回答をしたという。

・ 【EWN】混迷の度を増す中東情勢、対立を深めるサウジとイラン 2016/02/21

新指導層の政策手腕の評価分かれる


 IS(イスラム国)によるテロ、シリア情勢、イエメン内乱など、混迷の度を深める中東で新年早々、新たな対立構造が持ち上がった。しかも、あろうことか、石油輸出国機構(OPEC)1位、2位の産油国同士の対立である。2大地域大国というべきサウジアラビアとイランの対立は、石油消費国にとって最悪の悪夢である。  1月2日、テヘランのサウジアラビア大使館が暴動に襲われ、7日には、サウジの軍用機がイエメンにあるイラン大使館を爆撃するなど、エスカレートの一途をたどった。

・ 【スポット解説】経産・環境省が電力業界のCO2排出抑制枠組みで合意 2016/02/21

 林幹雄経済産業相と丸川珠代環境相は2月9日の会見で、電力分野の温室効果ガス削減枠組みの実効性確保に向けて、両省が連携して取り組むことに合意したとそれぞれ発表した。ただ今回の合意では、両省間の目下最大の懸案課題である石炭火力新規立地の環境アセス問題には触れずじまい。合意が石炭火力の立地容認へとつながるかは依然不透明な状況が続きそうだ。

・ 福島事故で汚染の森林、奥地は除染せず 2016/02/01

環境回復検討会で結論、樹皮の処分など課題多く


 これまで結論が持ち越されてきた、福島第一原子力発電所事故で汚染された生活圏より奥地の森林対策について、昨年12月末、環境省の環境回復検討会で方向性が示された。住居付近の空間線量率に影響するような放射性セシウムの流出が確認されなかったため、落ち葉など堆積有機物の除去による除染は行わない方針を固めた。 森林の空間線量率は、2011年に比べ14年には58~67%に低下している。事故発生直後、葉や枝に多く付着していた放射性物質は、時が経つにつれ落ち葉や土壌に移行。いまは8割程度が土壌表層部に移っており、土壌の粘土層で放射性物質が固定されている。つまり、落ち葉や土壌表層部の対策が、線量率を下げる有効な手立てになる。

・ 【エネルギーを見る眼】国際化する人民元 石油決済通貨としての台頭 2016/02/01

ロシア、サウジ、アフリカで進むドル離れ


 最近、人民元国際化のペースが加速している。国際通貨基金(IMF)は2015年11月30日、16年10月1日より自由利用可能通貨として、人民元をドル、ユーロ、円、ポンドとともに特別引き出し権(SDR)構成通貨に加えることを決定した。 これは、人民元国際化にとって重要な意味を有しており、人民元が国際通貨として認められるシンボルとなっている。今回のSDR通貨追加は、35年ぶりの大掛かりな構成変更となり、人民元はSDR通貨バスケット比率が10.92%と、ポンド、円の比率を超え、米ドル、ユーロに次いで、3大SDR構成通貨となった。  人民元の国際化に伴い、人民元建ての国際取り引きの決済割合が増える中、中国と数多くの産油国との貿易決済で人民元を使用するようになり、「石油人民元」が台頭しつつある。

・ 【EWN】サービス部門に巨額投資する 英セントリカの経営戦略 2016/02/01

原油・ガス価格安で投資を再配分


 英国電力・ガス大手であるセントリカは、1997年の発足以来、上流から下流にわたるさまざまな企業との提携および買収を通して成長してきた。しかしながら2014年度は、石油・ガス価格の下落などにより、営業利益の約半分を占める上流事業の収支が特に悪化した結果、最終損益は約マイナス10億ポンド(約マイナス1800億円)と赤字に転落。それを受けて同社が昨年7月に打ち出した新戦略は、これまで年間設備投資額の6~9割を投じてきた石油・天然ガスの探鉱・開発・生産(E&P)事業への投資を縮小し、エネルギーサービス分野への投資用に再配分するものとなっている。  エネルギーサービス分野についてセントリカは、既に2000年代後半から関連企業との提携・買収を進めてきており、08年から15年までの8年間で約4億ポンド(約720億円)を投じて買収してきた。新戦略を見ると、同分野への投資額は再配分による上積み分だけでも16年から20年までの5年間で約15億ポンド(約2700億円)であり、これまで将来の成長を見込んで種をまいてきた事業に本腰を入れることとなる。

・ 【スポット解説】IAEAの専門家が規制行政を検証 2016/02/01

 国際原子力機関(IAEA)は1月22日、日本の原子力規制の取り組みを検証する調査を行い、暫定勧告を公表した。「原発事故の教訓を迅速かつ実効的に反映させた」とする一方、職員の能力向上、効率的な行政活動などを求めた。最終報告書は今後3カ月以内にまとめられる。  IAEAが行ったのは「総合規制評価サービス」(IRRS)。IAEAが加盟国の要請に基づき、要請国の原子力安全や放射線防護に関する各種の規制や取り組みについて専門家を集めてレビューミッションを派遣するサービスの一つ。今回は24人の専門家が参加し2週間にわたって、行政機関、事業者を調査した。事業者では、福島第一原子力発電所、高浜原子力発電所、日本原燃六ヶ所工場、東海第二発電所などを視察した。リーダーはフランス原子力安全局コミッショナーのフィリップ・ジャメ氏が務めた。

・ 全面自由化へ電力新料金メニュー発表相次ぐ 2016/01/21

サービス競争が自由化の成否握る


 2016年、電力業界は大きな節目を迎える。4月1日の電力小売り全面自由化により、新規事業者がこれまでの大口需要家向けにとどまらず、家庭向け電力販売にも乗り出せるようになるからだ。電力の安定供給を支えてきた地域独占体制は消え、消費者の選択肢は広がる。一方で、多くの事業者からさまざまなメニューが示されることで、消費者の混乱を招く恐れも指摘されている。  

・ 【エネルギーを見る眼】温暖化対策は3Eのバランスを踏まえて 2016/01/21

パリ協定の「中身」は「公平」ではない


 日本がパリ協定に提出したCO2排出削減の数値目標(2030年に13年度比でマイナス26%)を達成することは、国際法上の義務ではない。数値目標の達成に向けた温暖化対策を実施することは義務であるが、この内容は各国に任されている。日本は3E(環境、経済、エネルギー安定供給)のバランスを踏まえた、現実的な政策を実施すべきである。なぜなら、パリ協定においては他国が日本と同程度のコストを伴う温暖化対策をするという保障は無いからである。

・ 【EWN】40年振りに輸出解禁 米国産原油の影響は 2016/01/21

日本への供給は価格次第


 2015年1~11月の米国の原油生産量は日量934万バレルで、14年平均の870万バレルよりも64万バレル増加した。増加率は鈍化したものの、サウジアラビアのシェア維持政策に惹起された原油安にもかかわらず、増産を維持した。 こうした増産基調を背景に、米議会上下両院は、15年12月18日、40年続いた米国産原油の輸出禁止措置を撤廃する歳出法案(16会計年度)を賛成多数で可決した。法案は、オバマ大統領が同日署名し成立した。輸出の本格化には少なくとも数カ月かかるとみられるものの、シェール革命で世界最大の産油国となった米国の割安な原油が市場に出回れば、原油安の圧力が強まると観測する関係者は多いが、果たしてどうなるか。

・ 【スポット解説】透明な石油価格確立へ エネ庁が市場調査を開始 2016/01/21

 資源エネルギー庁は、石油製品の透明性の高い価格指標を確立するため、価格形成や取引の実態、石油産業の収益構造に関する調査を3月末までに国内外で実施する。  今回の調査は「価格指標を新たに構築し、ガソリン仕切り価格の事後調整をなくしたい」(エネ庁石油流通課)――との考えから始まった。事後調整とは、元売りと特約店が月末の締め日に協議して行う価格調整だ。例えば、販売競争が激しい地域ではガソリンの販売シェアを拡大するために、時には採算を度外視した値下げを行う。こうした値引き分を元売りと特約店が協議して、価格の埋め合わせをする。

・ 福島の復興に向けて一歩前進 2015/09/01

9月5日に避難指示が解除される楢葉町


 国の原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)は、楢葉町に出していた避難指示を9月5日に解除することを決定した。解除には、①空間線量率が年間20ミリシーベルト(mSv)以下、②電気・ガス・通信・上下水道などのインフラや医療・介護などの生活関連サービスが復旧し、子供の生活環境などの除染が十分に進ちょく、③県・市町村・住民と十分に協議――の3要件がいる。楢葉町はこれらの要件を満たした。 避難指示は既に田村市・川内村の一部で解除されているが、全町を対象とした解除は楢葉町が初めて。解除は復興への重要な一歩であり、残る双葉郡の浪江町、双葉町、大熊町、富岡町の復興の先駆けになると期待が集まっている。

・ 【エネルギーを見る眼】電力自由化で電源構成を開示する費用とリスク 2015/09/01

開示義務化に消極的な理由


 2016年4月の電力小売り全面自由化に向け、まだ多くの問題が残されている。電力取引監視等委員会発足前の最後の会合となった7月28日の制度設計WGでも意見が対立し、結論を先送りした問題のひとつに小売事業者の電源構成開示義務化がある。  私は電力自由化のメリットのひとつとして、電源構成が重要と考える消費者が事業者の電源構成も考慮して自由に事業者を選べ、結果的にエネルギーミックスに影響を与えられる点を挙げてきた。その私が電源構成開示義務化に消極的なのは矛盾していると、お叱りを受けている。しかし、経済学的に考えて、自分の議論が矛盾していると思わない。本稿では情報開示に関する経済学の基本的な考え方を紹介する。

・ 【EWN】WTI、6年5カ月ぶりの安値を記録 2015/09/01

中国の景気動向が油価回復の鍵


 原油価格が底値を探っている。8月13日、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)で原油先物相場が大きく下落した。基準銘柄であるWTIは一時1バレル41ドル台に下落、終値は42.43ドルで6年5カ月ぶりの安値を更新した。その後、41~42ドル台で推移し、20日の終値は41.40ドルであった。6月10日の終値61.43ドルから20ドル下げた形だ。  高水準で維持されている米国の原油生産や制裁解除に伴うイランの輸出増など供給面での要素に加え、ここに来て中国景気の減速による需要減の観測も高まっている。その結果、原油相場を含め商品市況全般で先安観が強まった。供給面では、サウジアラビアやイラクの増産を背景にOPEC(石油輸出国機構)の7月の生産量は日量3180万バレルと約3年ぶりの高水準を記録したことも大きい。そこに新たな展開として7月14日に経済制裁の解除が合意されたイランからの原油輸出の拡大が現実のものとなって来た事情が加わる。

・ 【スポット解説】報告書年度内に ガス全面自由化へ詳細設計議論始まる 2015/09/01

 2017年の都市ガス小売り全面自由化に向けた詳細制度設計議論が始まった。13年8月に議論に着手した電力システム改革からちょうど2年遅れのスタート。8月20日に開催された総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)ガスシステム改革小委員会の第22回会合では、「先行する電気の詳細設計議論を参考にしながら、ガスの特性を踏まえた効率的かつ丁寧な検討を進める」ことが、事務局経産省側から提案された。藤本武士・ガス市場整備課長は会合後、記者団の質問に対し、「少なくとも月1回のペースで会合を開き精力的に議論する」と述べ、議論の取りまとめ時期については「年度内」を目途とする考えを示した。

・ 日本を尻目に勢いづく中国の原子力産業 2015/06/21

20年後には世界の覇権を握ることも


 中国の原子力産業の動きが活発だ。2050年までに500基の原子力発電所の稼働を目指し、輸出も熱心だ。原子力に逆風の続く日本の優位が失われる可能性がある。  「AIIB(アジアインフラ投資銀行)の狙いのひとつは『赤い原子炉』を輸出するための融資体制づくりではないのか」。あるアジアの国の外交官は、日本で議論が続く中国主導の国際金融機関について語った。この人によれば、中国の政府関係者と原子力関係企業がアジア各国で、同国製の原子炉をセールスしていることが確認されているという。

・ 【エネルギーを見る眼】自衛隊は中東産油国の要請に応えられるか! 2015/06/21

新安保政策に期待するGCC諸国


 混迷のイエメン、自称イスラム国(IS)や過激派の跳梁跋扈(ルビ*ちょうりょうばっこ)、イランの核武装問題など、「日本の死活的問題」とされる石油供給ルート上にあるアラビア半島とその周辺は、危機的状況である。  まずイエメン。古来、乳香、没薬の交易で栄え、「幸福のアラビア」と呼ばれたイエメンだが、いまや破たん国家になりつつある。きっかけは「アラブの春」で、大衆デモに見舞われた長期・独裁のサーレハ大統領が退任、権力の空白ができた。そこに南部に基地を置くアルカイダ系過激組織「アラビア半島アルカイダ」が勢力を広げ、北からはシーア派武装組織ホーシー派が、破竹の勢いで南下、昨年秋には首都サナを制圧した。

・ 【EWN】再エネ普及で重要性を増す欧米の容量メカニズム 2015/06/21

日本にとって相応しい仕組みは


電力市場を自由化し、競争原理の導入を進めるシステム改革が行われる。電気事業での効率化が期待される一方、発電設備への投資の意思決定も市場原理に委ねられるため需要に見合う供給力が不足する懸念が出ている。 供給力が不足すると、卸電力市場で価格が上昇する。それがインセンティブになり電源投資を促すという考えがある。だが、高い価格は政治的に許容できず、卸電力市場での入札価格に一定の上限を設けられることになる。すると、いくら効率的な電源でも固定費の回収ができず(ミッシングマネー)、結果として中長期的に十分な供給力を確保することが難しくなる。 さらに再生可能エネルギーの普及が問題を深刻化させる。限界費用がゼロに近い再エネの発電電力量が多い時、既存の電源は市場で落札できず、稼働率が下がり収益性が悪化する。バックアップ電源として必要な火力電源などが市場から撤退を余儀なくされれば、再エネの発電電力量が少なくなった時に供給不足に陥る。

・ 【スポット解説】小規模火力の新設に待った!経産省が6月にもWG設置 2015/06/21

 経済産業省は、非効率な火力発電所の新設抑止に乗り出す。6月15日の総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)省エネルギー小委員会(委員長・中上英俊・東京工業大学特任教授)の第14回会合で示した、今後重点的に取り組む省エネ対策の骨子案の中で、6月にも同小委の下部組織として「火力発電に係る判断基準ワーキンググループ(WG)」を設置する方針を盛り込んだ。同WGで省エネ法の判断基準(告示)を見直し、2015年中の改正を目指す。

・ 環境省、石炭火力のアセス対象見直しを検討 2015/06/01

小規模や燃料転換の扱いが論点に


 環境省は、石炭火力の計画が相次いでいることを受け、環境影響評価(環境アセスメント)の見直しを検討する。5月19日に開いた中央環境審議会(環境相の諮問機関)環境影響評価制度小委員会では、小規模石炭火力発電所の事業計画や、2015年度の電力供給計画などから問題点を洗い出した。政府は4月末、30年の電源構成で石炭は26%程度、温暖化ガス削減目標は30年に13年度比26%減とする原案を相次いで発表。数値目標実現に向け、経済産業省は省エネ法の見直しで小型石炭火力の建設阻止を狙う。これに対し環境省は、現在環境アセスの対象に含まれない小型石炭火力や、石炭に燃料転換した場合の扱いなどについて検討を進める方針だ。

・ 【エネルギーを見る眼】再エネ普及を妨げる回避可能費用の問題点 2015/06/01

プレミアムをつけることで解決を


 FIT(固定価格買い取り制度)における回避可能費用算定方法見直しの議論が進んでいる。回避可能費用とは、FIT対応の再生可能電源の電気の(外部性の価値などを含まない)「電気としての価値」とされ、調達価格算定委員会が決める買い取り価格と回避可能費用の差を買い取り事業者(小売事業者)に補填(ほてん)する。この原資は電力消費者が賦課金として負担する。  この算定は全電源平均可変費用で始まった。再生可能電源が入っても短期的に調整されない、可変費用の低い電源も含めた全電源可変費用は、実際に調整する例えば火力の平均可変費より明らかに低い。再生可能電源導入に伴い長期的にはすべての電源投資が調整される可能性はある。しかしそれなら全電源は正しいとしても固定費も加えられるべき。この明らかに不合理なルールはようやく昨年度改定された。今回は、電力システム改革にともない、さらなる改革として、卸市場価格に連動した回避可能費用が検討されている。

・ 【EWN】新国王でOPEC総会を前に存在感増すサウジアラビア 2015/06/01

米国のイラン重視政策には不信感


 6月5日、ウィーンで石油輸出国機構(OPEC)総会が開催される。今回の総会では、市況の建て直しを狙う生産上限の引き下げを含むさまざまな議論が予想される。目下の報道では、生産上限の据え置きを示唆するものが多い。その根拠は、昨年下期から始まった原油価格の下落は、シェールオイル増産のけん制を意図した減産見送りにあった以上、前回の判断の妥当性を考慮すれば、今回も同一の判断を行うだろうというものである。  前回総会ではOPECの盟主を自他ともに認めるサウジアラビアが減産に反対した。同国のスタンスは変わっておらず、昨年11月と同様、減産見送り・生産上限維持を行いながら、引き続きOPECとしてのシェア維持・拡大を図る可能性が大きい。

・ 【スポット解説】国と電力の役割分担明確化へ 2015/06/01

原賠制度の見直し開始


 原子力損害賠償制度の見直しについて議論が始まった。原子力委員会の専門部会として設けられた原子力損害賠償制度専門部会(部会長=濱田純一・前東大総長)は5月21日、都内で初会合を開いた。今後、1~2カ月に1回程度のペースで会合を開き、現在の賠償制度の見直しに向けて意見を集約していく。  現在の制度では、原発事故が発生した場合、原子力事業者に故意や過失を問わず(無過失責任)、賠償について無限責任を負わせる。そのため福島第一原子力発電所事故では、東京電力は膨大な賠償負担を負うことになり経営が行き詰った。エネルギー政策の中で今後も原発が重要なベースロード電源と位置付けられたこと、また電力自由化など原子力事業を取り巻く環境が変化することなどを踏まえて、事故時の国の責任や原子力事業者との役割分担などの明確化が求められていた。

・ 製油所統廃合、17年目標にガソリン能力で基準 2015/05/01

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会石油・天然ガス小委員会は3月28日、エネルギー需給構造高度化法による製油所統廃合促進策の第2弾をまとめた。これまでの重視梅雨分解装置の装備率基準に加えて、新たにガソリンの精製能力で目標を設定する。

・ 【エネルギーを見る眼】原発大国への道を歩む中国 2015/05/01

自主ブランドの開発を完成


 中国では、福島第一原子力発電所事故を踏まえて、安全性が確認されるまで原発の新規着工が一時凍結されていたが、2012年12月には本格的に解除された。国内の急速な原発建設を拡大するため、積極的に欧米先進原発国から技術を導入し、建設運営を行ってきた。目下、国内原発の建設を加速するのみならず、海外への原発進出にも積極的に乗り出している。

・ 【EWN】米国西海海岸初のLNGは出るのか? 2015/05/01

西海岸、ジョーダンコーブの行方


 米国エネルギー省が、オレゴン州のジョーダンコーブLNGプロジェクトからのFTA非締結国向けのLNG輸出を承認した。これで承認は7件目となる。米国西海岸のプロジェクトとしては初めて。承認待ちリストの次は同じくオレゴン州で計画されるオレゴンLNGとなる。どこまで承認が続くのか予断はできないが、①経済的便益がプラスであると報告されている数量を超えてはいないこと、②承認ペースが落ちているわけではないこと、③北米ガス価格が依然としてさほど上昇の傾向をみせていないこと――からすれば、オレゴンLNGも早晩に承認されるだろう。

・ 【スポット解説】夏の電力不足回避も安定供給は綱渡り 2015/05/01

 原子力発電所が全基停止し再稼働が見通せない中で、電力需要がピークに達する夏を迎えようとしている。原発を持たない沖縄電力を除く電力9社が4月17日、経済産業省の「電力需給検証小委員会」に報告した今夏の需給見通しでは、全社の最大需要に対する供給余力を示す予備率が、安定供給の最低限の目安とされる3%を上回り、電力不足はひとまず回避さめる見込みだ。

・ 大手3社の法的分離は結論示さず 2015/02/01

経産省・システム小委員会の報告事案まとまる


 経済産業省の有識者会議、ガスシステム改革小委員会は1月13日、2017年度をめどに都市ガス小売り事業を全面自由化する方針を盛り込んだ報告書案を取りまとめた。最大の懸案だった大手3社の導管部門の法的分離については、委員らの意見を併記するにとどめ、結論は示さなかった。経産省は、これを踏まえたガス事業法改正案を26日召集の通常国会に提出する。

・ 【エネルギーを見る眼】急拡大する石油・ガスの対外依存度 2015/02/01

エネルギー需給の最新動向を分析すると


 中国のGDP成長率が2014年に7.4%と減速、「新常態(ニュノーマール)」に入っている中、原油安に伴う中国石油・天然ガス事情に注目を集めている。中国はすでに米国に次ぐ世界第2位の石油消費大国、米ロに次ぐ世界第3位のガス消費大国になった。14年には中国の原油輸入量は、13年同期と比較して9.5%増加し、3億838万tになった。14年の石油輸入の対外依存度は6割近く、天然ガス対外依存度は3割以上に達している。

・ 【EWN】度重なる値上げでようやく黒字の韓国電力 2015/02/01

原油価格の下落で値下げ圧力も


 政府が株式51%を保有する韓国電力は、2000年代半ばからの燃料価格高騰などにより業績が悪化し、08年度に赤字転落、以降、12年度まで5期連続で赤字を計上し、累積赤字額は9兆8592億ウォン(13年レートで約8800億円)に達していた。しかし、13年度は、売上高が54兆370億ウォン(約4兆8200億円)と前年度比9.3%増、純利益は1850億ウォン(約170億円)と6年ぶりに黒字化した。14年度は、第3四半期(9月末)までの売上高が同7.1%増の42兆5690億ウォン(14年1~9月レートで、約4兆2100億円)、純利益が2兆3220億ウォン(約2300億円)と、業績が本格回復している。

・ 【スポット解説】再エネ・省エネ対策に偏重 2015/02/01

 経済産業省は1月14日、資源・エネルギー関係予算案を公表した。2015年度当初予算案は7965億円と前年度当初予算比で8.8%の大幅減となる。しかし14年度補正予算案は3284億円と、13年度の965億円から大幅増となった。安倍政権のアベノミクスによる積極的な財政政策を背景に、ある程度の予算拡大は認められる方向だ。

・ 今冬の電力需給、予備率3%を確保 2014/11/01

北海道は料金値上げの影響も勘案


 今冬の電力需給見通しがまとまった。経産省の電力需給検証委員会が10月23日発表した報告書によると、2014年度冬季の電力需給は、全国の電力会社管内で安定供給に最低限必要とされる予備率3%以上を確保できる見通しだ。気温は過去10年間で最も厳寒だった11年度並みを想定しつつ、経済成長の伸びや節電の定着などを織り込んでいる。ただ、関西電力と九州電力の2社については、ギリギリの予備率3%となっており、発電設備などで深刻なトラブルが発生すれば危険水域に突入する可能性も否定できない。このため、継続的な節電対策の必要性を訴えている。

・ 【エネルギーを見る眼】福島事故調査報告に見る「後知恵の議論」の不毛さ 2014/11/01

3月11 日午後6時、緊急対策室にいたら


今、エネルギーの選択の議論が広く行われているが、その際にそれぞれのエネルギーの持つネガティブな側面、つまりリスクがその選択に影響を与えることは言うまでもない。さまざまなエネルギーの選択肢の中で、特にそのネガティブな側面が強調されているのが原子力エネルギーである。

・ 【EWN】原油市況急落に戸惑う中東産油国 2014/11/01

減産を見送ったサウジの思惑


 世界経済が減速している。世界全体の石油需要は2014年、日量9120万バレルで前年比100万バレル増であるが、景気低迷を受け年初見通しからは30万バレル下方修正されている。しかし、先進国では国・地域ごとに状況が一律でない。米国経済は不安要因を抱えながらも堅調を維持しているのに対し、欧州の景気は足踏みを続け、日本も消費税引き上げ後、需要の落ち込みが続いている。

・ 【スポット解】温暖化削減目標の検討開始 環境省、経産省に相違も 2014/11/01

温暖化ガスの排出削減目標を決める議論がスタートした。中央環境審議会(環境相の諮問機関)と産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)は10月24日、次期削減目標に関する合同会合を開催した。電源構成の組み合わせであるエネルギーミックスが決まっていない中、削減目標の議論を先行する形となった。来春のとりまとめを予定しているが、中長期の原発稼働状況が不透明なこと、環境省と経済産業省の間で考え方の相違があることなどから、議論は難航しそうだ。

・ 北海道のメガ風力で環境省がアセス意見 2014/09/01

プロジェクト急増で自然環境への影響を懸念


 環境省は8月21日、道北エナジー社が計画している北海道稚内市などの超大型風力発電事業に対する環境大臣意見を公表した。この事業は合計150万kWに及ぶ超大型風力発電事業で、国内では例がない。北海道では、国の再生可能エネルギー事業の導入拡大を受けて、太陽光や風力の立地が急速に進んでいるが、特に風力では適地が送電網の脆弱(ぜいじゃく)な場所に偏在しているため、国の支援による送電網強化のプロジェクトが進んでいる。道北エナジー社の150万kW超大型風力発電事業は、こうした動きを踏まえての計画だが、稚内市周辺は湿地や湖沼、希少動植物が多く存在する地域で、再生エネと環境保全をどう両立させるのか。今後、大きな問題となりそうだ。

・ 【エネルギーを見る眼】現行の電気事業報酬は適正か 2014/09/01

見直すべき3割の自己資本比率


 北海道電力の電気料金再値上げの申請を受け、その審査が始まった。値上げ率は大幅で、短期的に北海道経済に打撃を与えるだけでなく、安定的な需要家の退出に伴う系統の不安定化が長期的に再生可能エネルギー普及の妨げになることも懸念される程、深刻な率だ。  今回の審査では、原発再稼働の遅れに伴う変分改定と認められれば、事業報酬率を議論する余地はほとんどない。しかし私は事業報酬率に対して割り切れない思いをずっと抱いてきた。今回はあえて事業報酬の問題を取り上げる。 

・ 【EWN】不透明感を増した石油市場 2014/09/01

徐々に広がる供給過剰感


 IEA(国際エネルギー機関)は、8月12日、月次石油市場報を発表したが、関係者の間で、本報告の評価が分かれている。12日付国内経済紙は、「IEA:石油供給、良い状態」という見出しで、「ウクライナやイラク、リビアでの紛争激化にも拘らず、石油供給は予想以上の良い状態にあり、需要減や北米、西アフリカでの生産増が紛争による懸念を相殺している」との分析内容を報じた。これに対し、主要国際紙のひとつは、むしろIEAが本年の石油需要増を下方修正したことを重視し、現在の石油市場には予想以上の供給があり、大西洋市場には供給過剰が存在することを強調した。

・ 【スポット解説】国が電力自由化に備え、原発事業支援 2014/09/01

政府が基準価格の導入を検討


 8月21日、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の原子力小委員会が開かれ、電力の小売り全面自由化後も原子力事業が継続できるよう、原子力発電所の新増設や維持を国が支援する仕組みの検討を始めた。具体的には、原発でつくられた電気を一定の販売価格で保証する制度、政府による新規建設支援策などの海外の事例が紹介された。  小委員会では、経産省が3E(エネルギー安全保障・安定供給、経済性、地球温暖化)などの観点から、ベースロード電源としての原子力事業の必要性を明言。その上で、電力の全面自由化後の原子力事業の課題として、①長期的に投資・費用の回収ができなくなるリスク、②財務・会計上の理由から廃炉の判断が影響を受ける可能性、③政府による安全規制の変更で、一括で多額の財務的な損失が発生し、事業者の財務状況の悪化と電力安定供給への支障が出る可能性、④バックエンドなど共同事業体制への懸念──などを指摘。電気料金引き下げ競争が起きれば、経営体力が弱まり、原発をやめる事業者が出てくる可能性を懸念した。

・ 【スポット解説】北海道電が17%の値上げ申請 2014/08/22

 北海道電力は7月31日、経済産業省に料金改定の申請を行った。値上げ幅は規制部門で平均17.03%(自由化部門は平均22.61%)。10月1日からの実施を予定している。同社は昨年9月1日、7.73%(自由化部門11%)の値上げを行ったが、泊原発の再稼働の遅れにより収支悪化に歯止めがかからず、昨年の申請(規制部門10.2%)を上回る幅の改定を求めることになった。

・ 将来に恥じないエネルギー政策にまい進 2014/08/11

新電ガ部長が就任会見


7月4日付で就任した多田明弘・経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部長が、24日、エネルギー専門誌との会見に応じた。電力、ガス事業ともにシステム改革議論の真っただ中にあり、今後の日本のエネルギー行政の行方を決める大事な時期に、新電ガ部長はどのような采配を振るうのか。会見を通して一環して強調したのは、国民の期待に応えられるシステム改革を実行するという決意だ。

・ 【エネルギーを見る眼】ウクライナ危機の混迷化で日露エネルギー協力に暗雲 2014/08/11

極東でのLNGプロジェクトに影響も


 一昨年末の政権発足以来、日露関係を強化すべく、5回も露プーチン大統領との首脳会談を行い、一連のウクライナ危機勃発後も、米国はもちろん、欧州と比較しても穏やかな制裁措置にとどめることで、同大統領の今秋来日実現を目指していた安倍政権の対ロシア外交に暗雲がたちこめ始めている。

・ 【EWN】豪州事業を見直す有力海外事業者 2014/08/11

豪州一服感が漂う今後のLNGの行方


 豪州からの退潮、ないしはプレーヤーの再編がじわりと進んでいることが感じられる。世界的なLNG展開の中で、①有力企業がポートフォリオを整理し、資金を集中させようという企業的戦略と、②かねてからの高コスト化にともなう資金負担増に加えて、③最近のスポット市場の安値傾向、④数年後に控えた米国産LNGの到来――などがその動きを活発化させようとしている。

・ 都市ガス保安責任は導管事業者へ 2014/06/11

エネ庁小委で学識者委員が議論の応酬


 都市ガス小売り事業の全面自由化の在り方をめぐり、議論が白熱している。総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の第9回ガスシステム改革小委員会が5月29日に開催され、自由化後の利用者所有のガス工作物や消費機器の保安責任について話し合われた。都市ガス業界は、「一義的には小売り事業者が保安責任を負うべき」との意見を表明したが、委員らは関西電力が主張した「導管事業者が担う」ことで意見がおおむね一致した。

・ 【エネルギーを見る眼】生物的資源への再転換は可能か 2014/06/11

続々・化石燃料文明の終わりの始まり?


 化石資源が有限である以上、真に長期的な文明の継続のためには、再生可能エネルギーに期待せざるを得ないであろう。しかし、現在の水準では、再生可能エネルギーのみで先進国の現在の生活水準を維持しつつ、発展途上国の今後の生活水準を向上させるために必要なエネルギーを賄えるかといえば、疑問符が付かざるを得ない。アイスランドのように地熱と水力という再生可能エネルギーに8割方依存している先進国も存在しているが、人口が極端に少ない一方、自然エネルギー資源に恵まれているという条件がそろっている幸福な国は少ないだろう。