EPレポート

・ 【EWN】英国でシェール革命起きず! 政府は「開発」で右往左往 2019/11/26

関連活動への46億円の投資は水の泡に


 英国政府は11月1日、国内での水圧破砕を停止すると発表した。それに伴い、国内におけるすべてのシェールガス開発は停止されることとなった。 この判断は、英国の石油・ガス上流事業の規制機関であるOGA(Oil and Gas Authority)が10月に公表した報告書に基づいて行われたものである。報告書では、水圧破砕(フラッキング)に伴う地震の可能性や規模を予測することはできないと警告している。 英国で現在唯一シェールガス開発を行っているクアドリラ社は、今年8月、

・ 【スポット解説】仏アストリッド建設計画が中止 岐路に立つ次世代原子力の開発 2019/11/26

 日本がフランスと共同で進めていた高速増殖炉の実証炉「アストリッド」建設計画が中止となった。経済産業省も2020年度予算で関連予算を計上しないことを決めたという。日本の核燃料サイクル政策や放射性廃棄物対策は岐路に立たされている。  アストリッド建設計画の中止は、仏ルモンド紙(電子版)が8月末に報じた。仏原子力庁が計画の統括チームを今春に解散するとともに、「アストリッドは死んだ」とする関係者のコメントを

・ 【エネルギーを見る眼】流通構造を変える「価格」 ネットとの競争で変化は 2019/11/26

消費者にとっての最大の関心事


 価格は、消費者にとって購買するかどうかを決める要因であり、企業の収益を決める最も直接的で重要な要因である。しかし、製品や流通チャネルと違って容易に変化させることができる。自由化された電力の小売りにせよ、ガソリン価格にせよ、消費者にとっての最大の関心事はいつも価格だ。どこどこの国の電力は質が悪いなどと言っても消費者は興味を示さない。「電力に質があるの」という程度の

・ なぜ原発肯定の若者が増えているのか 2019/11/26

人々の意識の根底を分析する『原発世論の力学』


世論は、一般的には主権をもつ人々の意志と定義される。研究者の間では、個人的意見の集合的分布や総和とみる見方と、社会的実体であり、個人的意見には還元できないとみる見方の二つがある。前者を極端にした見方では、世論調査で測定された結果が世論だと論じるものさえある。 世論は個人の意見を素材にするものの、それを足し合わせた総和にはとどまらず、成員間の相互作用の過程という動態的なものだ捉える指摘がある。一方で世論調査は、調査される者のその時点での意識や態度を、調査票が

・ 【視点】停電は原発が原因との不思議な主張 2019/11/13

 台風15号が引き起こした千葉の停電は長期化したが、その原因は柏崎原発のせいだとする小出裕章・元京大原子炉実験所助教のラジオでの発言がネットで拡散していた。なぜ千葉の停電に原発が関係あるのか理解が難しいが、答えは「東電が柏崎原発の再稼働に1.2兆円かかるので送電線のメンテナンスを怠ったせいだ。人災だ」との発言だからだ。  直接発言を聞いていないが、拡散している発言が事実とするとエネルギーの専門家にもかかわらず電気の知識がないことになる。停電の原因をニュースでも放映された高圧送電鉄塔の倒壊に求めているようだが、鉄塔の倒壊は停電長期化の原因ではない。高圧送電線は万が一に備えて予備能力が確保されている。能力の半分は送電事故を想定し、空けてあるのだ。今回の鉄塔倒壊による送電の途絶も翌日には回復されたはずだ。 そもそも停電の原因が

・ 【EWN】LNG開発に過去最高の投資 20年代は「黄金時代」にも 2019/11/13

温暖化対策と投機市場化リスクも浮上


2018年10月のロイヤル・ダッチ・シェルなどによるカナダ西海岸の大型液化案件以来、今年の年末まで、新規LNG液化基地への最終投資意思決定(FID)のトータル年間液化能力追加分は、約1億2000万tに達しそうだ。場合によっては年間1億3000万tとなる可能性もある。ちなみに19年当初、世界のLNG生産能力は約4億tとされている。たった、1年余りで今年当初の全生産能力の3割程度が追加される決定がなされることになる。19年は投資総額は500億ドル以上と、歴史上、最大の投資額となりそうである。国際エネルギー機関(IEA)の試算によれば、

・ 【スポット解説】「革新的環境イノベ戦略」を検討 革新的原子炉開発を推進へ 2019/11/13

 政府は10月29日に「革新的環境イノベーション戦略検討会」を開き、とりまとめの素案を示した。同戦略は、近年、経済産業省が力を注いでいる水素利用やカーボンリサイクルなどに加えて「革新的原子力技術、核融合」も含めたが、実現には課題が山積みしている。 同戦略は、今年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の

・ 再エネFIT見直し議論で要件案提示 2019/11/13

電気や熱の自家消費や地域活用が前提に


総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」の第3回会合が10月28日に開催された。小規模太陽光や小水力発電といった、地産地消電源として活用するべき電源に係る制度の在り方について議論した。 15日の第2回会合では、再エネFITから自立し「競争電源」として市場への統合を図る電源の制度について議論された。今回議論の対象となった地域活用電源は、総合エネ庁の「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」において、「自家消費などを優先的に評価する仕組みを前提としつつ、当面は現行のFIT制度の基本的枠組みを維持する」と整理されたもの。 FITにより支援する要件として、①具体的にどのように取り組みを評価し、支援の対象としていくか、

・ 【エネルギーを見る眼】拡大する石油の需給ギャップ 「一帯一路」の権益を獲得 2019/11/13

国民所得の拡大で自動車燃料の需要増大


 中国ではエネルギーの対外依存度が上昇し、特に石油の対外依存度は71%に達している。石油の需給ギャップは10年前の2億t台から2018年には4.5億t以上にまで拡大。今後、25年までに石油の消費量は7億2000万tに達し、需給ギャップは5.3億t以上に拡大する見込まれている。こうした需給ギャップが拡大する深層的要因や、

・ 【視点】雑穀米志向でグリーン・レジリエンス(浦野浩・エネルギー評論家) 2019/11/07

レジリエンス(resilience)という表現をよく見かける。「跳ね返す力」を意味する科学用語だが、広義に解釈し防災力を高める、ストレス耐性を強める、活性化をはかるという意味でも使われるようになった。グリーン・レジリエンスも、グリーンが意味する環境・農業・林業・暮らしなどについて、安全性や耐性を高めグレードアップする表現として国際的に使われている。林業の衰退は、台風による倒木や土砂災害を引き起こし、インフラとライフラインの損傷につながる。先頃の台風15、19号で生じた被害の大きさを知るにつけ、グリーンの耐性低下をあらためて痛感する。

・ 【エネルギーを見る眼】関電の金品受領問題 問われる料金原価の適性性(松村敏弘・東京大学社会科学研究所) 2019/11/07

コンプライアンスだけの問題ですむか


関西電力の幹部が多額の金品を関係者から受け取っていた問題が連日マスコミを賑わしている。癒着(ゆちゃく)によって調達等が歪められたとの疑念に関して関電は否定しているものの、コンプライアンスに問題があったことは関電自身も認めており、拙い事後対応もあって、経営陣の刷新という大事に到った。私は法令違反の有無や癒着に関して特別な情報も知見もないので無責任なことは言えないが、金品を返却するよう努力したとの関電の説明は、多くの幹部に関して一定の説得力があると思う。また、

・ 【スポット解説】相次ぐ過去最大クラスの台風 電力設備の基準見直しも 2019/11/07

台風15号や19号は関東地方や東北地方を中心に大きな被害をもたらした。主に強雨で電柱や鉄塔といった電気設備も大きな被害を受け、被災地の住民が停電に見舞われるなど不便を強いられた。今後も大きな規模の台風や集中豪雨が直撃する可能性が指摘され、電力設備も対策の必要性に迫られている。被害が広範囲に及んだことから、政府は18日の閣議で「特定非常災害」への指定を決めた。特定非常災害への指定は、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震、昨年の西日本豪雨などに続き6例目だ。

・ 電力系統の再構成はどうあるべきか 2019/11/07

原因者負担の原則では投資回収が困難に


北海道胆振東部地震で大型電源が脱落してブラックアウトが起こり、また、再生可能エネルギーの急激な増加により系統が不安定となり受け入れ制限が続くなど、わが国では系統を再構築する必要が出ている。現在、電力広域的運営推進機関(OCCTO)は系統の混雑緩和への対応に終始している。新たに送電線の増強、新設の検討を始める条件は

・ 【EWN】 セキュリティー基準を厳格化 サイバー攻撃の高度化に対応 2019/11/07

高度化・巧妙化する米電力会社への攻撃


米国の連邦エネルギー規制機関(FERC)は2019年6月20日、北米電力信頼度協会(NERC)が作成したサイバー攻撃に関する報告基準の改定案を承認した。従来、北米の電気事業者は、電力の安定供給に支障が出た場合のみ、NERCおよび国土安全保障省(DHS)傘下の各機関へ当該事案について報告する必要があったが、今回の改定により、

・ 意識改革と企業倫理の根本立直しを 2019/11/01

原発巡る関電の金品受領問題


関西電力の岩根茂樹社長は10月2日、福井県高浜町の森山栄治元助役から、同社の20人が金品換算で3億1854万円を受領、うち3487万円については返却できていないことを会見で明らかにした。森山氏と関わりが深い高浜町の建設会社、吉田開発への国税当局の査察をきっかけに、関電幹部が森山氏から金品を渡されていた事実が発覚したため、

・ 【EWN】米国の石油生産に暗雲 シェールオイル開発が停滞 2019/11/01

生産性低下で「親子問題」が顕在化


中東では、今年の春頃から石油タンカーや石油設備が何者かによって攻撃される事件が多発している。その度に聞こえてくるのが「中東がだめになっても米国のシェールオイルが増産されるので問題ない」という論調である。米国は2018年にサウジアラビアを抜き世界最大の産油国となり、今年6月に一時的にではあるが輸出量も世界一となった。こうした報道を目にすると、米国の石油生産の将来は盤石であるかのように思えてくる。しかし、実は最近の米国の石油業界では、このような見方に変更を迫るような話題が急激に増えている。実際、

・ 【視点】系統コストの負担の在り方(山地憲治RITE副理事長・研究所長) 2019/11/01

再エネ主力電源化に向けて、発電コスト削減だけでなく、増加せざるを得ない電力系統コストの抑制が求められている。まずは既存系統の最大限の活用を目指してコネクト&マネージ(接続させるが、流す電力は運用で調整する)と呼ばれる取り組みが行われている。この取り組みでは、事故時などに備えた予備容量も含めて系統容量の空きを活用するため、想定潮流の合理化やN-1電制(通常時は予備容量の一部も利用し事故時には電源制限)、ノンファーム接続(空いている時だけ接続)などの制度整備が進んでいる。コネクト&マネージの効果的な展開のためには、電源制限などのオペレーションとそれに伴う電源側のコスト負担を分離して運用すること

・ 【視点】独エーオンに見る電力事業の難しさ(山本隆三・常葉大学経営学部教授) 2019/10/28

ドイツ最大のエネルギー企業、「エーオン」が化石燃料、原子力、火力、水力、電力取引部門を「ユニパー」として分離し上場したのは3年前だった。エーオンには送配電、小売り、再生可能エネルギー部門が残った。当時、再エネの将来性を見据えたエーオンが既存の発電部門を見限ったとの報道もあったが、分割の狙いは企業価値の向上にあったのだろう。電力市場が自由化され、さらに変動費がほとんど不要な再エネ電源の増加が卸価格を下落させたため当時エーオンの採算は悪化。株価は

・ 【エネルギーを見る眼】福島原発事故は予測できたか 司法判断での後知恵バイアス(高橋信・東北大学大学院工学研究科教授) 2019/10/28

人間の意思決定に働く「不合理性」


東京電力の旧経営陣に対する無罪判決に対してメディアは全般的に厳しい論調で報じている。福島第一原子力発電所事故がひき起こした大きな社会的な影響を考えると、メディアが無罪という判決をすんなり受け入れることはないだろうが、私は司法制度における後知恵バイアスの問題を考える必要があると思う。司法の性質上、判決を下すのは常に事が起こった後であり、未来から遡って過去の事実を認定する必要がある。過去の状況を判断する場合、事象が発生した時点において、その年代の社会通念的な常識の範囲内で、その判断が「誤っていたか否か」が問題になる。判決は、重大な被害を発生し得る津波に関する情報があったにも

・ 福島原発処理水「海洋放出」で論争 2019/10/28

松井大阪市長に小泉環境相が不快感


福島第一原子力発電所で発生する処理水の処分を巡り、前閣僚の発言をきっかけに、地方の政治家を巻き込んだ論争が起きている。9月10日、原田義昭環境相(当時)は退任前の記者会見で、「原発で発生する処理水は、思い切って放出するしか方法がない」と述べた。これに呼応するように、松井一郎・大阪市長らが海洋放出を促す発言を行っている。一方、原田氏の後任として環境相に就いた小泉進次郎氏は、

・ 【スポット解説】仙台市ガス局の民営化議論 残最大規模の市の行く末は 2019/10/28

国内最大の公営ガス事業者である仙台市ガス局の民営化議論が進んでいる。民営化によって、自由化の恩恵を受けられるようにするのが目的だ。だが、民営化した後も料金水準や経営の安定性を保てるかといった課題もある。事業の譲渡方法や譲渡先の選定方法に関心が集まる。経営の弾力的な運営が可能な企業に任せたい――。仙台市長の諮問機関、仙台市ガス事業民営化推進委員会(委員長=橘川武郎・東京理科大学大学院教授)が7月に開いた初会合では、事務局からこう説明があった。仙台市のガス事業はもともと、民間の仙台瓦斯が

・ 【EWN】千葉の大規模停電で実証 災害に強い石油・LPG 2019/10/28

エネファームは「宝のもち腐れ」に


9月8日から9日にかけて東京湾を縦断した台風15号は、進行方向東側の房総半島に大規模・長期停電をもたらした。小型だが強い台風だったので、被害は千葉市以南・以東の地域に集中し、多数の倒木や枝などの飛来物によって、多数の個所で電線が切断され、電柱が倒れ、大規模地震にも匹敵する広域・長期の停電となった。大規模停電に伴って、ポンプが作動しなくなった水道も各所で断水し、また基地局のバッテリー切れによって携帯電話も通じなくなり、復旧作業を困難にした。 北海道全域ブラックアウトに続き、

・ 【視点】オーロラが語る地球の防衛網(浦野浩) 2019/10/23

この夏、オーロラの名所として知られるカナダのイエローナイフという小さな町へ出かけた。一度は眺めてみたい景色として人気のあるオーロラだが、遭遇できるかは天候次第だ。私の場合、3日間夜空を見上げて、幸運にもオーロラ爆発と呼ばれるまれな景色まで観ることができた。帯状の緑のカーテンが揺れ、光の龍や竜巻が躍る姿には赤い色まで入っていた。オーロラは、太陽が放出する太陽風に対し、

・ 【スポット解説】電力先物市場がスタート 事業者からの信頼が重要に 2019/10/23

9月17日、東京商品取引所(TOCOM)で日本初の電力先物取引がスタートした。電力先物市場とは、将来の電力価格を固定価格で売買できる市場のこと。日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格は、気象条件などの影響で価格変動が起きやすい。電力先物市場で低価格の電力を仕入れることで、価格変動リスクをヘッジでき、安定した経営が行えるメリットがある。商品は休日を含めた終日の電力を対象とする「ベースロード電力」と、

・ 電力ビジネスはどう変貌するか 2019/10/23

IT技術によるイノベーションの可能性


2000年3月に電力小売りの自由化がスタートして20年近くになった。現在では新電力の占める割合は全電力需要の14%を超え、これから20年4月に全面自由化というスケジュールになっている。 03年には日本卸電力取引所(JEPX)が開設され、小売り全面自由化当初(16年4月)時点では取引量は総需要の2%であったが、この夏では30%を超えるまでに至った。新電力の登録数も、611事業者(9月1日時点)で、事業を行っているのが約300社となっている。一見、わが国の電力自由化は成功のように見える。しかし、現実には

・ 【EWN】米国で拡大する蓄電池 州政府の支援策が後押し 2019/10/23

家庭用は前年比5倍に急増


米国の非営利団体「スマート電力アライアンス(SEPA )」が、定置用蓄電池 (Energy Storage)の導入状況をとりまとめた報告書を公表した。SEPAには、米国の公営・市営の電力会社や公益事業委員会など、1000以上の会員として参加している。会員の合計販売電力量は、全米の販売量の73%を占める。SEPAの報告によると、2018年に全米で33万4900kW・76万3000kW時の蓄電池が導入され、累積で

・ 【視点】FITの反省と見直し(山地憲治RITE副理事長・研究所長) 2019/10/11

 再エネ発電の固定価格買い取り制度(FIT)導入以前から、FITは劇薬で、再エネ導入効果は大きいがその副作用も大きいと私は指摘してきた。その予見は現実になっている。2012年7月のFIT本格導入以降、18年12月末までの6年半の間に、わが国の太陽光発電は560万kWから4870万kWと約9倍に急増した。この情勢を踏まえ、第5次エネルギー基本計画では再エネの主力電源化を目指すこととなったが、この目標には「経済的に自立した」という条件が付いている。しかし、

・ 【エネルギーを見る眼】米メジャーズが小売りに回帰 デジタル技術で現場を管理(小嶌正稔・桃山学院大学経営学部教授) 2019/10/11

マラソン社の成功例を他社が後追い


米国のメジャーズがリテール(小売市場)に戻ってきた。これはESG投資の観点からの投資撤退を避けるためにもリテールネットワークの活用が必要になっていること、ダウンストリームで精製からリテールまでを統合した「マラソンモデル」が強みを発揮していること、そしてリテールからの撤退の要因の一つになった現場管理が、デジタル化によって可能になっていると考えられていることである。「マラソン」は、

・ 原子力巡航ミサイルが爆発か 2019/10/11

ロシア軍が住民500人に避難を要請


8月12日、モスクワから東へ約400㎞の場所にあるサロフ市内で、ロシアの国営原子力企業「ロスアトム」の職員5人の葬儀が行われた。職員らは8月8日に、ロシア北部アルハンゲリスク州ニョノクサの近くにある海軍の海上プラットフォーム上にある実験場で、液体燃料ロケットエンジンの実験を実施。実験を終えた直後にエンジンが突然出火して爆発し、爆風で海に吹き飛ばされて死亡した。5人が所属していたのはロスアトムの全ロシア実験物理学研究所核センター。また、

・ 【視点】GAFAが作り出すエネルギー格差(山本隆三・常葉大学教授) 2019/09/12

米国では、知人から太陽光発電から化石燃料関連まで、さまざまなベンチャー企業への投資について意見を求められることがある。多くの米国人は、高リスクだが高収益の可能性もあるベンチャー企業への投資を考えるのだろう。一方、日本人でベンチャーへの投資を考える人はほとんどいないだろう。一度だけ、知人からスタートアップへの経営参加を打診されたことがあるが、ベンチャーへの投資を相談されたことは皆無だ。日米の投資に対する考え方の差が、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と呼ばれる企業が米国からしか出てこない理由の一つだろう。

・ 【エネルギーを見る眼】緊張増すペルシア湾 迫られる日本の選択(最首公司) 2019/09/12

イラン・サウジ代理戦争の調停役を


ペルシア湾の安全航行を巡り、米国・イランの緊張が高まっている。米国は国際有志軍を結成して、イラン包囲網を築こうと、日本にも参加を促しているが、日本とイランの間には格別の関係がある。ここは米国・イランをひとまず置いて、イエメン内戦の処理に当たるのが日本の得策である。

・ 【スポット解説】原発「共同事業化」で基本合意 東電には柏崎刈羽稼働の思惑も 2019/09/12

東京電力ホールディングスと中部電力、日立製作所、東芝の4社は8月28日、原子力発電の共同事業化を目指した検討を行うことで基本合意した。共同事業とすることで、事業を進めるうえでの課題を乗り越えたい考えだ。しかし、電力会社同士や、メーカー側とも、それぞれ立場や思惑は異なる。「同床異夢」となる可能性もはらんでいる。

・ 【EWN】有望なメタンと水素 将来的に魅力あるビジョン 2019/09/12

既存のLNGインフラを有効活用


今年も大学生の就職活動は夏前には事実上終了している。近年は、日本企業も即戦力の中途採用に力を入れているが、最近まで最も安定した業界であった規制業種、例えば都市ガス業界などは依然として、4大新卒(技術系は修士卒)の新入社員への依存・期待は大きいだろう。今年は、都市ガス各社の新卒採用には大きな問題はなかったようだが、この先は逆風が吹く可能性は強い。

・ 再エネと電力安定供給両立へ議論に着手 2019/09/11

改正電事法・FIT法を通常国会に提出へ


経済産業省は、エネルギー基本計画で掲げる再生可能エネルギーの主力電源化と、電力安定供給の維持を両立させるための制度議論に着手する。総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)基本政策分科会(分科会長=榊原定征・前経団連会長)の下に、「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」「持続可能な電力システム構築小委員会」の二つの小委員会を設置した。年度内に議論をまとめ来年7月の改正電気事業法と改正FIT法の改正案を通常国会に提出、2021年4月の施行を目指す方針だ。

・ 【視点】デジタル社会を阻む計量法の縛り(山地憲治・地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長) 2019/08/19

デジタル社会の到来で膨大な量のデータが計量されるようになってきた。電気計量においても2024年にはスマートメーターが全戸に設置される見通しだ。スマートメーターからは電力量に加えて時間や位置情報も得られる。送配電設備もIoT(モノのインターネット)で結ばれ、さまざまな計量が行われるようになってきている。こうしたデータを活用して、電力アグリゲーションビジネス、P2P (個人間)の電力取引、EV(電動自動車)の充放電制御、さらには防災対策や見守りサービスなどさまざまなビジネス展開が期待されている。ここで問題となっているのが計量法の縛りである。

・ 【EWN】シェールガス開発が進展 存在感増すアルゼンチン 2019/08/19

北米以外で初めて大規模開発を実現


6月初旬に史上初めてアルゼンチンが浮体型LNG製造・出荷施設(FLNG)からLNGを輸出を開始した。この「タンゴLNG」と命名された輸出案件は年産50万tと小さなものだが、かなり画期的なものである。日本のメディアではほとんど報道されなかったが、二つの点で注目に値する。まず、第一点は米国・カナダに次いでアルゼンチンでシェールガスの商業開発が軌道に乗り始め、同国の天然ガス生産量が急増していること

・ 【エネルギーを見る眼】民生・運輸で需要増加 電力部門の低炭素化が不可欠 2019/08/19

APEC加盟地域のエネルギー需給見通し


筆者が勤務するアジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)では3年に一度、アジア太平洋経済協力(APEC)加盟国・地域のエネルギー需給見通しを策定している。本年5月にその第7版を発表した。この見通しでは、2016年を起算年として、50年までを対象としている。主要な結論として、現状を維持した場合BAU(Business-as-Usual)シナリオでは、最終エネルギー需要が運輸部門と民生部門(住宅・商業)を中心に21%伸びると見込まれる。民生・運輸・産業各部門で電化が進み、需要と二酸化炭素の排出抑制が重要となる。

・ 「れいわ」躍進のエネ政策への影響は 2019/08/19

原子力にとって致命的なことにも


99万2267票――。れいわ新選組の山本太郎氏が参院選で獲得した票だ。消費税と原発即時廃止を掲げ、選挙前には泡沫(ほうまつ)候補とさえ言われた同氏の獲得票は、ふたを開ければ全候補者中でトップ。次の衆院選で100人規模の候補者擁立をめざす同党は、今後の野党の勢力図に大きな影響を与えそうだ。

・ 【エネルギーを見る眼】国際競争力の改善に寄与 発展の礎を築いた水力開発(野村浩二・慶應義塾大学産業研究所教授) 2019/08/13

福澤諭吉の洞察力と桃介の起業家精神


木曽川水系にある水力発電所群を訪れる機会に恵まれた。梅雨の季、霞んで見える山々を背に、岩場を走る白い流水はこの地の水量の豊かさを誇示するように早い。山紫水明のその地に、大井ダムと発電所はあった。水主火従の幕開けとなる大正期、福澤桃介は水の利用に大いなる可能性を見て、米国からの技術と資金を導入することに奔走しながら、「古来実行不可能を称せられたる木曾川の激流を阻止して大堰堤を築き・・(中略)・・浩蕩万項の積水は化して力となり光となり国家社会に貢献」(発電所紀功碑)する大事業を成し遂げた。大正13年(1924年)末に竣工したその発電所は、百年近く経過した現在も変わらない価値を創造し続けている。

・ 迷走を続けるALPS処理水の扱い 2019/08/13

福島原発にたまる汚染水に国は逃げ腰


福島第一原子力発電所サイト内の貯蔵タンクで増え続けている多核種除去設備(ALPS)処理水。その取り扱いが迷走を続けている。ALPS処理水は、建屋や発電設備などで地下水や雨水が触れた高濃度の放射性物質を含んだ汚染水から、放射性物質を取り除くALPSによって処理された水のこと。トリチウムとごく少量の核種を含んでいる。増え続けることで、今後の廃炉作業に大きな影響を与えるため、国は早期の事態解決を模索している。

・ 【視点】火力運用を難しくする異常気象(山本隆三・常葉大学教授) 2019/08/13

今年6月、欧州では異常気象が続いた。フランスではセーヌ川を挟みエッフェル塔の正面に位置するトロカデロ広場の噴水池で水浴びをする人が現れ、6月28日にはフランスの最高気温が45.9℃になり、記録を更新した。チェコ、スペイン、スイスでも6月の最高気温が更新され、特にスイスでは40カ所において最高気温が更新された。オックスフォード大学、プリンストン大学などの研究機関は連携し気候変動問題の影響を解析する国際的な組織WWAを結成している。同組織の速報的な分析によると100年前との比較では現在熱波の気温は4℃上昇している。また、頻度は10倍になっているとのことだ。この原因は都市化などの影響もあるが人為的な行為による可能性が高い。欧州を襲った熱波は電力供給にも大きな影響を与えている。

・ 【EWN】シェールオイルに黄信号 価格下落で投資が停滞 2019/08/05

1~2年後の油価に大きく影響も


ペルシャ湾で今年5月に4隻、6月に2隻のタンカーが吸着式水雷による攻撃を受ける事件があった。米国は「証拠映像」を公開し、「イランに責任がある」と名指しで非難。さらに米軍の無人偵察機が撃墜されたことを受けて、一時は決定された軍事攻撃をトランプ大統領が10分前に止めたという。また、7月にはジブラルタル沖でイラン産原油を輸送中のタンカーを英国海兵隊特殊部隊が拿捕(だほ)し、後にタンカー船長を逮捕。イラン政府は英国のタンカーに対して報復すると警告している。

・ 【エネルギーを見る眼】需給改善に有用な技術革新 収益機会を与える市場整備を(松村敏弘・東京大学社会科学研究所) 2019/08/05

エコキュートが地産地消の「要」にも


経済産業省の省エネルギー小委員会(6月24日)、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(7月5日)でともに、家庭用PVのFITによる余剰電力買い取り価格が、家庭用の平均的な電気料金を下回ったことが話題になった。買い取り価格が消費価格を上回っていた従来は、昼間の電力消費量が小さい家庭のPV設置の誘因が大きい、明らかにゆがんだ制度設計だった。この不自然な状況から脱して、自家消費によるPVの有効利用を中心とした社会の出発点になる。例えばPVとエコキュートを備える家庭なら、電気が余剰になり、事業用PVの出力抑制が予想される好天時の春秋には、昼間にエコキュートでお湯を作り、同日夕刻の入浴時に使うのが、深夜にお湯を作り、翌日夕刻にそれを使うよりも効率的で、社会的費用を抑制できる。しかし、オール電化の深夜料金はFIT買い取り価格よりまだ低く、この社会的に望ましい対応はペイしない。AIと通信技術を駆使してさらに高度にエコキュートの稼働を制御する技術を開発しても収益化は困難だ。

・ 【視点】地震予知研究への希望(浦野浩) 2019/08/05

ここ数年、震度6程度の地震が増加傾向にある。気になるのは海溝型の巨大地震だ。気象庁もホームページで「現在、東海地震に限らず南海トラフ全域で大規模地震発生の切迫性が高まっている」と明記する。

・ 【スポット解説】異業種とのアライアンスが加速 デジタル化が成長の新たな柱に 2019/08/05

経済産業省は6月24日、官民によるスタートアップ支援プログラム「J-Sartup」に49社を新たに認定した。J-Sartupは、IoTやAI、ブロックチェーンをはじめとした最先端技術を取り扱う国内の有望なベンチャー企業に対して、政府の施策を活用する際に優先枠や加点制度を設け、補助金の優遇、ビジネスマッチングなどを行うというもの。経産省やJETRO、NEDOなどが選出する。2018年からスタートし、認定企業には各種優遇措置がとられるため、世耕弘成経済産業相は、「認定企業に対してえこひいきをする」と説明する。

・ エネルギー制度改革を重視の布陣 2019/08/05

経済・環境省の幹部人事


政府は7月2日の閣議で経済産業省の幹部人事を決定した(5日付、経済産業審議官と通商政策局長は12日付)。嶋田隆・事務次官(1982年入省)は退任し、後任に安藤久佳・中小企業庁長官(83年)が就任した。安藤次官は、資源エネルギー庁で総合政策課長、資源・燃料部長を歴任し、エネルギー政策に精通しており、今後、電力システム改革はじめ、原子力政策、再生可能エネルギーの導入拡大などへのかじ取りが注目される。

・ 【スポット解説】アバディプロジェクトで合意 国際帝石はLNGシフトに 2019/07/30

 国際開発石油帝石は6月17日、インドネシアの大型液化天然ガス(LNG)プロジェクトを建設することで同国政府と基本合意した。昨夏に生産開始した豪州のLNGプロジェクトと並ぶ大型事業だ。日本国内やアジア各国の需要などを当て込んでいる。

・ 参院選後の原子力政策の行方は 2019/07/30

安倍政権を支える秘書官らの玉虫色の方針


参議院選挙が7月21日に実施される。新聞などによる世論調査によれば、安倍内閣そして自民党の支持率は4割前後。この数値は決して高くはないが、1割にも満たない他党とは比べものにならない。参院選で自民党が大敗することは、まずないだろう。安倍晋三首相の在任期間が既に歴代3位を記録している安倍内閣。このままいくと、今年11月20日には桂内閣を抜いて、憲政史上最長の政権となる。今での政権の運営の経緯とこれからを、原子力政策をからませながら概括してみる。

・ 【視点】市場創設によるコスト増の懸念(山地憲治地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長) 2019/07/30

 来年度に迫った送配電事業の分離・中立化は、電力のサプライチェーン全体の事業化という電気事業組織の基本構造を破壊する。この破壊からの創造には、隠れていた「安定供給」の価値の明示化が必要になる。

・ 【エネルギーを見る眼】ホルムズ海峡で新型兵器使用 不測事態の危険性高まる(須藤繁 帝京平成大学教授) 2019/07/30

米・イランで主導権を握る強硬派


 6月13日、ホルムズ海峡付近で、石油タンカー2隻が攻撃を受けた。そのうちの1隻は日本の海運会社が運航するタンカー(積み荷はメタノール)だった。誰が何を目的に行ったのか確報はなく、さまざまな憶測が行われた。ホルムズ海峡は、イランとオマーンの間の海峡である。ユーラシア大陸とアラビア半島の距離は55㎞、イラン・ケシム島とオマーン・コイン島の岩礁間は33㎞。決して狭い海峡ではない。しかも潮流は速い。機雷による封鎖という軍事作戦は物理的に難しいと、数年前に航行した際、筆者は実感した。

・ 【EWN】停電回避に緊急措置で原発再稼働も 2019/07/30

ホルムズ海峡でタンカー攻撃 LNG輸入への影響は


6月12日から14日にかけての安倍首晋三相のイラン訪問時に、日本船籍を含む複数のタンカーがホルムズ海峡付近で、何者かに攻撃され、航行に支障をきたした。それによって、またぞろ世界の原油供給量とLNG供給量の2割前後が通過するホルムズ海峡情勢が緊迫化してきた。

2019/07/29

・ 【視点】温暖化政策を変える独首相の野望(山本隆三・常葉大学教授) 2019/07/17

欧州連合(EU)の西側諸国は、気候変動問題への取り組み強化に熱心だが、ここ数年後ろ向きの姿勢の示し、一部の中東欧諸国と一緒に足を引っ張っていたのはドイツだった。昨年6月、ドイツ政府は、2020年の温室効果ガス削減目標05年比40%削減の達成が困難になり32%減にとどまると発表し、目標を放棄した。

・ 【スポット解説】原発をどう自分の問題にするか シンクタンクが九つの提案 2019/07/17

シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表は6月21日、原子力発電について、市民が自分の問題として考るための九つの提案を盛り込んだ報告書を世耕弘成経済産業相に提出した。2018年11月から今年2月にかけて島根県松江市で行った、一般市民を交えての行った対話集会の結果をまとめたもの。世耕経産相は「皆さんのやり方も参考に、エネルギー政策に関するコミュニケーションを深めていきたい」と語った。

・ ブラックアウトのリスクを定期検証へ 2019/07/17

レジリエンス強化に向け電力各部門の役割も確認


電力レジリエンス(強靭(きょうじん)化)強化に向けて、ブラックアウト(全域停電)リスクを定期的に確認していくためのプロセスの在り方などの議論が、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)脱炭素社会に向けたレジリエンス小委員会(委員長=山地憲治地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)で行われている。

・ 【EWN】欧州で高まるEVの普及 充電設備の整備も改善へ 2019/07/17

市場が成熟する中で収益構造に変化


ヨーロッパで電気自動車(EV)の普及が加速している。欧州自動車工業会(ACEA)によると、2018年の欧州における新車登録台数のうち、2%がEVとなり、昨年の1.5%と比べても比率が高まっている。18年販売台数上位3カ国を例にみても、ドイツは6万8000台を販売し、新車に占める割合は昨年の1.6%から2%に上昇。同じく、英国は6万台で比率は1.9%から2.5%、フランスは4万6000台で1.7%から2.1%と、比率が高まっている。

・ 【エネルギーを見る眼】原子力発電のリスク 相対的な比較の重要性(高橋信・東北大学大学院工学研究科教授) 2019/07/17

リスクのないエネルギー源はない


原子力発電の再稼働問題が遅々として進まず、さらにテロ対策施設の対応の遅れにより、既に稼働して発電所も停止に追い込まれる可能性が出てきている。テロによる発電所への脅威を軽視するつもりはないが、テロ対策施設がないと発電所の安全性が大きく損なわれ、その対策に資源を投入することを怠っている事業者は安全性を軽視しているという論調は、公平性を欠いていると言わざるを得ない。

・ 【視点】世界初のLNG専焼クルーズ船 2019/06/21

 その船アイーダ・ノヴァ号はこの原稿を書いている今、リビエラ海岸のラスぺチア港を出港し、低速で南へ航行している。今や船名を入れると、PC画面でリアルタイムの追尾が可能だ。この船はLNG専焼ガスタービンとLNGタンク3基を甲板下に積む最新鋭のクルーズ船だ。昨年12月にデビューし、造船・海運・エネルギー・旅行業界の注目を浴びている。
 18万3000t、長さ337m、乗客5200人を乗せる世界で5番目に大きいクルーズ船。今後、同型船が続々と建造される予定だ。船舶の燃料は、C重油専焼からLPGやLNGを混焼する時代となり、現在はLNG専焼への動きが強い。欧州ではグリーン・チェンジと呼ばれ、背景には船舶による海洋汚染や温暖化ガスの排出削減を担う国連の機関である国際海事機関(IMO)の指導と、環境問題に積極的に取り組む欧州の姿勢がある。海事条約は船舶からのNOx、SOxの排出基準を年々厳格化し、CO2についてもIMOは2050年の排出量を50%削減する議論を詰めている。

・ 【エネルギーを見る眼】電力・石油業界の災害対応 熊本地震に見た現場力 2019/06/21

電力会社間の連携から学んだこと


 東日本大震災(2011年3月)、熊本地震(14年4月)、大阪府北部地震(18年6月)、北海道胆振東部地震(19年9月)、さらに豪雨災害も17年7月九州北部豪雨、平成30年7月豪雨など、2000年に入り大震災が6回も起こっている。
 「災害は忘れる前にやってくる」状況の中で、災害対応が急ピッチで進められている。しかし被害をもたらした要因はさまざまで、災害対応の一言ではまとめられない。東日本大震災では津波と原発事故が大きな被害をもたらし、熊本では激震、北海道震災では土砂崩れにブラックアウトという具合である。それだけに災害対応は要素の組み合わせを現場で組み上げていくしかない。
 南海トラフに対する防災ガイドライン(南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン)が3月に発表された。これは前年のワーキンググループのとりまとめを、企業や地方公共団体が具体的な防止計画・災害対応に落とし込むために作成されたものだ。対象者は、地方公共団体、防災対策推進地域内の指定公共機関、不特定多数の者が利用する施設に、危険物を取り扱う施設などを管理、または運営する者が加えられている。

・ 【EWN】サウジアラムコが社債発行 政府からの独立性に疑問符 2019/06/21

目論見書で石油生産能力が明らかに


 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコによる初の社債発行に、カネ余りの金融市場で運用難に頭を抱える投資家の人気が集中した。100億ドルの起債に対し、1000億ドル以上の応募が集まった。アラムコは、石油化学大手であるサウジアラビア基礎産業公社(SABIC)の株式70%(約690億ドル)を、サウジの政府系パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から買い取ることで同社と合意しており、社債発行は買収資金の確保が目的とされるとの報道もあった。
 アラムコは当初、ムハンマド皇太子の構造改革のための資金調達に株式の新規上場(IPO)を計画していた。しかし、ニューヨークやロンドンの取引所では厳しい情報開示ルールがあることから、IPOを中断。開示義務情報が少ないこともあり、社債の発行を選択した。

・ 【スポット解説】進展するLNGバンカリング 電力・ガス会社が中心的役割 2019/06/21

 国際海事機関(IMO)による新造船、現存船に対するSOx規制強化やCO2規制を受けて、電力・ガス会社や商船会社などによる船舶向けのLNGバンカリング事業が各地で活発化している。SOx規制では、2020 年1月1日から船舶に使用する燃料油中の硫黄分濃度を現行の3.5%から0.5%への引き下げる。そのためLNGを燃料とした船舶の製造・利用を拡大する機運が国際的に高まり、そのLNG燃料船が寄港した際にLNGの供給が行えるよう、供給設備や供給船の整備を行うものだ。
 先行しているのは、国土交通省の「LNG燃料船に対するバンカリング拠点形成事業」に昨年採択された東京湾と伊勢湾・三河湾でのプロジェクトだ。前者は、住友商事・横浜川崎国際港湾など3社が昨秋、船舶向けLNG燃料供給事業を行う合弁会社「エコバンカーシッピング」を設立。今年2月にはジャパンマリンユナイテッドと、LNGバンカリング船の建造契約を締結した。20年度中の事業開始を目指して、同船の建造に着手すると発表した。同社はLNG燃料のほかSOx規制への適合油(低硫黄C重油)供給が可能なアジア初の最大規模のバンカリング船の建造を予定している。

・ 【視点】電力プラットフォームビジネス 2019/06/11

 送配電事業の法的分離が目前に迫ってきた。分離後の送配電は公益事業として中立性が要求されるが、送電と配電とでは期待されている事業内容がかなり異なると思う。私が委員長を務める審議会資料には「広域化する送電」と「分散化する配電」という表現があった。単純に割り切っていえば、送電には全国大での効率的な公益の追求、配電にはデジタル化を踏まえた新しいビジネス展開の基盤サービス(プラットフォーム)が求められていると思う。ここでは、配電を基盤として期待されている新しい電力プラットフォームビジネスを取り上げる。
 プラットフォームとは、一般的には台座のことだが、ビジネスでは、不特定多数の顧客に様々な製品やサービスを仲介する取引の場の意味で使われている。ITの急速な進展によって個人・個社がインターネットで繋がり、プラットフォームは多種多様な莫大な量の取引を柔軟に扱えるようになった。

・ 【エネルギーを見る眼】加速する中国の原発開発 海外市場の開拓を活発化 2019/06/11

米中貿易摩擦が輸出の障害にも


 中国が原子力開発を拡大している。2018年中に新たに7基のプラントが稼働し、19年5月時点で、45基(4298万kW)が稼働中、15基(1284万kW)が建設中だ。これにより、中国は日本を抜いて、アメリカ、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国に浮上した。中国は第13次5カ年計画の期間(16~20年)内、国内で原子力発電所を年6~8基のペースで新設している。20年には開発目標(5800万kW)を達成する見通しだ。
 政府系の中国原子力産業協会によると、現時点で石炭を大規模に代替し、電力供給網に安定的に電力を供給できるのは原子力のみであり、グリーン低炭素エネルギーシステムの構築に欠かせず、今後の開発余地が最も大きいという。
 原子力発電設備容量は30年には1億~1億2000万kWに達し、電源構成の8%を占める見通しである。 さらに40年以降は1億5000万kWに達する勢いだ。

・ 【EWN】経済成長と公害に対応 日本が育てたLNG輸入 2019/06/11

東ガス、東電経営陣の企業家精神の発露


 今からちょうど半世紀前の1969年11月、アラスカのクック・インレットLNG(液化天然ガス)プラントからの出荷第一船が、LNGを満載して東京湾内横浜の発電所とガス工場に到着した。
 日本は当時、高度経済成長の真っただ中にあり、エネルギー分野でも、石炭や原油・重油炊き火力発電所の排気の亜硫酸ガスや煤煙などの公害問題や都市ガス需要の急速な伸びに、最小・最速の投資で対応しなければならない背景があった。LNG導入は課題解決のための切り札の一つだった。
 現在のように総発電量の4割を担って最大電源となり、都市ガスの全てを賄い、いずれ高温エネルギー需要の大半や再生可能エネルギーの不安定性の補完の主役を担うと期待されるまで活躍する現在の姿は、当時の日本において誰も想像できなかっただろう。
 日本におけるLNG輸入の嚆矢(こうし)となったアラスカ・クックインレットの液化案件は、年産50万tと極めて小規模だが、現在の日本の輸入量は年間8000万tを超え、160倍以上の規模まで急拡大した。特に3.11以降の伸びが急激であった。

・ 【スポット解説】原子力政策に不満が噴出 原発立地市町村が全国大会 2019/06/11

 全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)は5月27日、定例総会を全国都市会館(東京都千代田区)で開催した。原発の再稼働は、原子力規制委員会による審査の遅れにより進展を見せていない。また、原発新増設をエネルギー基本計画に盛り込まないなど、国のエネルギー・原子力政策もブレている。出席した国会議員や首長からは、それらに対する不満の声が多く聞かれた。
 会合の冒頭、渕上隆信会長(福井県敦賀市長)は、「第5次エネルギー基本計画では、2030年のエネルギーミックスで、原発は重要なベースロード電源と明記されている。しかし、再稼働、新増設、リプレース、核燃料サイクルの道筋は不透明なまま。現状を踏まえると、実現可能か疑問と言わざるを得ない」と指摘。「長期的な視点による明確なエネルギー政策を求めたい」と訴えた。

・ 【視点】豪州労働党の敗因は気候変動政策 2019/06/01

 5月18日に投開票が行われた豪州総選挙において自由・国民党の保守連合が勝利した。モリソン首相が奇跡と呼ぶ、世論調査と全く異なる予想外の結果だった。今回の選挙は気候選挙と呼ばれ、気候変動政策が関心を集めたが、労働党の敗因の一つとして同党の気候変動政策が挙げられるのではないか。
 豪州では、豪雨、史上最高気温の猛暑により気候変動への関心が高まり、世論調査では気候変動問題を最大の脅威とする国民が64%に達した。さらに、有権者の関心を集めたのは、クイーンズランド州にて計画されている年産6000万t規模のカーマイケル炭鉱だった。米国西部の2炭鉱に次ぐ世界第3位、豪州最大規模の炭鉱だ。

・ 【エネルギーを見る眼】ガスのインフラ多重性 パイプライン整備に期待 2019/06/01

仙台市ガス局港工場を訪れて


 記憶力の良い読者は、この筆者は去年も同じような時期に似通った内容の記事を書いていたと思い出されるかもしれない。定例の年次会合を主催した際の体験に基づいて執筆しているためであるのだが、ご寛恕願いたい。
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)参加国・地域政府で石油・ガスの安定供給に携わる担当官らを集めた第5回APEC石油・ガス安全保障ネットワークフォーラムを、4月上旬、仙台市で開催した。
 こうした会合では、会議場での議事終了後、関連施設への見学を組み合わせることが慣例となっている。このフォーラムでも、過去4回を北九州市、鹿児島市、ロシア連邦イルクーツク市、東京都内で開催したが、その際、近隣の石油備蓄基地や製油所を訪れた。昨年の東京会合では、コスモ石油千葉製油所を訪問させていただいた。

・ 【EWN】増える「100%再エネ」企業 事業者と長期の購入契約 2019/06/01

「ユニリーバ」の先進的な取り組み


 「RE100」――。自社が利用する全ての電力を再生可能エネルギー由来とすることを掲げる企業が加入している国際的な取り組みだ。これに加入する企業が、2018年末には前年比1.3倍の158社にまで増加するなど、企業の再エネ電力調達に対する関心は世界的に高まりつつある。
 その中で、企業が再エネ電力を調達する方法の一つとして、ここ数年、急速に増えているものがある。自社敷地外に再エネ発電設備を保有する再エネ事業者との間で長期の電力購入契約(PPA)を締結して電力を調達するオフサイトPPAだ。
 全世界で締結されたオフサイトPPAは、17年には約610万kWだったが、18年にはその2倍以上となる1340万kWとなった。
 RE100 加盟企業がこの方法に注目する理由は、脱炭素化の取り組みを進めることによる企業イメージの向上効果を得られることだけではない。敷地内(オンサイト)よりも大規模な発電所の建設が可能なことによるスケールメリットや、下落傾向にある再エネ発電コストの恩恵を受けた安い単価で、自社の電気料金単価を長期間、固定できるためである。

・ 【スポット解説】「新々北本」連系設備を建設へ 再エネ拡大の役割は不透明 2019/06/01

 2018年9月の北海道胆振東部地震に伴う全域停電(ブラックアウト)以降、国が主導し検討を重ねてきた北海道と本州を結ぶ送電線「北本連系設備」の再増強の方向性が固まった。北本連系設備は、Jパワーが所有する既設の60万kWに加え、北海道電力が新たなルートで建設した「新北本連系設備」30万kWが、今年3月に運転開始したばかり。さらに「新々北本」を建設し、30万kW上積みし120万kWとする。それによって、北海道の供給安定性の確保や、再生可能エネルギーの導入拡大につなげたい考えだ。
 工事費や工期の算定などを進めてきた電力広域的運営推進機関によると、選択肢とされた4案中、費用対便益があると評価されたのは、新北本設備と同じ、北海道の北斗変換所と青森県の今別変換所を結ぶルート。北海道と東北管内における大規模な地内増強を実施しないことで、工期は5年、概算工事費は430億円程度になると試算した。新北本の設備を活用することでコストを抑制できるため、再増強についても北電が建設主体となることを想定していると見られる。

・ 【視点】失言・放言とふた心の関係 2019/05/21

 令和を迎えるまでの数カ月、国会は大臣・副大臣の失言・放言問題で揺れた。選挙区への受けを狙って口を滑らせ、それぞれ政治生命に傷を負った。
 失言は、政治家に限らず経営者も庶民も経験する。心ならずも、言葉足らずで、意図に反して・・と弁解するが、心にないことが口を突いて出るわけがない。
 誰しも自分はそれなりに理性的、と思っているのだが、時として衝動的な言葉や反応で周囲との関係を悪くてしまう。なぜだろうか。人には二つの心があるのか、人格は揺れ動くものなのか。そもそも心とは、との問いに現代の脳科学はどう答えるのだろう。

・ 【エネルギーを見る眼】韓国「脱原発政策」の影響 長期的成長力を毀損 2019/05/21

安価な電力供給を失うとき


 昨年末、ソウル出身の卒業生がふいに研究室を訪ねてきてくれた。6年ぶりの再会である。当時目指していた進路を改め一念発起、日本で起業したビジネスがようやく軌道に乗り始めたという。日韓関係がだいぶ悪化してしまった環境下において、起業時の苦労は相当のものだったろう。しかしその表情は、何かを達成しつつある充実感に満ちていた。
 韓国経済は2011年ほどから転換期にある。17年5月に発足した文在寅政権は、脱原発・脱石炭政策を推進している。老朽化した石炭火力発電所を閉鎖し、新規原子炉の建設計画を白紙化、そしてLNG火力と再エネへとシフトする計画であるという。ドイツの“エネルギー転換”よりもそのスピードはずっと緩やかではあるが、韓国経済における中長期的な潜在成長力の毀損(きそん)は、より成熟した工業国である日独よりも大きなものとなるだろう。

・ 【EWN】米国が最大の産油国に 輸出が輸入を超過へ 2019/05/21

シェール増産で日量1400万バレルも


 米国エネルギー情報局(EIA)が「年次エネルギーアウトルック2019」を発表した。アウトルックは、1977年に米国エネルギー庁が定めた規則に従い、米国のエネルギー消費と供給の傾向と予測について報告するものだ。 今回は50年までの予測をまとめている。冒頭、この予測は何が起きるかという予測ではなく、ある推測と方法論が前提になれば、起きるかもしれない事象をモデル化した予測だと述べている。アウトルックの概要については簡単に後述するが、シェールオイル・ガスの生産が増え、米国の原油とNGL(天然ガス液)の生産が増大し、70年ぶりに20年には米国は原油と石油系液体(石油製品とNGL)の輸出が輸入より大きくなると予測している。

・ 【スポット解説】電力10社の18年度決算 燃料費上昇が経営のネックに 2019/05/21

 電力10社の2018年度決算が出そろった。売上高はいずれも前年を上回ったが、経常利益は北海道、東京、北陸を除く7社で対前年割れとなった。
 増益となった北海道は、北海道胆振東部地震に伴う費用増があったものの、豊水による水力発電量の増加に加えて、資機材の調達コストの低減、コストダウンといった各種費用を抑制。経常利益は対前年比55.4%増の301億円となった。
 東京は、燃料価格の上昇はあったものの、グループ全体での継続的なコスト削減の実施などにより、同8.5%増の2765億円に。北陸は、料金改定による収入増やLNG運開による石油減、修繕費、諸経費などのコストダウンの影響により、同149.2%増の66億円。また、純利益は3年ぶりに黒字化(26億円)した。

・ 【視点】グリーンファイナンスへの懸念 2019/05/01

 地球温暖化対策において金融の存在感が急速に高まってきている。2006年に国連が責任投資原則(PRI)の下で提唱したESG(環境、社会、企業統治)投資は、人類の持続可能な成長を促進する仕組みとして広く受け入れられている。PRIに署名した資産運用機関数は、わが国のGPIF(年金積立金運用)を含め、2000を上回り、その運用資産は20兆ドルを超えている。
 ESG投資に関連して、最近では温暖化対策に関する企業情報の開示を求める金融機関の動きが活発になっている。CDP(Carbon Disclosure Project)は、気候変動問題への取組や温室効果ガスの排出量の公表を求める国際イニシアティブを進め、主要国の時価総額上位企業に対して毎年質問票を送っており、回答率も年々高くなっている。回答は基本的には公表され、取組内容に対するスコアも付されている。

・ 【エネルギーを見る眼】「一帯一路」と理論的根拠 中国の人類運命共同体論 2019/05/01

少数民族への弾圧には厳しい批判も


 習近平・中国国家主席が3月にローマを訪問、マッタレラ大統領やコンテ首相と会談した。会談で習主席は「古代シルクロードを再生させたい」と述べ、マ大統領は「一帯一路は両国経済活動の枠組みになる」と歓迎した。中国は経済不振と失業に苦しむイタリアの港湾やインフラに巨大投資し、製品の輸入増大を約束したという。後述するが、中国の最優先海外投資事項は「港湾」と「鉄道」である。こうした経済面での欧州進出だけなく、別の角度から見ると、習近平世界戦略は「ついにローマ法の中心にまで迫ってきたか」という感慨を抱く人もいるだろう。
 話は3年前にさかのぼる。中国が築いた南沙諸島の人工島(これも港湾・空港)について、フィリピン政府が2014年に領有権の確認を求めて国際常設裁判所(蘭ハーグ)に提訴した。2年後の16年7月、裁判所は中国の主張は国連海洋法条約に違反する、として中国の領有権主張を退けた。

・ 【EWN】低炭素化への対応急ぐ 英欄シェルの新戦略 2019/05/01

「Skyシナリオ」で事業への影響を評価


 石油メジャーの「ロイヤル・ダッチシェル」による電力分野への進出姿勢が、ますます鮮明になってきている。2019年に入り、電力分野のスタートアップ企業3社への出資・買収を発表、さらにはオランダの公営電力会社「エネコ」への出資も検討している。
 1907年から提携関係にあった蘭「ロイヤル・ダッチ・ペトロリアム」と英「ザ・シェル・トランスポート・アンド・トレーディング」が05年に合併・統合し、ロイヤル・ダッチ・シェル(本社・蘭ハーグ)は誕生した。 世界有数の石油メジャーとしての地位を築いており、18年度の売上高3883.79億ドル(約42.7兆円)、純利益239.06億ドル(約2.6兆円)、従業員数8万1000人という数字からも、その規模の大きさがうかがえる。

・ 【スポット解説】バイオマス「新規燃料」をどう扱うか 2019/05/01

専門家会合が確認手法の検討に着手


 経済産業省資源エネルギー庁は、バイオマス発電に特化した再生可能エネルギーFIT制度の在り方の検討に乗り出した。
 4月18日に総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問会議)バイオマス持続可能性ワーキンググループ(座長=高村ゆかり・東京大学教授)の初会合を開催、バイオマス燃料の持続可能性や、新規燃料をFIT買い取りの対象に含めることの是非についての議論をスタートさせた。
 今後、月に1回程度のペースで会合を開き、2019年度の調達価格算定委員会に間に合うよう、秋ごろまでに見解をまとめる予定だ。

・ 【視点】学生の温暖化デモに違和感 2019/04/21

 1980年代中頃、今は幅広い環境活動を行っているWWF(自然保護基金、当時は世界野生動物基金だった)が「パンダを救おう」とのキャンペーンを行っていた。同じ時期、東部アフリカ、エチオピアでは大飢饉が発生し多くの人が命を落としていた。ある企業が、WWFに賛同し「パンダを救おう」と社内報で募金していた。なにが喫緊の課題なのか、社内報の編集者は理解していたのだろうか。パンダを救おうと訴えるのであれば、同時に少なくともエチオピアの子供たちも救えと訴えるべきではと疑問を感じた人もいたのではないだろうか。

・ 【エネルギーを見る眼】自然変動電源の予測誤差 誰が調整すべきか 2019/04/21

バランシンググループにすることのメリット


 太陽光発電(PV)のような不安定な再エネ電源は発電の予測値(計画値)と実現値が必然的に乖離するため、この差を供給ないし需要側で調整する必要がある。この調整に関して、大きく分けての三つの考え方に整理できる。 〇ネットワーク事業者がPVの発電予測を(スポット市場開場前に)行い、これを小売り事業者に市場を通じて割り当て、予測誤差はほかの理由により発生したエリア全体のインバランスと合わせて送配電事業者が調整する。

・ 【EWN】中国市場を確保せよ 競い合うサウジとロシア 2019/04/21

中国に対する原油輸出競争の背景


 在世界の3大石油生産国は、サウジアラビア、ロシア、米国だ。いずれも、日量1000万バレル以上の生産量を達成し、現時点では、サウジが減産をしている関係で、米国とロシアがサウジを生産量で抜いているが、どこが1位になってもおかしくないくらい拮抗(きっこう)している。
 この3大生産国が原油供給の世界では群を抜いている。輸出能力の大きさは、ロシア日量約800万バレル、サウジ約650万バレルとなり、米国は消費量が大きいので、800万バレルの輸入が17年までは続いたが、19年2月にはなんと、輸出が日量300万バレルあり、純輸入が日量300万バレルを切る数量になったとみられる。

・ 【スポット解説】原発立地道県での知事選 原子力容認候補が勝利 2019/04/21

 4年に1度の統一地方選の前半戦(4月7日)では、福井や島根、北海道など原発立地道府県を含む11の知事選が行われた。原子力・エネルギー政策は主要な争点とはならなかったが、まったく意見が戦わされなかったわけではない。 道県で最大の原発15基(廃炉決定済みを含む)を抱える福井県知事選は、原発の再稼働を認めない共産新人で党県書記長の金元幸枝氏に対し、県の現状の方針に理解を示す元副知事の杉本達治氏、現職の西川一誠氏の両氏との間で主張が割れた。候補者のうち、唯一、脱原発を掲げた金元氏は、福井を再生可能なクリーンエネルギーの先進地としていくと主張。これに対し、杉本氏は従来の原発政策を「すぐ変える状況ではない」などと表明し、使用済み燃料を県外搬出するまでの保管方法についても、専門家を交えて議論する意向を示した。西川氏も、県外の中間貯蔵施設が決まるまでは「乾式貯蔵」による県内保管も検討すると話していた。

・ 【視点】東京五輪とセキュリティーの新技術 2019/04/11

 3月上旬、東京の有明で開催された総合展示会「セキュリティー・ショー」へ行った。私の関心は、来年の東京五輪へどんな警備システムが導入されるのかという点だ。約150社が参加し、大小のブースが広い会場を埋め尽くしていたが、驚いたのは中国企業の多いこと。多彩な中国機器と説明員の熱弁に日本企業を猛追する中国勢の力を感じた。
 さて東京五輪・パラリンピックは、五輪史上前例のない超分散型の運営になる。リオ五輪や平昌五輪のような競技会場や各種施設を一つの地域にまとめたパーク型とは異なり、1都1道7県43会場に分散する体制だ。

・ 【エネルギーを見る眼】激変する業界を巡る環境 エネルギー教育の再考を 2019/04/11

技術と制度の橋渡しをする人材育成が重要に


 世界のエネルギー政策は現在、混迷期に入っている。水素エネルギーや小型原子炉(SMR)など最先端の技術革新が進展する一方で、国際経済やインフラ輸出の先行きが不透明になっているために、実際の普及は厳しい状況にある。各国は1990年代に定着した自由化の延長線上で制度改革を継続しているが、一貫したロジックに支えられていた過去の政策とは異なり、現状はアドホックな弥縫策となっている。

・ 【EWN】今世紀後半に天然ガスは用済みか? 欧州では上流/下流で仲間割れ!? 2019/04/11

 このところEU諸国内では、2050年以降に全ての天然ガスを事実上の使用禁止、ないし用済みにすべきだと言う議論が無視できない程度に盛り上がってきている。3年前のパリ協定や昨年のCOP24 では、50年以降、各国がCO2排出量の80%削減、特に先進国は事実上の「脱炭素エネルギー社会」を目指すべきとの議論になったが、それをまともに受けての化石燃料全面禁止の「極論」が髣髴として巻き起こっている。そもそも現代社会の維持に、そんなことが可能なのか、そのコストや様々な副作用に耐えられるのかという根本的疑問は無視され、地球の平均気温を産業革命期に比して2度上昇、できれば1.5度上昇未満に抑えるために、言わば倫理的義務として、バックキャストすると、それが絶対に必要だという一面的議論だ。

・ 【スポット解説】石炭火力の建設中止要請も 環境相がアセス厳格化を表明 2019/04/11

 原田義昭環境相は3月28日、電力分野の低炭素化に向けて、石炭火力アセスを厳格化すると述べた。環境省が同日に取りまとめた「電気事業分野の温暖化対策に関する2018年度版の評価結果」を踏まえたもの。環境相は、「石炭火力発電における環境アセスの厳格化」と併せて、①地域での再生可能エネルギーの拡大、②炭素循環の実現(CCUSの早期社会実装に向けた取組の加速化)――の三つのアクションを開始すると表明した。
 環境相は同日、国際エネルギー機関(IEA)が世界のCO2排出量が増加傾向と発表したことや、脱石炭火力に向けたESG(環境、社会、ガバナンス)金融の加速化など、国内外の石炭火力を巡る取り組みに触れ、石炭火力アセスのさらなる厳格化方針を発表。環境影響評価法に基づく準備書において、①経済的観点からの必要性しか明らかにされていない、②「目標達成への道筋」が準備書手続きの過程で示されてない――と同省が判断した案件は「環境大臣意見の段階で是認できない」とし、事実上、中止を求める意見書を提出すると表明した。

・ 【視点】カーボンリサイクルの課題 2019/04/01

 カーボンリサイクルという名でCO2回収・利用(CCU)に注目が集まっている。CCS(CO2回収・貯留)では回収されたCO2は地下に貯留されるだけだが、CCUでは回収したCO2を利用して収入が期待できる。CO2を耐久素材に変えて固定すればゼロ排出となるし、燃料に変換して再び燃焼しても、もともと大気に放出される筈だったCO2が出るのだからCO2中立と主張できる。これがビジネスとして成立すれば確かに素晴らしい。

・ 【エネルギーを見る眼】原子力の情報発信の在り方 マスコミに丁寧な提供を 2019/04/01

周囲に影響を与えるインフルエンサーの選び方は


 日本原子力文化財団(JAERO)が3月に公表した2018年10月実施の「原子力に関する世論調査」の結果と分析は、人間の意思決定の根拠などを考える上でも、エネルギー広報戦略を考える上でも、興味深い材料である。世論調査はJAEROが06年度から毎年、ほぼ同趣旨の質問で行っている定点観測である。

・ 【EWN】普及するスマートデバイス 米国では半数が保有 2019/04/01

冷暖房、照明・換気、セキュリティーに活用


 インターネットなどへの通信機能を備え、採録したデータや外部データを処理することが可能なスマートデバイスが普及しつつある。既に米国では2人に1人、ミレニアム世代(25~34歳)では64%が何らかの住宅用スマートデバイスを保有しているとの調査会社報告もある。

・ 【スポット解説】原発の運転期間の見直し カウントストップの検討を 2019/04/01

 原子力発電所の運転期間について、規制の見直しを求める声が出ている。現在の制度は福島第一原発事故の後、民主党政権時に制定されたもので、40年運転し、1回に限り20年の延長を認める。しかし、「40年」、「60年」に技術的根拠はなく、海外を見ると、多くの国で原発の運転期間に法的制限はない。欧米で40年を超える運転を行っている発電所の例を見ると、設備の更新や保守活動を行うことで安全性に影響はないとされている。

・ 【視点】英国保守派が持つ安全保障上の懸念 2019/03/21

 英国出張時、保守派とされるシンクタンクと面談する約束があり、アクセスを調べようと住所で検索を掛けたところ、まずウキペディアで「その住所の建物には保守派が集まり、EU離脱派の巣窟(そうくつ)になっている」との表示が出てきた。ウキペディアに掲載されるほど保守で有名な人たちの話なので、少しバイアスが掛かっているかもしれないが、EU離脱が英国のエネルギー政策に与える影響と原子力をどう見るかについて話が聞けた。
 EU離脱は、エネルギー供給面では英国に大きな変化をもたらすことはなく、温暖化対策に熱心なEUの元を離れると、英国はもっと柔軟性を持った温暖化目標を定めることができる、特に、EUの再エネ政策から自由になれることは英国にはプラスと、離脱派らしき主張だった。

・ 【エネルギーを見る眼】予測から導き出せるか エネルギー産業の構想と戦略 2019/03/21

過渡期のエネルギーをどう支えていくのか


 エネルギー産業にとって経営戦略ほど難しいものはない。経営学では、目標を決めることは戦略の範疇に入らないが、戦略が目標に至るまでのシナリオであることを考えると、エネルギー産業の「目標」の社会性は戦略策定に重要な意味を持つ。
 エネルギー産業の目標は、安定供給やインフラという言葉に代表されるように、社会そのものを支えながら社会の中で規定され、社会が決めるという難しさがある。「過渡期のエネルギーをどのように支えていくのか」という議論が聞かれるが、過渡期の先に何があるのかという構想そのものが曖昧の中で過渡期という言葉もつかみ所がない。

・ 【EWN】需要増とCO2排出削減は無理 BPエネルギー予測に見る矛盾 2019/03/21

再エネとガスが一次エネルギー成長に責任


 BP社の「BPエネルギー予測(2019年版)」が2月に発表された。エネルギー関係者が誰もが参考にする「BP統計」と並んで、将来のエネルギーに関して、BPの分析・意思決定をサポートするために作成したものだ。
 国際エネルギー機関(IEA)が昨年11月13日に発表した「エナジーアウトルック 2018」と同様に、いくつかのシナリオを提示しながら、今後の動向を解析している。

・ 【スポット解説】電気の経過措置料金撤廃へ 競争状況の審査に着手 2019/03/21

 2020年の電気の経過措置料金撤廃に向けた議論が、大詰めを迎えている。電力・ガス取引監視等委員会・電気の経過措置料金に関する専門会合(座長=泉水文雄・神戸大学大学院教授は2月22日、経過措置の解除基準となる①消費者の状況、②十分な競争圧力の存在、③競争の持続性確保――の三つの項目のうち、既に専門会合でコンセンサスが得られている①、②について各エリアが解除の基準に適合しているかどうかの審査に着手。まず、議論の俎上に上ったのは、東京・関西エリアだ。

刊案内
img 青学発 岸田教授の「エネルギー文明論」
2019年12月
岸田一隆
img エナジー・トリプル・トランスフォーメーション
2019年11月
株式会社日本総合研究所/井熊 均、瀧口 信一郎、木通 秀樹
img エネルギー政策は国家なり
2019年10月
福島伸享
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