EPレポート

・ 「れいわ」躍進のエネ政策への影響は 2019/08/19

原子力にとって致命的なことにも


99万2267票――。れいわ新選組の山本太郎氏が参院選で獲得した票だ。消費税と原発即時廃止を掲げ、選挙前には泡沫(ほうまつ)候補とさえ言われた同氏の獲得票は、ふたを開ければ全候補者中でトップ。次の衆院選で100人規模の候補者擁立をめざす同党は、今後の野党の勢力図に大きな影響を与えそうだ。

・ 【EWN】シェールガス開発が進展 存在感増すアルゼンチン 2019/08/19

北米以外で初めて大規模開発を実現


6月初旬に史上初めてアルゼンチンが浮体型LNG製造・出荷施設(FLNG)からLNGを輸出を開始した。この「タンゴLNG」と命名された輸出案件は年産50万tと小さなものだが、かなり画期的なものである。日本のメディアではほとんど報道されなかったが、二つの点で注目に値する。まず、第一点は米国・カナダに次いでアルゼンチンでシェールガスの商業開発が軌道に乗り始め、同国の天然ガス生産量が急増していること

・ 【視点】デジタル社会を阻む計量法の縛り(山地憲治・地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長) 2019/08/19

デジタル社会の到来で膨大な量のデータが計量されるようになってきた。電気計量においても2024年にはスマートメーターが全戸に設置される見通しだ。スマートメーターからは電力量に加えて時間や位置情報も得られる。送配電設備もIoT(モノのインターネット)で結ばれ、さまざまな計量が行われるようになってきている。こうしたデータを活用して、電力アグリゲーションビジネス、P2P (個人間)の電力取引、EV(電動自動車)の充放電制御、さらには防災対策や見守りサービスなどさまざまなビジネス展開が期待されている。ここで問題となっているのが計量法の縛りである。

・ 【エネルギーを見る眼】民生・運輸で需要増加 電力部門の低炭素化が不可欠 2019/08/19

APEC加盟地域のエネルギー需給見通し


筆者が勤務するアジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)では3年に一度、アジア太平洋経済協力(APEC)加盟国・地域のエネルギー需給見通しを策定している。本年5月にその第7版を発表した。この見通しでは、2016年を起算年として、50年までを対象としている。主要な結論として、現状を維持した場合BAU(Business-as-Usual)シナリオでは、最終エネルギー需要が運輸部門と民生部門(住宅・商業)を中心に21%伸びると見込まれる。民生・運輸・産業各部門で電化が進み、需要と二酸化炭素の排出抑制が重要となる。

・ 【エネルギーを見る眼】国際競争力の改善に寄与 発展の礎を築いた水力開発(野村浩二・慶應義塾大学産業研究所教授) 2019/08/13

福澤諭吉の洞察力と桃介の起業家精神


木曽川水系にある水力発電所群を訪れる機会に恵まれた。梅雨の季、霞んで見える山々を背に、岩場を走る白い流水はこの地の水量の豊かさを誇示するように早い。山紫水明のその地に、大井ダムと発電所はあった。水主火従の幕開けとなる大正期、福澤桃介は水の利用に大いなる可能性を見て、米国からの技術と資金を導入することに奔走しながら、「古来実行不可能を称せられたる木曾川の激流を阻止して大堰堤を築き・・(中略)・・浩蕩万項の積水は化して力となり光となり国家社会に貢献」(発電所紀功碑)する大事業を成し遂げた。大正13年(1924年)末に竣工したその発電所は、百年近く経過した現在も変わらない価値を創造し続けている。

・ 迷走を続けるALPS処理水の扱い 2019/08/13

福島原発にたまる汚染水に国は逃げ腰


福島第一原子力発電所サイト内の貯蔵タンクで増え続けている多核種除去設備(ALPS)処理水。その取り扱いが迷走を続けている。ALPS処理水は、建屋や発電設備などで地下水や雨水が触れた高濃度の放射性物質を含んだ汚染水から、放射性物質を取り除くALPSによって処理された水のこと。トリチウムとごく少量の核種を含んでいる。増え続けることで、今後の廃炉作業に大きな影響を与えるため、国は早期の事態解決を模索している。

・ 【視点】火力運用を難しくする異常気象(山本隆三・常葉大学教授) 2019/08/13

今年6月、欧州では異常気象が続いた。フランスではセーヌ川を挟みエッフェル塔の正面に位置するトロカデロ広場の噴水池で水浴びをする人が現れ、6月28日にはフランスの最高気温が45.9℃になり、記録を更新した。チェコ、スペイン、スイスでも6月の最高気温が更新され、特にスイスでは40カ所において最高気温が更新された。オックスフォード大学、プリンストン大学などの研究機関は連携し気候変動問題の影響を解析する国際的な組織WWAを結成している。同組織の速報的な分析によると100年前との比較では現在熱波の気温は4℃上昇している。また、頻度は10倍になっているとのことだ。この原因は都市化などの影響もあるが人為的な行為による可能性が高い。欧州を襲った熱波は電力供給にも大きな影響を与えている。

・ 【スポット解説】異業種とのアライアンスが加速 デジタル化が成長の新たな柱に 2019/08/05

経済産業省は6月24日、官民によるスタートアップ支援プログラム「J-Sartup」に49社を新たに認定した。J-Sartupは、IoTやAI、ブロックチェーンをはじめとした最先端技術を取り扱う国内の有望なベンチャー企業に対して、政府の施策を活用する際に優先枠や加点制度を設け、補助金の優遇、ビジネスマッチングなどを行うというもの。経産省やJETRO、NEDOなどが選出する。2018年からスタートし、認定企業には各種優遇措置がとられるため、世耕弘成経済産業相は、「認定企業に対してえこひいきをする」と説明する。

・ エネルギー制度改革を重視の布陣 2019/08/05

経済・環境省の幹部人事


政府は7月2日の閣議で経済産業省の幹部人事を決定した(5日付、経済産業審議官と通商政策局長は12日付)。嶋田隆・事務次官(1982年入省)は退任し、後任に安藤久佳・中小企業庁長官(83年)が就任した。安藤次官は、資源エネルギー庁で総合政策課長、資源・燃料部長を歴任し、エネルギー政策に精通しており、今後、電力システム改革はじめ、原子力政策、再生可能エネルギーの導入拡大などへのかじ取りが注目される。

・ 【EWN】シェールオイルに黄信号 価格下落で投資が停滞 2019/08/05

1~2年後の油価に大きく影響も


ペルシャ湾で今年5月に4隻、6月に2隻のタンカーが吸着式水雷による攻撃を受ける事件があった。米国は「証拠映像」を公開し、「イランに責任がある」と名指しで非難。さらに米軍の無人偵察機が撃墜されたことを受けて、一時は決定された軍事攻撃をトランプ大統領が10分前に止めたという。また、7月にはジブラルタル沖でイラン産原油を輸送中のタンカーを英国海兵隊特殊部隊が拿捕(だほ)し、後にタンカー船長を逮捕。イラン政府は英国のタンカーに対して報復すると警告している。

・ 【視点】地震予知研究への希望(浦野浩) 2019/08/05

ここ数年、震度6程度の地震が増加傾向にある。気になるのは海溝型の巨大地震だ。気象庁もホームページで「現在、東海地震に限らず南海トラフ全域で大規模地震発生の切迫性が高まっている」と明記する。

・ 【エネルギーを見る眼】需給改善に有用な技術革新 収益機会を与える市場整備を(松村敏弘・東京大学社会科学研究所) 2019/08/05

エコキュートが地産地消の「要」にも


経済産業省の省エネルギー小委員会(6月24日)、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(7月5日)でともに、家庭用PVのFITによる余剰電力買い取り価格が、家庭用の平均的な電気料金を下回ったことが話題になった。買い取り価格が消費価格を上回っていた従来は、昼間の電力消費量が小さい家庭のPV設置の誘因が大きい、明らかにゆがんだ制度設計だった。この不自然な状況から脱して、自家消費によるPVの有効利用を中心とした社会の出発点になる。例えばPVとエコキュートを備える家庭なら、電気が余剰になり、事業用PVの出力抑制が予想される好天時の春秋には、昼間にエコキュートでお湯を作り、同日夕刻の入浴時に使うのが、深夜にお湯を作り、翌日夕刻にそれを使うよりも効率的で、社会的費用を抑制できる。しかし、オール電化の深夜料金はFIT買い取り価格よりまだ低く、この社会的に望ましい対応はペイしない。AIと通信技術を駆使してさらに高度にエコキュートの稼働を制御する技術を開発しても収益化は困難だ。

・ 参院選後の原子力政策の行方は 2019/07/30

安倍政権を支える秘書官らの玉虫色の方針


参議院選挙が7月21日に実施される。新聞などによる世論調査によれば、安倍内閣そして自民党の支持率は4割前後。この数値は決して高くはないが、1割にも満たない他党とは比べものにならない。参院選で自民党が大敗することは、まずないだろう。安倍晋三首相の在任期間が既に歴代3位を記録している安倍内閣。このままいくと、今年11月20日には桂内閣を抜いて、憲政史上最長の政権となる。今での政権の運営の経緯とこれからを、原子力政策をからませながら概括してみる。

・ 【スポット解説】アバディプロジェクトで合意 国際帝石はLNGシフトに 2019/07/30

 国際開発石油帝石は6月17日、インドネシアの大型液化天然ガス(LNG)プロジェクトを建設することで同国政府と基本合意した。昨夏に生産開始した豪州のLNGプロジェクトと並ぶ大型事業だ。日本国内やアジア各国の需要などを当て込んでいる。

・ 【エネルギーを見る眼】ホルムズ海峡で新型兵器使用 不測事態の危険性高まる(須藤繁 帝京平成大学教授) 2019/07/30

米・イランで主導権を握る強硬派


 6月13日、ホルムズ海峡付近で、石油タンカー2隻が攻撃を受けた。そのうちの1隻は日本の海運会社が運航するタンカー(積み荷はメタノール)だった。誰が何を目的に行ったのか確報はなく、さまざまな憶測が行われた。ホルムズ海峡は、イランとオマーンの間の海峡である。ユーラシア大陸とアラビア半島の距離は55㎞、イラン・ケシム島とオマーン・コイン島の岩礁間は33㎞。決して狭い海峡ではない。しかも潮流は速い。機雷による封鎖という軍事作戦は物理的に難しいと、数年前に航行した際、筆者は実感した。

・ 【EWN】停電回避に緊急措置で原発再稼働も 2019/07/30

ホルムズ海峡でタンカー攻撃 LNG輸入への影響は


6月12日から14日にかけての安倍首晋三相のイラン訪問時に、日本船籍を含む複数のタンカーがホルムズ海峡付近で、何者かに攻撃され、航行に支障をきたした。それによって、またぞろ世界の原油供給量とLNG供給量の2割前後が通過するホルムズ海峡情勢が緊迫化してきた。

・ 【視点】市場創設によるコスト増の懸念(山地憲治地球環境産業技術研究機構副理事長・研究所長) 2019/07/30

 来年度に迫った送配電事業の分離・中立化は、電力のサプライチェーン全体の事業化という電気事業組織の基本構造を破壊する。この破壊からの創造には、隠れていた「安定供給」の価値の明示化が必要になる。

2019/07/29

・ 【エネルギーを見る眼】原子力発電のリスク 相対的な比較の重要性(高橋信・東北大学大学院工学研究科教授) 2019/07/17

リスクのないエネルギー源はない


原子力発電の再稼働問題が遅々として進まず、さらにテロ対策施設の対応の遅れにより、既に稼働して発電所も停止に追い込まれる可能性が出てきている。テロによる発電所への脅威を軽視するつもりはないが、テロ対策施設がないと発電所の安全性が大きく損なわれ、その対策に資源を投入することを怠っている事業者は安全性を軽視しているという論調は、公平性を欠いていると言わざるを得ない。

・ 【視点】温暖化政策を変える独首相の野望(山本隆三・常葉大学教授) 2019/07/17

欧州連合(EU)の西側諸国は、気候変動問題への取り組み強化に熱心だが、ここ数年後ろ向きの姿勢の示し、一部の中東欧諸国と一緒に足を引っ張っていたのはドイツだった。昨年6月、ドイツ政府は、2020年の温室効果ガス削減目標05年比40%削減の達成が困難になり32%減にとどまると発表し、目標を放棄した。

・ 【EWN】欧州で高まるEVの普及 充電設備の整備も改善へ 2019/07/17

市場が成熟する中で収益構造に変化


ヨーロッパで電気自動車(EV)の普及が加速している。欧州自動車工業会(ACEA)によると、2018年の欧州における新車登録台数のうち、2%がEVとなり、昨年の1.5%と比べても比率が高まっている。18年販売台数上位3カ国を例にみても、ドイツは6万8000台を販売し、新車に占める割合は昨年の1.6%から2%に上昇。同じく、英国は6万台で比率は1.9%から2.5%、フランスは4万6000台で1.7%から2.1%と、比率が高まっている。

・ ブラックアウトのリスクを定期検証へ 2019/07/17

レジリエンス強化に向け電力各部門の役割も確認


電力レジリエンス(強靭(きょうじん)化)強化に向けて、ブラックアウト(全域停電)リスクを定期的に確認していくためのプロセスの在り方などの議論が、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)脱炭素社会に向けたレジリエンス小委員会(委員長=山地憲治地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)で行われている。

・ 【スポット解説】原発をどう自分の問題にするか シンクタンクが九つの提案 2019/07/17

シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表は6月21日、原子力発電について、市民が自分の問題として考るための九つの提案を盛り込んだ報告書を世耕弘成経済産業相に提出した。2018年11月から今年2月にかけて島根県松江市で行った、一般市民を交えての行った対話集会の結果をまとめたもの。世耕経産相は「皆さんのやり方も参考に、エネルギー政策に関するコミュニケーションを深めていきたい」と語った。

・ 【視点】世界初のLNG専焼クルーズ船 2019/06/21

 その船アイーダ・ノヴァ号はこの原稿を書いている今、リビエラ海岸のラスぺチア港を出港し、低速で南へ航行している。今や船名を入れると、PC画面でリアルタイムの追尾が可能だ。この船はLNG専焼ガスタービンとLNGタンク3基を甲板下に積む最新鋭のクルーズ船だ。昨年12月にデビューし、造船・海運・エネルギー・旅行業界の注目を浴びている。
 18万3000t、長さ337m、乗客5200人を乗せる世界で5番目に大きいクルーズ船。今後、同型船が続々と建造される予定だ。船舶の燃料は、C重油専焼からLPGやLNGを混焼する時代となり、現在はLNG専焼への動きが強い。欧州ではグリーン・チェンジと呼ばれ、背景には船舶による海洋汚染や温暖化ガスの排出削減を担う国連の機関である国際海事機関(IMO)の指導と、環境問題に積極的に取り組む欧州の姿勢がある。海事条約は船舶からのNOx、SOxの排出基準を年々厳格化し、CO2についてもIMOは2050年の排出量を50%削減する議論を詰めている。

・ 【エネルギーを見る眼】電力・石油業界の災害対応 熊本地震に見た現場力 2019/06/21

電力会社間の連携から学んだこと


 東日本大震災(2011年3月)、熊本地震(14年4月)、大阪府北部地震(18年6月)、北海道胆振東部地震(19年9月)、さらに豪雨災害も17年7月九州北部豪雨、平成30年7月豪雨など、2000年に入り大震災が6回も起こっている。
 「災害は忘れる前にやってくる」状況の中で、災害対応が急ピッチで進められている。しかし被害をもたらした要因はさまざまで、災害対応の一言ではまとめられない。東日本大震災では津波と原発事故が大きな被害をもたらし、熊本では激震、北海道震災では土砂崩れにブラックアウトという具合である。それだけに災害対応は要素の組み合わせを現場で組み上げていくしかない。
 南海トラフに対する防災ガイドライン(南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン)が3月に発表された。これは前年のワーキンググループのとりまとめを、企業や地方公共団体が具体的な防止計画・災害対応に落とし込むために作成されたものだ。対象者は、地方公共団体、防災対策推進地域内の指定公共機関、不特定多数の者が利用する施設に、危険物を取り扱う施設などを管理、または運営する者が加えられている。

・ 【EWN】サウジアラムコが社債発行 政府からの独立性に疑問符 2019/06/21

目論見書で石油生産能力が明らかに


 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコによる初の社債発行に、カネ余りの金融市場で運用難に頭を抱える投資家の人気が集中した。100億ドルの起債に対し、1000億ドル以上の応募が集まった。アラムコは、石油化学大手であるサウジアラビア基礎産業公社(SABIC)の株式70%(約690億ドル)を、サウジの政府系パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から買い取ることで同社と合意しており、社債発行は買収資金の確保が目的とされるとの報道もあった。
 アラムコは当初、ムハンマド皇太子の構造改革のための資金調達に株式の新規上場(IPO)を計画していた。しかし、ニューヨークやロンドンの取引所では厳しい情報開示ルールがあることから、IPOを中断。開示義務情報が少ないこともあり、社債の発行を選択した。

・ 【スポット解説】進展するLNGバンカリング 電力・ガス会社が中心的役割 2019/06/21

 国際海事機関(IMO)による新造船、現存船に対するSOx規制強化やCO2規制を受けて、電力・ガス会社や商船会社などによる船舶向けのLNGバンカリング事業が各地で活発化している。SOx規制では、2020 年1月1日から船舶に使用する燃料油中の硫黄分濃度を現行の3.5%から0.5%への引き下げる。そのためLNGを燃料とした船舶の製造・利用を拡大する機運が国際的に高まり、そのLNG燃料船が寄港した際にLNGの供給が行えるよう、供給設備や供給船の整備を行うものだ。
 先行しているのは、国土交通省の「LNG燃料船に対するバンカリング拠点形成事業」に昨年採択された東京湾と伊勢湾・三河湾でのプロジェクトだ。前者は、住友商事・横浜川崎国際港湾など3社が昨秋、船舶向けLNG燃料供給事業を行う合弁会社「エコバンカーシッピング」を設立。今年2月にはジャパンマリンユナイテッドと、LNGバンカリング船の建造契約を締結した。20年度中の事業開始を目指して、同船の建造に着手すると発表した。同社はLNG燃料のほかSOx規制への適合油(低硫黄C重油)供給が可能なアジア初の最大規模のバンカリング船の建造を予定している。

・ 【視点】電力プラットフォームビジネス 2019/06/11

 送配電事業の法的分離が目前に迫ってきた。分離後の送配電は公益事業として中立性が要求されるが、送電と配電とでは期待されている事業内容がかなり異なると思う。私が委員長を務める審議会資料には「広域化する送電」と「分散化する配電」という表現があった。単純に割り切っていえば、送電には全国大での効率的な公益の追求、配電にはデジタル化を踏まえた新しいビジネス展開の基盤サービス(プラットフォーム)が求められていると思う。ここでは、配電を基盤として期待されている新しい電力プラットフォームビジネスを取り上げる。
 プラットフォームとは、一般的には台座のことだが、ビジネスでは、不特定多数の顧客に様々な製品やサービスを仲介する取引の場の意味で使われている。ITの急速な進展によって個人・個社がインターネットで繋がり、プラットフォームは多種多様な莫大な量の取引を柔軟に扱えるようになった。

・ 【エネルギーを見る眼】加速する中国の原発開発 海外市場の開拓を活発化 2019/06/11

米中貿易摩擦が輸出の障害にも


 中国が原子力開発を拡大している。2018年中に新たに7基のプラントが稼働し、19年5月時点で、45基(4298万kW)が稼働中、15基(1284万kW)が建設中だ。これにより、中国は日本を抜いて、アメリカ、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国に浮上した。中国は第13次5カ年計画の期間(16~20年)内、国内で原子力発電所を年6~8基のペースで新設している。20年には開発目標(5800万kW)を達成する見通しだ。
 政府系の中国原子力産業協会によると、現時点で石炭を大規模に代替し、電力供給網に安定的に電力を供給できるのは原子力のみであり、グリーン低炭素エネルギーシステムの構築に欠かせず、今後の開発余地が最も大きいという。
 原子力発電設備容量は30年には1億~1億2000万kWに達し、電源構成の8%を占める見通しである。 さらに40年以降は1億5000万kWに達する勢いだ。

・ 【EWN】経済成長と公害に対応 日本が育てたLNG輸入 2019/06/11

東ガス、東電経営陣の企業家精神の発露


 今からちょうど半世紀前の1969年11月、アラスカのクック・インレットLNG(液化天然ガス)プラントからの出荷第一船が、LNGを満載して東京湾内横浜の発電所とガス工場に到着した。
 日本は当時、高度経済成長の真っただ中にあり、エネルギー分野でも、石炭や原油・重油炊き火力発電所の排気の亜硫酸ガスや煤煙などの公害問題や都市ガス需要の急速な伸びに、最小・最速の投資で対応しなければならない背景があった。LNG導入は課題解決のための切り札の一つだった。
 現在のように総発電量の4割を担って最大電源となり、都市ガスの全てを賄い、いずれ高温エネルギー需要の大半や再生可能エネルギーの不安定性の補完の主役を担うと期待されるまで活躍する現在の姿は、当時の日本において誰も想像できなかっただろう。
 日本におけるLNG輸入の嚆矢(こうし)となったアラスカ・クックインレットの液化案件は、年産50万tと極めて小規模だが、現在の日本の輸入量は年間8000万tを超え、160倍以上の規模まで急拡大した。特に3.11以降の伸びが急激であった。

・ 【スポット解説】原子力政策に不満が噴出 原発立地市町村が全国大会 2019/06/11

 全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)は5月27日、定例総会を全国都市会館(東京都千代田区)で開催した。原発の再稼働は、原子力規制委員会による審査の遅れにより進展を見せていない。また、原発新増設をエネルギー基本計画に盛り込まないなど、国のエネルギー・原子力政策もブレている。出席した国会議員や首長からは、それらに対する不満の声が多く聞かれた。
 会合の冒頭、渕上隆信会長(福井県敦賀市長)は、「第5次エネルギー基本計画では、2030年のエネルギーミックスで、原発は重要なベースロード電源と明記されている。しかし、再稼働、新増設、リプレース、核燃料サイクルの道筋は不透明なまま。現状を踏まえると、実現可能か疑問と言わざるを得ない」と指摘。「長期的な視点による明確なエネルギー政策を求めたい」と訴えた。

・ 【視点】豪州労働党の敗因は気候変動政策 2019/06/01

 5月18日に投開票が行われた豪州総選挙において自由・国民党の保守連合が勝利した。モリソン首相が奇跡と呼ぶ、世論調査と全く異なる予想外の結果だった。今回の選挙は気候選挙と呼ばれ、気候変動政策が関心を集めたが、労働党の敗因の一つとして同党の気候変動政策が挙げられるのではないか。
 豪州では、豪雨、史上最高気温の猛暑により気候変動への関心が高まり、世論調査では気候変動問題を最大の脅威とする国民が64%に達した。さらに、有権者の関心を集めたのは、クイーンズランド州にて計画されている年産6000万t規模のカーマイケル炭鉱だった。米国西部の2炭鉱に次ぐ世界第3位、豪州最大規模の炭鉱だ。

・ 【エネルギーを見る眼】ガスのインフラ多重性 パイプライン整備に期待 2019/06/01

仙台市ガス局港工場を訪れて


 記憶力の良い読者は、この筆者は去年も同じような時期に似通った内容の記事を書いていたと思い出されるかもしれない。定例の年次会合を主催した際の体験に基づいて執筆しているためであるのだが、ご寛恕願いたい。
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)参加国・地域政府で石油・ガスの安定供給に携わる担当官らを集めた第5回APEC石油・ガス安全保障ネットワークフォーラムを、4月上旬、仙台市で開催した。
 こうした会合では、会議場での議事終了後、関連施設への見学を組み合わせることが慣例となっている。このフォーラムでも、過去4回を北九州市、鹿児島市、ロシア連邦イルクーツク市、東京都内で開催したが、その際、近隣の石油備蓄基地や製油所を訪れた。昨年の東京会合では、コスモ石油千葉製油所を訪問させていただいた。

・ 【EWN】増える「100%再エネ」企業 事業者と長期の購入契約 2019/06/01

「ユニリーバ」の先進的な取り組み


 「RE100」――。自社が利用する全ての電力を再生可能エネルギー由来とすることを掲げる企業が加入している国際的な取り組みだ。これに加入する企業が、2018年末には前年比1.3倍の158社にまで増加するなど、企業の再エネ電力調達に対する関心は世界的に高まりつつある。
 その中で、企業が再エネ電力を調達する方法の一つとして、ここ数年、急速に増えているものがある。自社敷地外に再エネ発電設備を保有する再エネ事業者との間で長期の電力購入契約(PPA)を締結して電力を調達するオフサイトPPAだ。
 全世界で締結されたオフサイトPPAは、17年には約610万kWだったが、18年にはその2倍以上となる1340万kWとなった。
 RE100 加盟企業がこの方法に注目する理由は、脱炭素化の取り組みを進めることによる企業イメージの向上効果を得られることだけではない。敷地内(オンサイト)よりも大規模な発電所の建設が可能なことによるスケールメリットや、下落傾向にある再エネ発電コストの恩恵を受けた安い単価で、自社の電気料金単価を長期間、固定できるためである。

・ 【スポット解説】「新々北本」連系設備を建設へ 再エネ拡大の役割は不透明 2019/06/01

 2018年9月の北海道胆振東部地震に伴う全域停電(ブラックアウト)以降、国が主導し検討を重ねてきた北海道と本州を結ぶ送電線「北本連系設備」の再増強の方向性が固まった。北本連系設備は、Jパワーが所有する既設の60万kWに加え、北海道電力が新たなルートで建設した「新北本連系設備」30万kWが、今年3月に運転開始したばかり。さらに「新々北本」を建設し、30万kW上積みし120万kWとする。それによって、北海道の供給安定性の確保や、再生可能エネルギーの導入拡大につなげたい考えだ。
 工事費や工期の算定などを進めてきた電力広域的運営推進機関によると、選択肢とされた4案中、費用対便益があると評価されたのは、新北本設備と同じ、北海道の北斗変換所と青森県の今別変換所を結ぶルート。北海道と東北管内における大規模な地内増強を実施しないことで、工期は5年、概算工事費は430億円程度になると試算した。新北本の設備を活用することでコストを抑制できるため、再増強についても北電が建設主体となることを想定していると見られる。

・ 【視点】失言・放言とふた心の関係 2019/05/21

 令和を迎えるまでの数カ月、国会は大臣・副大臣の失言・放言問題で揺れた。選挙区への受けを狙って口を滑らせ、それぞれ政治生命に傷を負った。
 失言は、政治家に限らず経営者も庶民も経験する。心ならずも、言葉足らずで、意図に反して・・と弁解するが、心にないことが口を突いて出るわけがない。
 誰しも自分はそれなりに理性的、と思っているのだが、時として衝動的な言葉や反応で周囲との関係を悪くてしまう。なぜだろうか。人には二つの心があるのか、人格は揺れ動くものなのか。そもそも心とは、との問いに現代の脳科学はどう答えるのだろう。

・ 【エネルギーを見る眼】韓国「脱原発政策」の影響 長期的成長力を毀損 2019/05/21

安価な電力供給を失うとき


 昨年末、ソウル出身の卒業生がふいに研究室を訪ねてきてくれた。6年ぶりの再会である。当時目指していた進路を改め一念発起、日本で起業したビジネスがようやく軌道に乗り始めたという。日韓関係がだいぶ悪化してしまった環境下において、起業時の苦労は相当のものだったろう。しかしその表情は、何かを達成しつつある充実感に満ちていた。
 韓国経済は2011年ほどから転換期にある。17年5月に発足した文在寅政権は、脱原発・脱石炭政策を推進している。老朽化した石炭火力発電所を閉鎖し、新規原子炉の建設計画を白紙化、そしてLNG火力と再エネへとシフトする計画であるという。ドイツの“エネルギー転換”よりもそのスピードはずっと緩やかではあるが、韓国経済における中長期的な潜在成長力の毀損(きそん)は、より成熟した工業国である日独よりも大きなものとなるだろう。

・ 【EWN】米国が最大の産油国に 輸出が輸入を超過へ 2019/05/21

シェール増産で日量1400万バレルも


 米国エネルギー情報局(EIA)が「年次エネルギーアウトルック2019」を発表した。アウトルックは、1977年に米国エネルギー庁が定めた規則に従い、米国のエネルギー消費と供給の傾向と予測について報告するものだ。 今回は50年までの予測をまとめている。冒頭、この予測は何が起きるかという予測ではなく、ある推測と方法論が前提になれば、起きるかもしれない事象をモデル化した予測だと述べている。アウトルックの概要については簡単に後述するが、シェールオイル・ガスの生産が増え、米国の原油とNGL(天然ガス液)の生産が増大し、70年ぶりに20年には米国は原油と石油系液体(石油製品とNGL)の輸出が輸入より大きくなると予測している。

・ 【スポット解説】電力10社の18年度決算 燃料費上昇が経営のネックに 2019/05/21

 電力10社の2018年度決算が出そろった。売上高はいずれも前年を上回ったが、経常利益は北海道、東京、北陸を除く7社で対前年割れとなった。
 増益となった北海道は、北海道胆振東部地震に伴う費用増があったものの、豊水による水力発電量の増加に加えて、資機材の調達コストの低減、コストダウンといった各種費用を抑制。経常利益は対前年比55.4%増の301億円となった。
 東京は、燃料価格の上昇はあったものの、グループ全体での継続的なコスト削減の実施などにより、同8.5%増の2765億円に。北陸は、料金改定による収入増やLNG運開による石油減、修繕費、諸経費などのコストダウンの影響により、同149.2%増の66億円。また、純利益は3年ぶりに黒字化(26億円)した。

・ 【視点】グリーンファイナンスへの懸念 2019/05/01

 地球温暖化対策において金融の存在感が急速に高まってきている。2006年に国連が責任投資原則(PRI)の下で提唱したESG(環境、社会、企業統治)投資は、人類の持続可能な成長を促進する仕組みとして広く受け入れられている。PRIに署名した資産運用機関数は、わが国のGPIF(年金積立金運用)を含め、2000を上回り、その運用資産は20兆ドルを超えている。
 ESG投資に関連して、最近では温暖化対策に関する企業情報の開示を求める金融機関の動きが活発になっている。CDP(Carbon Disclosure Project)は、気候変動問題への取組や温室効果ガスの排出量の公表を求める国際イニシアティブを進め、主要国の時価総額上位企業に対して毎年質問票を送っており、回答率も年々高くなっている。回答は基本的には公表され、取組内容に対するスコアも付されている。

・ 【エネルギーを見る眼】「一帯一路」と理論的根拠 中国の人類運命共同体論 2019/05/01

少数民族への弾圧には厳しい批判も


 習近平・中国国家主席が3月にローマを訪問、マッタレラ大統領やコンテ首相と会談した。会談で習主席は「古代シルクロードを再生させたい」と述べ、マ大統領は「一帯一路は両国経済活動の枠組みになる」と歓迎した。中国は経済不振と失業に苦しむイタリアの港湾やインフラに巨大投資し、製品の輸入増大を約束したという。後述するが、中国の最優先海外投資事項は「港湾」と「鉄道」である。こうした経済面での欧州進出だけなく、別の角度から見ると、習近平世界戦略は「ついにローマ法の中心にまで迫ってきたか」という感慨を抱く人もいるだろう。
 話は3年前にさかのぼる。中国が築いた南沙諸島の人工島(これも港湾・空港)について、フィリピン政府が2014年に領有権の確認を求めて国際常設裁判所(蘭ハーグ)に提訴した。2年後の16年7月、裁判所は中国の主張は国連海洋法条約に違反する、として中国の領有権主張を退けた。

・ 【EWN】低炭素化への対応急ぐ 英欄シェルの新戦略 2019/05/01

「Skyシナリオ」で事業への影響を評価


 石油メジャーの「ロイヤル・ダッチシェル」による電力分野への進出姿勢が、ますます鮮明になってきている。2019年に入り、電力分野のスタートアップ企業3社への出資・買収を発表、さらにはオランダの公営電力会社「エネコ」への出資も検討している。
 1907年から提携関係にあった蘭「ロイヤル・ダッチ・ペトロリアム」と英「ザ・シェル・トランスポート・アンド・トレーディング」が05年に合併・統合し、ロイヤル・ダッチ・シェル(本社・蘭ハーグ)は誕生した。 世界有数の石油メジャーとしての地位を築いており、18年度の売上高3883.79億ドル(約42.7兆円)、純利益239.06億ドル(約2.6兆円)、従業員数8万1000人という数字からも、その規模の大きさがうかがえる。

・ 【スポット解説】バイオマス「新規燃料」をどう扱うか 2019/05/01

専門家会合が確認手法の検討に着手


 経済産業省資源エネルギー庁は、バイオマス発電に特化した再生可能エネルギーFIT制度の在り方の検討に乗り出した。
 4月18日に総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問会議)バイオマス持続可能性ワーキンググループ(座長=高村ゆかり・東京大学教授)の初会合を開催、バイオマス燃料の持続可能性や、新規燃料をFIT買い取りの対象に含めることの是非についての議論をスタートさせた。
 今後、月に1回程度のペースで会合を開き、2019年度の調達価格算定委員会に間に合うよう、秋ごろまでに見解をまとめる予定だ。

・ 【視点】学生の温暖化デモに違和感 2019/04/21

 1980年代中頃、今は幅広い環境活動を行っているWWF(自然保護基金、当時は世界野生動物基金だった)が「パンダを救おう」とのキャンペーンを行っていた。同じ時期、東部アフリカ、エチオピアでは大飢饉が発生し多くの人が命を落としていた。ある企業が、WWFに賛同し「パンダを救おう」と社内報で募金していた。なにが喫緊の課題なのか、社内報の編集者は理解していたのだろうか。パンダを救おうと訴えるのであれば、同時に少なくともエチオピアの子供たちも救えと訴えるべきではと疑問を感じた人もいたのではないだろうか。

・ 【エネルギーを見る眼】自然変動電源の予測誤差 誰が調整すべきか 2019/04/21

バランシンググループにすることのメリット


 太陽光発電(PV)のような不安定な再エネ電源は発電の予測値(計画値)と実現値が必然的に乖離するため、この差を供給ないし需要側で調整する必要がある。この調整に関して、大きく分けての三つの考え方に整理できる。 〇ネットワーク事業者がPVの発電予測を(スポット市場開場前に)行い、これを小売り事業者に市場を通じて割り当て、予測誤差はほかの理由により発生したエリア全体のインバランスと合わせて送配電事業者が調整する。

・ 【EWN】中国市場を確保せよ 競い合うサウジとロシア 2019/04/21

中国に対する原油輸出競争の背景


 在世界の3大石油生産国は、サウジアラビア、ロシア、米国だ。いずれも、日量1000万バレル以上の生産量を達成し、現時点では、サウジが減産をしている関係で、米国とロシアがサウジを生産量で抜いているが、どこが1位になってもおかしくないくらい拮抗(きっこう)している。
 この3大生産国が原油供給の世界では群を抜いている。輸出能力の大きさは、ロシア日量約800万バレル、サウジ約650万バレルとなり、米国は消費量が大きいので、800万バレルの輸入が17年までは続いたが、19年2月にはなんと、輸出が日量300万バレルあり、純輸入が日量300万バレルを切る数量になったとみられる。

・ 【スポット解説】原発立地道県での知事選 原子力容認候補が勝利 2019/04/21

 4年に1度の統一地方選の前半戦(4月7日)では、福井や島根、北海道など原発立地道府県を含む11の知事選が行われた。原子力・エネルギー政策は主要な争点とはならなかったが、まったく意見が戦わされなかったわけではない。 道県で最大の原発15基(廃炉決定済みを含む)を抱える福井県知事選は、原発の再稼働を認めない共産新人で党県書記長の金元幸枝氏に対し、県の現状の方針に理解を示す元副知事の杉本達治氏、現職の西川一誠氏の両氏との間で主張が割れた。候補者のうち、唯一、脱原発を掲げた金元氏は、福井を再生可能なクリーンエネルギーの先進地としていくと主張。これに対し、杉本氏は従来の原発政策を「すぐ変える状況ではない」などと表明し、使用済み燃料を県外搬出するまでの保管方法についても、専門家を交えて議論する意向を示した。西川氏も、県外の中間貯蔵施設が決まるまでは「乾式貯蔵」による県内保管も検討すると話していた。

・ 【視点】東京五輪とセキュリティーの新技術 2019/04/11

 3月上旬、東京の有明で開催された総合展示会「セキュリティー・ショー」へ行った。私の関心は、来年の東京五輪へどんな警備システムが導入されるのかという点だ。約150社が参加し、大小のブースが広い会場を埋め尽くしていたが、驚いたのは中国企業の多いこと。多彩な中国機器と説明員の熱弁に日本企業を猛追する中国勢の力を感じた。
 さて東京五輪・パラリンピックは、五輪史上前例のない超分散型の運営になる。リオ五輪や平昌五輪のような競技会場や各種施設を一つの地域にまとめたパーク型とは異なり、1都1道7県43会場に分散する体制だ。

・ 【エネルギーを見る眼】激変する業界を巡る環境 エネルギー教育の再考を 2019/04/11

技術と制度の橋渡しをする人材育成が重要に


 世界のエネルギー政策は現在、混迷期に入っている。水素エネルギーや小型原子炉(SMR)など最先端の技術革新が進展する一方で、国際経済やインフラ輸出の先行きが不透明になっているために、実際の普及は厳しい状況にある。各国は1990年代に定着した自由化の延長線上で制度改革を継続しているが、一貫したロジックに支えられていた過去の政策とは異なり、現状はアドホックな弥縫策となっている。

・ 【EWN】今世紀後半に天然ガスは用済みか? 欧州では上流/下流で仲間割れ!? 2019/04/11

 このところEU諸国内では、2050年以降に全ての天然ガスを事実上の使用禁止、ないし用済みにすべきだと言う議論が無視できない程度に盛り上がってきている。3年前のパリ協定や昨年のCOP24 では、50年以降、各国がCO2排出量の80%削減、特に先進国は事実上の「脱炭素エネルギー社会」を目指すべきとの議論になったが、それをまともに受けての化石燃料全面禁止の「極論」が髣髴として巻き起こっている。そもそも現代社会の維持に、そんなことが可能なのか、そのコストや様々な副作用に耐えられるのかという根本的疑問は無視され、地球の平均気温を産業革命期に比して2度上昇、できれば1.5度上昇未満に抑えるために、言わば倫理的義務として、バックキャストすると、それが絶対に必要だという一面的議論だ。

・ 【スポット解説】石炭火力の建設中止要請も 環境相がアセス厳格化を表明 2019/04/11

 原田義昭環境相は3月28日、電力分野の低炭素化に向けて、石炭火力アセスを厳格化すると述べた。環境省が同日に取りまとめた「電気事業分野の温暖化対策に関する2018年度版の評価結果」を踏まえたもの。環境相は、「石炭火力発電における環境アセスの厳格化」と併せて、①地域での再生可能エネルギーの拡大、②炭素循環の実現(CCUSの早期社会実装に向けた取組の加速化)――の三つのアクションを開始すると表明した。
 環境相は同日、国際エネルギー機関(IEA)が世界のCO2排出量が増加傾向と発表したことや、脱石炭火力に向けたESG(環境、社会、ガバナンス)金融の加速化など、国内外の石炭火力を巡る取り組みに触れ、石炭火力アセスのさらなる厳格化方針を発表。環境影響評価法に基づく準備書において、①経済的観点からの必要性しか明らかにされていない、②「目標達成への道筋」が準備書手続きの過程で示されてない――と同省が判断した案件は「環境大臣意見の段階で是認できない」とし、事実上、中止を求める意見書を提出すると表明した。

・ 【視点】カーボンリサイクルの課題 2019/04/01

 カーボンリサイクルという名でCO2回収・利用(CCU)に注目が集まっている。CCS(CO2回収・貯留)では回収されたCO2は地下に貯留されるだけだが、CCUでは回収したCO2を利用して収入が期待できる。CO2を耐久素材に変えて固定すればゼロ排出となるし、燃料に変換して再び燃焼しても、もともと大気に放出される筈だったCO2が出るのだからCO2中立と主張できる。これがビジネスとして成立すれば確かに素晴らしい。

・ 【エネルギーを見る眼】原子力の情報発信の在り方 マスコミに丁寧な提供を 2019/04/01

周囲に影響を与えるインフルエンサーの選び方は


 日本原子力文化財団(JAERO)が3月に公表した2018年10月実施の「原子力に関する世論調査」の結果と分析は、人間の意思決定の根拠などを考える上でも、エネルギー広報戦略を考える上でも、興味深い材料である。世論調査はJAEROが06年度から毎年、ほぼ同趣旨の質問で行っている定点観測である。

・ 【EWN】普及するスマートデバイス 米国では半数が保有 2019/04/01

冷暖房、照明・換気、セキュリティーに活用


 インターネットなどへの通信機能を備え、採録したデータや外部データを処理することが可能なスマートデバイスが普及しつつある。既に米国では2人に1人、ミレニアム世代(25~34歳)では64%が何らかの住宅用スマートデバイスを保有しているとの調査会社報告もある。

・ 【スポット解説】原発の運転期間の見直し カウントストップの検討を 2019/04/01

 原子力発電所の運転期間について、規制の見直しを求める声が出ている。現在の制度は福島第一原発事故の後、民主党政権時に制定されたもので、40年運転し、1回に限り20年の延長を認める。しかし、「40年」、「60年」に技術的根拠はなく、海外を見ると、多くの国で原発の運転期間に法的制限はない。欧米で40年を超える運転を行っている発電所の例を見ると、設備の更新や保守活動を行うことで安全性に影響はないとされている。

・ 【視点】英国保守派が持つ安全保障上の懸念 2019/03/21

 英国出張時、保守派とされるシンクタンクと面談する約束があり、アクセスを調べようと住所で検索を掛けたところ、まずウキペディアで「その住所の建物には保守派が集まり、EU離脱派の巣窟(そうくつ)になっている」との表示が出てきた。ウキペディアに掲載されるほど保守で有名な人たちの話なので、少しバイアスが掛かっているかもしれないが、EU離脱が英国のエネルギー政策に与える影響と原子力をどう見るかについて話が聞けた。
 EU離脱は、エネルギー供給面では英国に大きな変化をもたらすことはなく、温暖化対策に熱心なEUの元を離れると、英国はもっと柔軟性を持った温暖化目標を定めることができる、特に、EUの再エネ政策から自由になれることは英国にはプラスと、離脱派らしき主張だった。

・ 【エネルギーを見る眼】予測から導き出せるか エネルギー産業の構想と戦略 2019/03/21

過渡期のエネルギーをどう支えていくのか


 エネルギー産業にとって経営戦略ほど難しいものはない。経営学では、目標を決めることは戦略の範疇に入らないが、戦略が目標に至るまでのシナリオであることを考えると、エネルギー産業の「目標」の社会性は戦略策定に重要な意味を持つ。
 エネルギー産業の目標は、安定供給やインフラという言葉に代表されるように、社会そのものを支えながら社会の中で規定され、社会が決めるという難しさがある。「過渡期のエネルギーをどのように支えていくのか」という議論が聞かれるが、過渡期の先に何があるのかという構想そのものが曖昧の中で過渡期という言葉もつかみ所がない。

・ 【EWN】需要増とCO2排出削減は無理 BPエネルギー予測に見る矛盾 2019/03/21

再エネとガスが一次エネルギー成長に責任


 BP社の「BPエネルギー予測(2019年版)」が2月に発表された。エネルギー関係者が誰もが参考にする「BP統計」と並んで、将来のエネルギーに関して、BPの分析・意思決定をサポートするために作成したものだ。
 国際エネルギー機関(IEA)が昨年11月13日に発表した「エナジーアウトルック 2018」と同様に、いくつかのシナリオを提示しながら、今後の動向を解析している。

・ 【スポット解説】電気の経過措置料金撤廃へ 競争状況の審査に着手 2019/03/21

 2020年の電気の経過措置料金撤廃に向けた議論が、大詰めを迎えている。電力・ガス取引監視等委員会・電気の経過措置料金に関する専門会合(座長=泉水文雄・神戸大学大学院教授は2月22日、経過措置の解除基準となる①消費者の状況、②十分な競争圧力の存在、③競争の持続性確保――の三つの項目のうち、既に専門会合でコンセンサスが得られている①、②について各エリアが解除の基準に適合しているかどうかの審査に着手。まず、議論の俎上に上ったのは、東京・関西エリアだ。

・ 【視点】ホモ・デウス(超人類)という未来 2019/03/11

 話題の書『ホモ・デウス』(邦訳版2018年9月刊)を読んだ。著者はイスラエルの歴史学者ユヴァル・ハラリ。彼には本書に先立つ大作『サピエンス全史、16年刊』があり、各国語に翻訳され全世界で800万部を超える大ベストセラーになっている。人類を生物種の一つと位置づけ、その過去・現在・未来を新しい視点で眺める新鮮さが読者を惹きつけているようだ。
 現人類ホモ・サピエンスは、7万年前の認知革命、1万年前の農業革命、500万年前の科学革命という三つの革命を経験、その都度自らをアップグレードして飢餓・疫病・戦争の制御に成功してきたとみる。

・ 【エネルギーを見る眼】なぜ人の認識は間違うのか 事実と思い込みのギャップ 2019/03/11

関心フィルターにある10個の本能の穴


 原子力エネルギーを今後どのように考えるか、という議論において、社会全体の意見が重要であることは言うまでもない。原子力の分野では、従来から一般社会の原子力に対する理解を促進目的としたコミュニケーション活動が行われてきていたが、その多くは(現在も)「欠如モデル」に基づく啓蒙型の活動である。一般市民は知識が足りないことが原因で、原子力を必要以上に怖がり反対するのだから、欠けている知識を教えてあげれば理解は促進するはずだという考え方である。

・ 【EWN】天然ガスへの代替では不十分 経済成長とCO2削減の矛盾 2019/03/11

米国は高成長で3%の排出増


 昨年の世界のCO2排出量は前年比約3%増と、近年の横ばい傾向から一転したようだ。このCO2排出増は、温暖化対策よりも経済成長を明らかに優先している、いわゆる「途上国のせいだけではない。OECD(経済開発協力機構)地域も同様で、国際エネルギー機関IEAは昨年5年ぶりに0.5%増と推定している。OECD地域の排出量が5年ぶりに増加したのは、米国が昨年3%以上も前年比で増加したと見られる要因が大きいようだ。

・ 【スポット解説】2050年に向け進展する技術 畜エネルギーなどトレンドに 2019/03/11

 エネルギー総合工学研究所が報告書「2050年に向けたエネルギー技術展望」をまとめた。パリ協定を踏まえて、わが国は50年にCO2排出量を15年比で80%削減することを目指している。報告書は、50年にCO2排出80%削減を前提条件として、太陽光・風力の再生可能エネルギーの導入度合、原子力の利用の有無(高位活用を含む)、CCS(CO2回収・貯留)の有無などを変えた六つのケースについて、技術動向などの分析を行ったもの(CCSなしのケースは解が得られず割愛)。これらの結果を踏まえて、50年超えに向けたエネルギーシステムとして、三つのメガトレンドを提示している。

・ 【視点】反原発運動に参加する動機は 2019/03/01

学識者が震災後のデモ参加者を分析


 上智大学のグローバル・コンサーン研究所が1月、反原発デモなどの社会運動を分析したシンポジウムを開いた。会合は、運動を分析するアカデミズムというよりは、いかにして活性化させるかという、反原発集会そのものの雰囲気に満ちていたが、内容は示唆に富むものだった。

・ 【エネルギーを見る眼】政治混乱続くベネズエラ 一層の原油生産減は不可避に 2019/03/01

米国の経済制裁の影響大きく


 南米ベネズエラで2人の大統領が正統性を主張し、混乱が広がっている。チャベス前大統領の路線を継承するマドゥロ現職大統領に対して、欧米各国が暫定大統領に承認したグアイド国会議長は公正な選挙のやり直しを求めている。

・ 【EWN】太陽光と蓄電池のプロジェクト ハワイ電力が大規模購入を契約 2019/03/01

100万kW時を超える蓄電池を導入


 米ハワイ州で垂直統合型の電気事業を営むハワイ電力(HECO社)は2018年12月31日、複数の事業者が計画しているメガソーラー発電と蓄電池を組み合わせた計7プロジェクト(太陽光発電設備容量計26万2000万kW、蓄電池出力計26万2000万kW、設備容量計104万8000万kW時)と電力購入契約(PPA)を締結し、ハワイ州公益事業委員会に対し認可申請を行ったことを公表した。

・ 【スポット解説】太陽光発電の導入に逆風 自立求められる関連業者 2019/03/01

 中国の太陽光発電システムの2018年の導入量は440万㎾と、17年の530万㎾から約17%減少した。これまで世界のけん引役だった中国市場にブレーキがかかった格好だ。また日本でも、20年度にも大規模太陽光発電を環境影響評価(アセスメント)の対象に含めるなど、導入に逆風が吹いている。

・ 【視点】出力抑制時の余剰インバランスは「0円」 2019/02/21

基本政策小委が新たな算定方針で合意


 経済産業省資源エネルギー庁は、2月4日の総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)電力・ガス基本政策小員会(委員長=山内弘隆一橋大学大学院教授)で、再生可能エネルギーの出力制御実施時の余剰インバランスの算定方法について、制御を実施している当該エリアの余剰インバランス料金を「1kW時当たり0円」に設定する方針を提示、了承された。パブリックコメントを経て省令・告示を改正した上で、4月1日に新たな算定方法による運用を開始する。

・ 【エネルギーを見る眼】変化する中国の消費構造 非化石エネとガスが主役に 2019/02/21

非化石エネは一次エネルギー消費の14%に


 中国は2018年の経済成長率が6.6%と減速する一方、都市化やモータリゼーョンと産業構造的転換(付加価値、グリーン化)が進んでいる。それに伴い、石油・ガスの需要が増加している。エネルギー需給ギャップが一段と拡大し、対外依存度が高まり、またエネルギーの消費構造も変化しつつある。

・ 【EWN】エネルギー消費大国インド 増大する石油・ガスの海外調達 2019/02/21

日米の協力で「ダイヤのネックレス」戦略を構築


 2017年のBP統計によると、16年のインドの一次エネルギー消費量の構成は石炭57%、石油30%、ガス6%、水力4%、再生可能エネルギーなど2%、原子力1%。また現地報道によると、電源構成(17年3 月)は、石炭59%、水力14%、天然ガス8%、原子力2%、石油2%、再生可能エネルギー(風力、太陽光、バイオマス、小水力など)18%となる。

・ 【スポット解説】1F汚染水タンクのリプレース進む 発生量も減少傾向に 2019/02/21

 1月下旬、東京電力福島第一原子力発電所(1F)を視察した。各原子炉の状況は、まず4号機は2014年末にプールからの燃料取り出しが完了。3号機では燃料取り出しに向けたドーム屋根や、燃料取り扱い機、クレーンを設置し終え、3月から取り出しを開始する予定だ。一方、1号機ではオペレーティングフロアのがれき撤去を、2号機ではオペレーティングフロア全域の汚染や設備状況の調査段階となっている。

・ 【視点】競争激化で大手電力の苦境が鮮明に 2019/02/11

燃料負担増で増収・減益に


 1月31日に出そろった大手電力10社の2018年4~12月期連結決算は、売上高の合計が14兆9035億円と前年同期比6.2%増加した。一方、経常利益は5930億円と同26.6%減少した。収益の柱である電力販売量は、関西電力と東北電力を除く8社で減った。10社合計では同2.1%減の5651億㎾時だった。16年4月の電力小売りの全面自由化後、他の大手電力や新電力に顧客を奪われたことが響いた。

・ 【エネルギーを見る眼】変化するエネルギーの地理 需要急増の中国・インド 2019/02/11

天然ガス需要が大幅増に


 国際エネルギー機関(IEA)では世界のエネルギー需給見通しを毎年刊行している。最新版「ワールドエネルギーアウトルック 2018」は昨年11月に発表されたので、既に旧聞に属することであろう。しかし、今年に入って1月11日、勤務先の日本エネルギー経済研究所がアウトルック2018をテーマに国際シンポジウムを開催し、それをきっかけに考え始めたことがあるので、ここで書かせていただく。

・ 【EWN】アフリカ産が大量流入へ 市場流動化で価格高騰も 2019/02/11

「迷えるLNG」としてアジア市場にも


 日本のLNG買い手にとって、これまでアルジェリア、ナイジェリアなどのアフリカ産はあまり縁がなく、印象も関心も薄かった。これまではアフリカ産の案件は、距離の近い欧州市場を売り先として立ち上げられた案件がほとど全てだった。日本には時々、欧州市場で余った玉がスポット物として輸入される程度であった。

・ 【スポット解説】「環境と経済の好循環」を 首相が気候変動対策を強調 2019/02/11

 安倍晋三首相は1月23日,スイスで開催されたダボス会議に5年ぶりに出席して演説を行った。6月に大阪市内で開催されるG20サミットに向けた日本の取り組み方針を表明し、その一つに気候変動対策を挙げて、CCU(二酸化炭素の回収・貯蔵・利用)と水素などイノベーションによる解決が必要と強調した。

・ 【視点】原発輸出の「挫折」が教えるものは 2019/02/01

再考迫られる日本の戦略


 日本政府が成長戦略の一つとして進めてきた海外への原子力発電所の輸出が、行き詰ってきた。三菱重工業がトルコで、そして日立製作所が英国が進めてきた原発計画がともに建設費用の増大で、撤退が濃厚になってきている。政府が原発輸出を国策として掲げたのは2005年のことだが、政府と産業界が一体となって進めてきたこの戦略は、大きな見直しを迫られることになる。

・ 【エネルギーを見る眼】借りた技術と “意図しない”省エネ 2019/02/01

効率的推進に求められる長期的な視座


 政府は2030年に向け、日本経済がオイルショック後に実現したようなスピードでの省エネの実現を目指している。高い省エネ目標は、その勝算があることを必ずしも意味しない。3E+Sの探求において、むしろ日本も欧州も、原発依存度の低下、石炭火力の縮小、再エネ推進による電力価格の高騰など、他の手段に手詰まり感があるとき、それは中心的な課題へと返り咲く。

・ 【EWN】台湾政府が方針変更 洋上風力開発に黄信号 2019/02/01

デンマーク大手は開発から撤退を示唆


 台湾政府が進める洋上風力の開発に、滞りが生じている。政府は、2020年までに国内で合計550万kW相当の洋上風力発電の開発権を事業者へ付与し、25年までにそれらの運転を開始するという計画を立てている。
 18年4月にはFIT(固定価格買い取り)公募(383万6000kW)、6月には競争入札(166万kW)が行われ、今後、さらに開発が進んでいくものと思われていた。

・ 【スポット解説】再エネ自立化をより促進へ 導入委員会が中間整理 2019/02/01

 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の再エネ大量導入・次世代ネットワーク小委員会(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)は1月17日、中間整理(第2次)案をまとめた。
 わが国は、再生可能エネルギーを重要な低炭素の国産エネルギー源と位置付けている。その最大限の導入と国民負担の抑制との両立を図り、2030 年度のエネルギーミックスの着実な達成を目指しているが、高コストや系統接続などの課題も多い。

・ 【視点】水道法改正に理不尽な批判 2019/01/21

事業の根深い課題解決が急務


 2018年12月6日に成立した改正水道法は、野党や朝日新聞などの一部メディアが、「命に係わるインフラを民間に売り飛ばすのか」「料金値上げや水質悪化につながりかねない」などと猛反発し、大きな話題を呼んだ。

・ 【エネルギーを見る眼】自然変動電源の出力抑制 九電の対応は正しかったか 2019/01/21

市場メカニズムを使って抑制量の縮小を


 2018年10月、九州電力は本土では初の変動再生可能エネルギー電源の出力抑制を実施した。出力抑制は1年以上前から予想され、事前に入念に準備し、粛々と実行された。事後検証の体制も整備されており、広域機関および資源エネルギー庁の委員会での検証の結果、九電の送配電部門の行動に大きな問題がなかったことが確認された。

・ 【EWN】原油の協調減産で合意 急接近するサウジとロシア 2019/01/21

中東情勢により混沌が生じる危険性も


 石油輸出国機構(OPEC)の加盟国と非加盟産油国による共同閣僚監視委員会は、ロシアなどの非加盟を交えて協調減産を行うために設置された。OPECの指導国であるサウジアラビアとロシアの指導者や政府高官が相対で話し合っただけでは、その他の国の参加意識を高めらない。この委員会からの情報公開や強制力の担保により、協調減産の効果を世界の市場に訴える力を増すためである。

・ 【スポット解説】 2019/01/21

 経済産業省の調達価格算定委員会(委員長・山内弘隆一橋大学大学院教授)は1月9日の会合で、2019年度以降のFIT(再生可能エネルギーの固定価格買い取り)制度による事業用太陽光(10~500㎾未満)の買い取り価格を、現行の1㎾時当たり18円から同14円に引き下げる方針を示した。パブリックコメントを経て、今年度中に経済産業相が正式に決定する。20%超の大幅な引き下げにより、再エネ導入に伴う国民負担の軽減を図る。

・ 2019年エネルギー・環境政策の行方 2018/12/21

政策は温暖化対策が軸に


 もうすぐ2019年を迎える。来年のエネルギー政策はどのような展開となるのか――。その行方を左右する一つの要素が、地球温暖化対策だ。19年6月までに、「気候変動長期戦略」が取りまとめられ、それを踏まえて「30年度までに温室効果ガスを13年度比26%削減」を目標に掲げた国際公約の見直しに着手する計画だ。
 現在、環境省が検討中のカーボンプライシングや炭素税の導入をはじめ、ESG投資の拡大と気候変動リスク情報開示要請の高まりの中で、石炭を中心とした火力発電に対するプレッシャーは今後さらに強まっていくのは必至だ。そうした中で、原子力の再稼働やリプレース、再エネ主流化に向けた取り組みがどのような展開を見せるのかも注目される。

・ 【エネルギーを見る眼】OPEC総会で辛くも 維持された産油国の結束 2018/12/21

生産調整を主導するサウジとロシアに反発も


 石油輸出国機構(OPEC)は昨年12月6日、ウィーンで定例総会を開き、2019年1月以後も原油減産態勢を維持することを決めた。この措置は、翌7日の非OPEC産油国との会合で19年1月から半年間、産油国全体の減産量を日量120万バレルとする合意に結実した。
 定例総会は、直前にカタールのOPEC離脱表明があり、組織としての結束が問われる中で開催された。そのことはOPECの盟主を自認するサウジアラビアの指導力をこれまで以上に問うことになったが、結果としては、同国はロシアの協力を取り付け、2大生産国が生産調整を主導する態勢が当面維持されることを示した。

・ 【EWN】値上がりを続ける 英国の標準変動料金 2018/12/21

ガス・電力市場局が上限価格を設定


 1998年に家庭用小売市場までの自由化をスタートさせた英国では、新規事業者のマーケットシェアが2割を超えるなど、小売事業者による競争が進展している。
ただ、料金メニューについては、各社とも積極的にメニューを選択しない需要家向けのデフォルト・サービスとして提供されている標準変動料金(SVT)の適用が多くなっている。
 SVTは、卸価格の変動を反映して随時改定を行うことが認められている。そのため、各社の割引料金メニューより割高となる点や、予想外に高額な請求となり得る点、また期間を特定した割引契約の終了後に自動的にSVT適用となる点などが問題となっていた。

・ 【スポット解説】「もんじゅ」の復活も 問われる高速炉の研究開発 2018/12/21

 高速炉の研究開発の在り方が問われている。経済産業省は12月3日、高速炉開発会議の下に設けた戦略ワーキンググループ(WG)の会合で、今後10年程度の研究開発を特定する「戦略ロードマップ」の骨子を示した。経済産業相、文部科学相らが参加する同会議は、高速増殖原子炉「もんじゅ」の廃炉を視野に入れてて立ち上がったもの。
 骨子では、高速炉が本格的に利用される時期は、ウラン需給などを踏まえると、21世紀後半になると指摘。今後10年の進め方を、①競争を促しさまざまなアイデアを試す、②絞り込み、支援を重視化する、③開発課題及び工程について検討する--の3つのステップに区分した。国には、エネルギー基本計画などを通じて民間が技術提案を行うときの前提となる目標を提示し、また、技術の成熟度に応じて適切な規模の財政支援を行うことなどを求めている。高速炉の利用を選択する電力会社や、資金調達に関与する金融機関などに対しては、将来性のある技術について、早くから開発に関与していくことを要請している。

・ 反原発「グリーンピース」の変貌 2018/12/11

直接行動とメディア戦略が武器


 フランスのビュジェ原子力発電所にスーパーマンを模したドローンを激突させてテロ対策の不備をアピールし、日本が南極海で行っている調査捕鯨を過激な方法で妨害する――豊富な資金力と卓越した行動力で派手なパフォーマンスを見せる国際的な環境団体が、「グリーンピース」だ。近年、温暖化防止のためのキャンペーンを展開しており、石炭火力を主なターゲットとしている。そのため、かつての激しい反原発姿勢はややトーンダウンしている。
 グリーンピースが誕生したのは1971年のことだ。米国がアリューシャン列島で行おうとしていた2回目の核実験に反対して、抗議の船をカナダから出航させたことに始まる。当時のメンバーは10人。自然保護や平和運動に携わる会社員や教師、学者、学生などがその顔ぶれだった。

・ 【エネルギーを見る眼】「ゴーン・ショック」 問われるガバナンス 2018/12/11

薄れる企業風土重視や地域密着経営


 日産自動車のゴーン会長が逮捕されたニュースは、わが国のみならず世界全体に大きな衝撃を与えた。カリスマ的リーダーとして日仏の大手自動車会社をけん引してきた優秀な経営者像が一気に崩れ落ちてしまった。国際レベルで手腕を発揮できるトップが就任していれば、透明性の高い経営が実践されるだろうという期待感があったため、今回のような事件が起きるとは誰も想像できなかった。会社と個人をめぐる事実関係はこれから明白にされるが、エネルギー業界においても熟慮すべき問題が含まれているように見える。
 経済活動の自由化が進展するにつれて、企業間提携や合併再編成は活発化し、経営のグローバル化は加速化してきている。地理的なグローバル化に加え、業種を超えた融合化も起きているために、経営者層に多様な人材が入っているのも事実である。一企業を運営するのに複数国の出資者が関与している事例も多く見られる。

・ 【EWN】天然ガスの不確実な将来性 2050年後も使用されるか 2018/12/11

再エネに取って代わられることも


 天然ガスは、再生可能エネルギーあるいは石炭燃焼が発生させる高濃度CO2を分離・地下貯留するCCSが全面的に展開するまでの「つなぎ」エネルギーなのか、2050年以降も使用され続ける「終着」エネルギーなのか――。
 いずれガス産業は、この問いへの答えを迫られることになりそうだ。天然ガスの生産者側、例えば石油メジャーや産ガス国は、再エネや原子力でエネルギー需要の全てを賄うことは不可能であり、またCCSも量的・コスト的制約が大きく、どんな条約で何を決めようが、長期的に天然ガスに一定程度頼らざるを得ないと主張している。すなわち「低炭素化」は可能であり、その方向で努力すべきだが、「脱炭素化」は事実上不可能であると明言している。

・ 【スポット解説】サンチ号事故から教訓を 油流出対策でワークショップ 2018/12/11

 石油タンカー事故による原油流出対策をテーマにした石油連盟主催による国際的なワークショップが11月下旬、都内で開かれた。今年1月に東シナ海沖のタンカー衝突事故(サンチ号事故)で南西諸島などに油が漂着する被害が出たばかり。参加した8カ国約130人が熱心に聴き入った。
 石油業界が流出事故への対策強化を進めたのは、1989年3月のアラスカ湾で起きたタンカー座礁事故(エクソン・バルディーズ号事故)が契機。原油4万㎘が流出し、国際的な協力の必要性の認識が高まったためだ。

・ 【エネルギーを見る眼】沖縄の繁栄を支える 化石燃料の貴重な役割 2018/12/01

観光の振興で地域平和に貢献を太陽


 沖縄の本島と宮古島に行ってきた。観光産業が絶好調で毎年、海外旅行者数が20%ないし30%も増加している。人口も増え、電力需要も伸びている。
 島々の経済は、化石燃料、なかんずく石油が支えている。人々はジェット燃料を使って飛行機でやってくる。物資を運ぶ船はディーゼルエンジンで動いている。こういった往来が無ければ、島々は繁栄しないし、生活も出来ない。沖縄は13世紀以来、日本本土・中国・韓国などとの交易で賑わってきた。これは今も変わらない。

・ 【EWN】世界水準から大きく見劣り 石油開発企業の将来展開 2018/12/01

メジャーはシェール原料で石化事業も


 石油・天然ガスの開発分野で、日本の企業は世界企業と伍していけるか――。スーパーメジャー、国営企業、独立系石油会社(IOC) 、そのほかにサウジ基礎産業公社(SABIC)など、世界企業が膨大な利益を上げている中(表参照)、日本企業の脆弱な経営体質が明らかになっている。
 表は、各企業の規模比較を単純化するために、2018年度第2四半期(中間決算)の純利益だけを取り上げている。それぞれの企業特有の理由により、純利益が18年度の中間期で大きく変動しているものもあるが、純利益の規模で企業の規模と開発資金の自己負担能力などが判断できると想定した。

刊案内
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