EPレポート

・ 電力業界が警戒する経産省人事 2017/07/21

剛腕次官は力量発揮か


7月4日の午後、ある経済産業省OBの携帯電話は鳴りっぱなしだった。相手は電力首脳陣。判で押したかのように、こんな会話が交わされていた。「嶋田さんは何をしようとするのか」「われわれはどう対処するべきなのか」――。力のない声を耳にした経産省OBは、これから押し寄せようとする電力業界の試練を感じ取ったという。
この日の朝、各省の幹部人事が閣議了解を経て発表された。注目された経産省では菅原郁郎次官が退官し、通商政策局長を務めていた嶋田隆氏が次官の座を射止めた。嶋田氏と言えば、事務官時代から将来を嘱望され、今では安倍晋三首相の懐刀である今井尚哉総理秘書官、資源エネルギー庁長官である日下部聡氏とともに、「昭和57年組の三羽がらす」と称されてきた。傍から見れば至極順当な人事とも言えるが、実際には永田町を巻き込んだ熾烈な駆け引きが展開されていた。

・ 【エネルギーを見る眼】気候変動で人類が備えるべきことは 2017/07/21

自然が急激な気候変動を起こすことも


エネルギーの問題を考えるとき、どのくらいの時間スケールで考えるかという点が議論のひとつのポイントとなる。産業革命以来の文明の急速な進歩に伴いエネルギーの消費量も増大し、その結果として大気中のCO2量が増加し地球温暖化が起こり、このままでは地球は危機的な状況に陥る可能性があるとIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は警告している。しかし、地質学的な時間スケールでの地球の気候変動の大きさを考えると、どのような状態を「正常」と考えるかという本質的な問題が浮かび上がってくる。

・ 【EWN】事業環境の変化で苦境に立つ仏EDF 2017/07/21

株価は過去最低を記録


EDF(フランス電力会社)グループはフランス電力市場において発電事業、小売事業、配電事業までを手がけ、圧倒的なシェアを誇る同国最大の電気事業者である。
株価は2007年11月に85ユーロを超えていたが、その後時間をかけてゆるやかに落ち続け、今年3月末から5月上旬にかけては遂に8ユーロを下回る低水準を記録した(17年7月5日現在は8.97ユーロ)。
16年度の年度報告書によると売上高は約8兆5400億円、営業利益は約9000億円、発電容量は約1億4700万kW、従業員数は15万5000人弱となっており、時価総額は今年7月時点で約3.2兆円に上る(1ユーロ=120円換算)。
原子力発電だけでなく、風力・太陽光などの再生可能エネルギーにも注力しており、他の欧州電力会社からは後れを取っているものの、発電容量は約120万kW、建設中のものも含めると300万kWに達する予定である。

・ 【スポット解説】海外依存からの脱却を図る米大統領のエネルギー政策 2017/07/21

トランプ米大統領が6月29日に米ワシントンで、またG20の参加を前にした7月5日にポーランドのワルシャワでエネルギー政策についてスピーチを行った。
スピーチで注目されるのが米国のエネルギー支配力の確保と、オバマ前政権時代に設けられた規制の緩和を進めるという2点。これまでの主張の延長にあるが、外交と絡めたことに特徴がある。
トランプ大統領は内政問題に忙殺されたためか、エネルギー政策では2月の一般教書演説と6月の気候変動をめぐるパリ協定からの脱退以外は、自ら目立った発言をしなかった。そのため一連の演説は、世界のエネルギー関係者の間では注目を集めている。

・ 大手電力の電源切り出し、45.6万kWへ 2017/07/11

卸取引活性化の具体策を検討


経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合(座長=稲垣隆一弁護士)が6月27日に開催され、卸電力取引の活性化に向けた旧一般電気事業者の自主的取り組みの実施状況などが報告された。
 電力システム改革を貫徹する上で、経済産業省が重視しているのが、卸電力取引の活性化だ。大手電力会社が、自社電源や相対契約などによって国内のほとんどの電源設備を確保している中で、新電力が市場を通じて安い電気を購入する機会が拡大すれば、事業者間の競争が促進され電気料金の低減につながるとの考えからだ。
経産省が大手電力会社に求めている自主的な取り組みとは、①各社が保有する発電設備の余剰分の卸電力取引所(JEPX)への供出、②電源開発(J-パワー)や地方公共団体と長期契約している電源の可能な限りの新電力への切り出し、③グループ内取引をスポット市場に移行する「グロスビディング」の実施――だ。

・ 【エネルギーを見る眼】石油備蓄を加速する中国の狙い 2017/07/11

20年に輸入量の100日分を目標に


中国のエネルギー需給ギャップは10年前の2億8680万tから2016年には6億4354万tにまで増大している。なかでも石油の需給ギャップは1億8450万tから3億7900tにまで拡大し、対外依存度は65%強と高まっている。こうした中でエネルギー安全保障に備える主要な措置である国家石油備蓄の動きが目立っている。
国家発展改革員会や国家統計局と商務部の発表によると、中国は2016年末までに備蓄原油は3325万tの原油を備蓄している。これは16年の輸入量(3億5760万t)の34日に相当する。
 政府は、第10次5カ年計画(2001~05年)において、「石油などの戦略備蓄体制の整備を早期に確立する」との政策を打ち出した。04年3月に第1期基地の地点として大連(遼寧省)、黄島(山東省)、舟山(浙江省)、鎮海(浙江省)を指定。備蓄事業を始め、14年11月の時点で備蓄容量は1640万㎥、備蓄量は1243万tに達した。

・ 【EWN】米国のパリ協定離脱で温暖化防止が加速も 2017/07/11

LNG大量供給でガス火力に転換


トランプ大統領は6月2日、「パリ協定」からの離脱を発表した。既に米環境保護局の職員の20%にあたる3200人の人員削減を盛り込んだ予算を発表していたと報道されている。環境保護のための過度の規制は必要ないという選挙中からのキャンペーンをそのまま実行に移している。
地球温暖化の国際的枠組みからの離脱は、政権のエネルギー政策であるシェールガス・オイルの増産、国内での石油・ガスの探鉱・開発の促進、環境規制の一部撤廃による火力発電の促進など、自国のエネルギー産業の活性化を進め、自給と雇用の拡大を目指し、経済の活性化を達成するという選挙公約実施の一歩だと考えられる。
もちろん米国の離脱は、トランプ支持派の白人炭鉱労働者たちの保護にはならない。石炭は、シェールガスを中心にした天然ガスとのコスト競争に敗れたのであって、温暖化対策のための環境規制を緩めたからと言って探鉱労働者の職を増やすことにはならないことは自明である。

・ 【スポット解説】福島復興に新基本方針を決定 2017/07/11

福島復興再生特別措置法の改正に伴う新しい福島復興再生基本方針が6月30日に閣議決定された。同法や基本方針の改正は、東京電力の除染対策費用の一部を免除する代わりに、福島の復興再生に向けてこれまで以上に人的・技術支援などの拡大を求めることが狙い。復興の流れが加速する中で、福島県内での東電が果たすべき役割と期待が一層増している。
法改正の最大の眼目は、特定復興再生拠点区域の復興と再生を推進するための計画制度の創設だ。

・ 新生東電、福島への責任は果たせるか 2017/07/01

新々総特の実現に向け始動


廃炉、賠償、除染の費用として年間5000億円の利益を稼ぎ出し、福島への責任を果たすことはできるのか――。6月23日、東京電力ホールディングスは会長に川村隆氏、社長に小早川智明氏という新体制が発足し、2026年までの10年間の経営方針を示した新々総合特別事業計画の実現に向け始動した。
 「16兆円とか22兆円という数字は驚天動地。できない数字だとしても最後まで責任を貫徹しなければならない。経営陣は自分を捨ててでも挑戦するしかない」。23日に都内で開かれた株主総会で、新々総特が非現実的だとの株主の指摘に対し、數土前会長はこう力強く訴えた。
しかし別の株主からも、「(數土前会長の発言について)地に足のついたことを言ってほしい。決意だけでは困る」「昨年の総会で、數土会長は新総特が十分進んでいると言ったのに、『7月に経営破たんする』との発言があった。新々総特は本当に大丈夫なのか」と懐疑的な意見が相次いだ。

・ 【エネルギーを見る眼】破壊的イノベーションによる省エネ量は試算できるか 2017/07/01

ICTの進歩で経済成長しつつCO2削減も


物理学者ファインマンは1959年の講演「下の階には沢山が部屋ありますよ」で、微細加工技術が進むことで、どれだけ多くの情報処理が可能になるか、理論的に計算してみせた。情報の保存に必要な原子の数を勘定し、ブリタニカ百科事典をペンの頭に埋め込むことも出来るとした。ご案内のように、今ではこれは実現している。
ファインマンの予言は他にも多岐にわたり、情報通信技術が微細加工により飛躍的に進歩を遂げる可能性を理論的に指摘した。まだ半導体というと、ようやく1958年にはじめてテキサツインスツルメンツにおいて集積回路が発明されたばかりだから、驚異的な予言だ。このような情報通信技術(ICT)の進歩によって、経済成長しつつCO2を削減するという「デカップリング」が実現するという見方がある。これは本当だろうか。

・ 【EWN】メタハイは夢の国産資源か それともただの土塊か? 2017/07/01

生産コストは1m3当たり150万円以上に


今年4月から再び国のメタンハイドレート生産テストが、渥美半島~志摩半島沖にかけての水深約千mの海域で行われ、例によって多くのメディアに生産テストが成功したと既に大々的に報じられた。その後、生産パイプ内に、海底下のハイドレート層に大量に含まれる砂が大量流入したため、生産テストは前回同様に中断を余儀なくされたが、毎回、このメタンハイドレートの生産テストは多くのメディアの関心を呼んでいる。
いわく「日本の貴重な純国産資源」、「現在の日本のガス消費量の約百年分もある」、「数年後にも実用化、商業化される可能性がある」などの喧伝によって、一部の政治家、外交・防衛関係者や経済人から一般人に至るまで、「夢の資源」として期待する雰囲気が醸成されているといっても過言ではない。
しかし、現時点で近い将来の国産メタンハイドレートの商業化のめどは全く立っておらず、現在の国の商業化計画は事実上の絵に描いた餅にすぎない。それどころか、冷静・客観的に考えれば、永久に商業化できない「夢の資源は永久に夢のまま」の可能性も高い。

・ 【スポット解説】課題多いLNG ハブ化構想電力・ガスは海外市場に進出 2017/07/01

経済産業省は6月21日、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)資源燃料分科会を開催し、今年4月にイタリアで開かれたG7エネルギーサミットでまとめた「LNG市場戦略」のフォローアップを行った。戦略では2020年代前半までに日本をLNG取引の中心地(LNGハブ)とすることを目指すとし、その実現のために①LNGの取引の容易性(トレーダビリティ)向上、②需給を反映した価格指標の確立、③取引を支えるインフラの整備――の3つの要素を重要とした。しかし、会合での経産省の説明から、3要素の実現が難航している現状が明らかになっている。 

・ 波紋広がる米国のパリ協定離脱 2017/06/21

政権内の異論を押し切ったトランプ大統領


米国のトランプ大統領は6月1日、気候変動防止の国際的な枠組みとして結ばれたパリ協定について、離脱する意向を表明した。全世界の2割弱と中国に次ぐ温室効果ガスの排出国である米国の動きは、世界のエネルギー情勢に影響を与えそうだ。
トランプ大統領は、離脱を表明した演説で次のように述べている。「他国が米国のパリ協定残留を期待するのは、米国を経済的に不利にできるからであり、パリ協定残留を求める国々は貿易、防衛で米国に多大なコストを掛けている」
「パリ協定離脱は米国の主権であり、外国からとやかく言われるべきではない。自分を選んだのはピッツバーグ(記者注・鉄鋼の生産の集積地)などの米国市民であり、パリ市民ではない」

・ 【エネルギーを見る眼】原発廃炉に欠かせない合理的な視点 2017/06/21

「廃炉は資産の除去」との認識を


「これから日本は原子力発電所の大量廃炉時代を迎え、廃炉ビジネスに大きなチャンスが生じる」――。このように考えている方がもしいたら、電気事業者の身にもなっていただきたい、と強く申し上げたい。結論から述べるが、廃炉は合理的に実施すべきである。雇用や地域振興はその副次的な効果としては大いに結構であるが、それが最優先の条件であるわけではないことをご理解いただきたい。
筆者は3年ほど前、2022年までの脱原子力を目指して既設炉の廃炉を進めているドイツを訪問し、廃炉事業についてオペレータと相談しているエンジニアリング企業A社の責任者に話を聞いたことがある。白状すると、筆者はかつて電力会社の廃止措置部門で働いていたころ、こちらに十分な予算がないことを承知の上でさまざまな技術を売り込みに来るエンジニアリング会社の方々にほとんど恨みに近い感情を持っていた。厳しい安全審査を受けなければならないこちらの弱みに付け込んで技術を売りつけることしか考えていないのか、そちらの大儲けはこちらの大赤字だ、という具合である。

・ 【EWN】課題解決に連携する欧州の電気事業者 2017/06/21

環境目標達成に取り組む欧州電事連


自由化が進む欧州のエネルギー業界は激しい競争にさらされている。一方、保護主義の台頭と主要国の政権選挙、ロシアや中国などのエネルギー分野を含むプレゼンス拡大、地球環境問題に懐疑的な米トランプ政権の誕生など、エネルギー・環境をめぐる情勢は目まぐるしく変化している。そのような環境下における欧州電気事業連合(EURELECTRIC)の動向をについて見ていく。
欧州各国の発電、送電、配電事業者の代表組織であった国際発送配電業者連盟(UNIPEDE、1925年設立)と、エネルギー政策を議論する年次総会を主催していた電気事業協調欧州委員会(EURELECTRIC、89年設立)が、電気事業者の声を一本化してECに対応していくため2000年1月に合併。欧州電事連が設立された。
欧州では90年の英国での電力自由化開始を皮切りに、欧州委員会(EC)によるEU指令に基づき、11年までに電力事業者の発送電が完全分離された。またECは11年3月に、50年までに温室効果ガスを90年の水準から80%削減するという目標を掲げ、「低炭素経済ロードマップ2050」として発表した。

・ 【スポット解説】原子力機構で作業員が被ばく プルトニウムは検出されず 2017/06/21

日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センターで6月6日、作業員がプルトニウムと濃縮ウランが入った貯蔵容器を点検中、放射性物質が入ったビニールの袋が破裂し、被ばくするトラブルが発生した。点検を行っていた作業員5人は口や鼻をふさぐ半面マスクをしていたが、すぐに行われた検査で、3人の鼻腔内から3~13ベクレルの放射性物質が検出された。また肺に沈着したプルトニウムなどを計測する肺モニタによる検査が行われ、最も被ばく量が多かった作業員から2万2000ベクレルのプルトニウム239が検出された。 

・ 高レベル廃棄物の処分に新策 2017/06/11

処分候補地「マップ」提示に向けて


進展が見られない高レベル放射性廃棄物の地層処分について、前進するよう国が対策に力を入れている。経済産業省資源エネルギー庁は5月31日、地層処分の研究開発について、関係機関の連携を図る「地層処分研究開発調整会議」の初会合を開いた。2017年度を期限とする現在の全体計画を改定し、18~22年度を期間とする計画を今年度内に策定する。
また、経産省と原子力発電環境整備機構(NUMO)は5月14日、都内で処分地選定の考え方、進め方などを紹介する地層処分のシンポジウムを開催した。東京を皮切りに6月までに全国計9カ所で開催し、地層処分の適性地域を日本地図上に示す「科学的特性マップ」の提示に向けて、理解を求めていく方針だ。
これまで高レベル廃棄物の地層処分の研究開発は、国と日本原子力研究開発機構(JAEA)が中心になり進めてきた基盤的な研究開発全体計画と、NUMOが進める応用的研究の中期技術開発計画の2本立てで進められてきた。

・ 【エネルギーを見る眼】シリア難民にハイテク・キャンプを 2017/06/11

福島で集められた救援物質を届けて


縁あって、福島県郡山市に集められた救援物資をトルコ国内のシリア難民キャンプに“確実に”届けるルートづくりのため、トルコに行ってきた。たまたまNHKのオイルショック時(1973年10月~12月)の騒ぎを“油乞い外交”と冷やかされた“三木ミッション”を通じて回想するという番組の取材を受けた直後だった。ちなみにオイルショックとは、エジプト、シリア両軍がイスラエルに先制攻撃を仕掛け、サウジアラビア、クウェートなどアラブ産油国が「親アラブでない国には石油供給を毎月5%カット」という“石油戦略”を発動、西側先進国にショックを与えた事件だ。トイレットペーパーや洗剤の買い占め騒動が起こり、日本人が中東、アラブの重要性を理解した最初の出来事だった。

・ 【EWN】急速に経済成長するインドのエネルギー戦略 2017/06/11

石油メジャー育成の動きも


インドは中国と並んでエネルギーの爆食国と言われて久しい。1991年ごろから国民会議派のラオ首相とシン財務相が規制緩和を柱とする経済改革を開始して、経済の安定性と成長率が高まり、2000年以降大きく効果が表れ始めた。03年から08年途中までは6年連続で7%を超える同国史上、未曾有の景気拡大が続いた。
12年は経済の鈍化が鮮明になったが、14年のモディ首相によるインド人民党(BJP)政権の発足から経済は上向き、7%を超える成長を続けている。中国の10%台の急成長継続と比較すると成長にばらつきがあり、平均すれば6~9%台になる。しかし、08年のリーマンショック期間を除いて高い成長率を続けており、世界の新興国の代表のBRICS(ブリックス)の中では、資源価格低下の影響を大きく受けているロシア、ブラジル、また過剰な設備投資と不動産バブルなどで景気の鈍化している中国を尻目にインドだけが安定している。

・ 【スポット解説】インバランス料金制度を見直し 予見性の低減が課題に 2017/06/11

昨年4月の電力小売り全面自由化と同時にスタートしたインバランス料金制度の見直し議論が本格化した。インバランス精算単価が卸市場価格よりも高いか、安いかを新規参入者が予見できてしまう現行制度では、事業者が意図的にインバランスを発生させて利益を得ることが可能で、計画値同時同量順守のインセンティブとして機能していないことが課題となっていた。

・ 海外進出へ軸足を変える石油政策 2017/06/01

高度化法3次告示施行へ


経済産業省が石油政策での方針転換を打ち出している。4月7日、今後の石油精製・流通政策の在り方を検討した「石油精製・流通研究会最終報告書」を発表した。その中では「石油精製業者には、製油所の国際競争力の強化やアジア市場の獲得に向けた取り組みを加速化することにより、縮小する国内石油製品市場に売り上げの大半を依存する状態から脱却し、アジア市場をはじめ、ほかの成長分野に事業ポートフォリオをシフトすることで将来の安定的な経済基盤の確保につながるような取り組みを行うことが期待される」と明記。
これまで、経産省は消費地精製方式を前提に過剰精製設備の廃棄を進め、恒常的な製品輸出には消極的だった。これを改め、製品輸出や海外事業進出、総合エネルギー産業化など、事業拡大を促している。

・ 【エネルギーを見る眼】エネルギー安全保障概念の変容 2017/06/01

脅威と保護対象の多様化


1979年、第2次石油危機の最中に旧通商産業省に入省してから、30年近い在職中に何度かエネルギー政策に携わった。そのたびに「エネルギー安全保障」という概念に出会い、その概念を用いて政策を考え、対外的に説明してきたが、正確にはどのような意味か、米国留学で学んだ国際関係論における「安全保障」とどのように関係するのか、はっきりしない部分があるように感じた。 審議会で知り合った京都大学大学院エネルギー科学科研究科の神田啓治教授(当時)にこうした問題意識を述べたところ、研究して学位論文にまとめてはどうかとアドバイスされた。指導を受けながら論文を書いたのは、ちょうど新世紀の始めごろであった。

・ 【EWN】米・英・中で減りドイツで増える CO2排出 2017/06/01

石炭から天然ガスへのシフトが大幅削減に貢献


英国では今年4月21日に産業革命以来、初めて石炭による発電量がゼロになるという歴史的な現象が起きた。また国際エネルギー機関(IEA)の最新の推計では、英国では昨年、CO2排出量が前年比で6%も減少した。際立った排出量削減の最大要因は、石炭火力から天然ガス・コンバインド・サイクル発電へのシフトだ。
2015年に発電量シェアの23%を占めていた石炭火力が、16年には9%まで急減していたのに対し、天然ガスによる発電量は30%から44%まで急上昇した。火力全体の発電シェアは53%と全く変わらなかったにかかわらず、火力の中で石炭から天然ガスへの雪崩的なシフトが生じたことでCO2が大幅削減したのだ。

・ 【スポット解説】FITで木質バイオマス拡大するも 林産業の近代化が課題に 2017/06/01

急拡大する太陽光や風力に対して出遅れ気味の、バイオマスの普及をどう図るべきか――。自然エネルギー財団やスウェーデン大使館、世界バイオエネルギー協会は5月22日、都内でシンポジウムを開き、欧州のバイオマスエネルギー利用先進国の最新動向を踏まえ、日本での普及策について話し合った。日本では再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)でバイオマス発電の普及は進んでいるものの、木材産業の発展がおろそかになっているといった指摘が挙がった。

・ 東電再生のカギを握る柏崎刈羽再稼働 2017/05/21

新たな経営再建計画を国に申請


東京電力ホールディングス(HD)と原子力損害賠償・廃炉等支援機構は5月11日、新経営再建計画「新々・総合特別事業計画」(新々総特)の認定を国に申請した。
福島第一原子力発電所事故の関連費用増大などを踏まえ見直されたもの。翌日開かれた経済産業省の有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委)で審議され、会合の後、伊藤邦雄委員長(一橋大大学院特任教授)は、「非常にポジティブな評価」「東電委員会の提言に沿っているという認識が一致していると思う」と評価した。国は東電委での審議を踏まえて、月内にも同計画を認定する見通しだ。

・ 【エネルギーを見る眼】不可解な旧 一般電気事業者の営業活動 2017/05/21

支配的事業者は矜持を持って営業を


家庭用も含めた電力市場の全面自由化から1年が経過した。家庭用市場での新電力への切り替え率は予想よりも低かったが、関東・関西・北海道などの地域では一定の数字に達している。さらに全面自由化の前後から、既に自由化されていた大口市場での競争も激しくなり、新電力が獲得していた需要家が旧一般電気事業者に奪還される例も数多く出ている。
 旧一般電気事業者の激しい値下げと営業攻勢は、新電力からの競争圧力に直面して効率化に努め、コスト競争力が高まった結果であれば望ましいこと。しかし、そうでなければ、必ずしも問題ない行為とは言えない。
例えば航空市場で、新規参入者の便の前後の自社便だけ差別的にコスト割れの価格をつけて新規参入者を潰しにかかる価格戦略は、仮に黒でないとしても灰色で、効率化によって全体に値下げする価格戦略とは区別すべき。新電力の顧客の契約更新時を見計らって差別的に不当廉売をしているのか、健全な価格競争の結果なのかを見極めるためにも、監視等委員会は価格情報を網羅的に収集する必要がある。

・ 【EWN】環境対策で地位を確立する米国の電気自動車 2017/05/21

6年後には経済性でガソリン車と同等に


昨今、欧米を中心にちまたの話題になっている電気自動車(EV)だが、その歴史は意外と古い。EV の開発の始まりについては、今からおよそ100年以上前に遡る必要がある。19世紀末には、米国の都市部では既に内燃機関の蒸気自動車やガソリン車とともに、鉛蓄電池を使用したEVが販売されていた。当時の売上も上々で、ガソリン車の名車「T型フォード」が発売されるまでは、自動車市場ではある程度のシェアを有していた。
その後、ガソリン車の急速な性能向上と低価格に対抗しえず、自然と市場から淘汰(とうた)されてしまったものの、石油の供給が危ぶまれる度に、EVへの期待が高まった。
1990年代以降、欧州を中心とした各国間の政治的な働き掛けも相まって、人々のライフスタイルの中へ徐々に環境保護意識の浸透が始まった。21世紀に入り、その影響は移動手段である自動車にも及び始める。元々ガソリン車などの内燃機関搭載車よりもエネルギー効率が格段に良いEVは、低環境負荷の象徴として、今後急速に拡大する兆しが見えている

・ 【スポット解説】原子力規制委でトップ交代 更田豊志氏が新委員長に 2017/05/21

政府は4月、衆参両院の議員運営委員会に原子力規制委員会の委員長に更田豊志委員長代理を昇格させる人事案を提示した。田中俊一委員長は9月に5年の任期を満了し退任する。
規制委員長のポストについては、田中氏の続投説が昨年末から流れていた。田中氏本人は激務による体調不良などから辞意を漏らしていたとされるが、原子力規制庁や環境省の幹部は続投を政府与党に打診。しかし田中氏の規制委運営に不満を持つ議員らが続投に難色を示した。特に、立地地域出身の議員らが電力会社や立地自治体とのコミュニケーション不足を批判したと言われる。田中氏の後を継ぐ委員長として、田中知(さとる)委員の昇格が検討されたようだが、規制委設立以来、委員を務め、「田中路線」を継承する更田氏が昇格した。

・ 大口で急速にシェアを伸ばす新電力 2017/05/01

経済省が電力・ガス全面自由化の進捗状況などを報告


総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)電力・ガス基本政策小委員会の会合が4月21日に開催され、1年が経過した電力小売り全面自由化の進捗と4月1日にスタートしたばかりの都市ガスの小売り全面自由化の進捗状況などが報告された。
電力自由化の進捗を測る指標のひとつとなっている新電力への電気契約の切り替え(スイッチング)件数は、1月末時点で全契約数の3.9%に当たる約246万件だった。一方で、大手電力内の規制料金から時勇メニューへの切り替え件数も同じくくらいあり、約237万件に上がっている。
新電力へのスイッチング率は東京電力管内が6.1%と最も高く、中国電力(0.3%)と北陸電力(0.9%)の管内が低い。大手電力内の契約切り替えは中部が13.1%と最も高く、北海道や沖縄、東北が低い。
注目されるのは、全面自由化以降のkWhベースの新電力シェアだ。2000年の部分自由化以降、特別高圧・高圧分野における新電力のシェアは、長い間2~3%にとどまってきた。それが、昨年7月に10%を超え、全面自由化による大口市場への波及効果の高さがうかがえる。

・ 【エネルギーを見る眼】石油供給過剰は解消されたのか 2017/05/01

IEA中期石油需給見通しからの分析


足元の原油相場(WTI)は、4月下旬以後、期近ものが1バレル当たり50ドル台で推移している。産油国による減産延長の思惑から買いが先行しているものの、米国内の供給過剰状態が続くとの警戒感は根強い。
米国シェールオイルの増産基調が続くとの見方は根強く、原油需給の緩和が見込まれている。その中で、サウジアラビアのファリハ石油相は4月20日、石油輸出国機構(OPEC)加盟国を中心とする減産措置の延長に関し合意は形成されつつあると述べた。また、クウェート石油相も減産延長の見通しを示唆したため、減産延長が原油の需給改善につながるとの観測が強まっている。
こうした一連の流れの中で、国際エネルギー機関(IEA)は3月2022年までの中期石油見通しを発表した。本年の見通しは、OPECの協調減産が実施される中で発表されたため、石油市場に再び管理者が戻ったとの前提に立った内容となっている。昨年見通しは、石油市場の供給過剰で原油価格が20ドル台に下落した直後だったため世界は自由市場を経験していると論じた。

・ 【EWN】石油業界の再編で和製準メジャー誕生か 2017/05/01

再編に動く経産省のシナリオは


東京電力ホールディングスは4月3会長に川村隆日立製作所元会長、社長に小早川智明・東京電力エナジーパートナー社長が就任する人事を発表した。日立のV字回復を成し遂げた川村氏を経産省はどうしても新会長に就けたかった。若い小早川氏が旧体制の東電からの離脱のシンボルにされた。難問続出の東電グループをどのように解体、毎年5000億円もの福島第一原発事故の再生費用を捻出しながら再生してゆく力技が要求される。
この東電解体・再生の過程ではエネルギー企業の電力・ガスなどの境界を越えた再編や統合が起きる予感がする。一方石油業界では、JXTGホールディング誕生をはじめとする日本の石油業界の枠内での販売・精製シェアの取り合いのための合併と再統合の動きが活発だが、エネルギーの種類を超えた、また上流・下流の専門分野を超えた再編と合併は起きるのだろうか。
石油業界はずばりコスモ石油の将来が再編の鍵となる。これがきっかけで上流企業と下流企業が合体し、和製準メジャーの端緒となる動きが出るかもしれない。

・ 【スポット解説】総務省が「森林環境税」を検討 高市総務相は早期創設に意欲 2017/05/01

総務省は森林環境の保全を目的とする「森林環境税」(仮称)の検討に入った。4月21日、「森林吸収原対策税制に関する検討会」(座長:小西砂千夫関西学院大大学院教授)の初会合を開催。冒頭にあいさつした高市早苗総務相は「森林環境税は市町村が主体となって森林整備を行う財源を確保するための税制として創設するもの。自治体の意見を十分に聞き、専門的な見地から幅広く検討を進めていきたい」と述べ、早期創設に意欲を示した。同検討会は秋に取りまとめを行い、2018年度税制改正への反映を目指す。

・ 温暖化対策「3本の矢」で50年80%削減へ 2017/04/21

カーボンニュートラル達成に新たな視点


経済成長を犠牲にせず2050年温暖化ガス80%削減という難題解決に向け、経済産業省の長期地球温暖化対策プラットフォーム(PF)は4月7日、報告書案をまとめた。国内や業種内で閉じた従来の延長線上の取り組みではなく、新たな視点で、日本の排出量を超えた地球全体での削減(カーボンニュートラル)を目指す「温暖化対策3本の矢」を提案。①国際貢献で各国が貢献量の多寡を競う仕組み、②ライフサイクルで低炭素化につながる製品を普及し、グローバル・バリューチェ-ンでの削減に視野を広げること、③有望な技術分野のイノベーション促進――を掲げた。報告書は4月中旬にも正式に策定する。
環境省の長期低炭素ビジョン小委員会も3月、50年以降のビジョンをまとめている。温暖化対策と経済成長の両立を掲げつつも、50年80%減は必達目標と整理。そのために、エネルギー需給構造で低炭素電源9割以上が必要など、各分野の絵姿を示した。

・ 【エネルギーを見る眼】リスク情報の正しい活用 2017/04/21

あくまで相対的な比較の根拠として


この連載では何度もリスクという言葉が使われているが、私が委員を務めている総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会自主的安全性向上・技術・人材ワーキンググループでは、福島第一原子力発電所のような事故を2度と起こさないために、現在リスク情報を活用した意思決定に関した議論を行っている。このRisk Informed Decision Making(RIDM)の概念は、原子力分野に限らず合理的な規制を実現するために広く適用されることが期待されている。
しかし、従来の規制の枠組みは主に決定論的な考え方に基づいており、一般的なリスク概念の理解レベルが低い現状では、RIDMの導入に向けて克服しなければならない課題も多い。

・ 【EWN】LNG・原油の安値局面は当分継続する見通し 2017/04/21

トランプ政権の対イラン政策が不安定要因


昨今のOPECとロシアの協調減産発表にもかかわらず原油価格が一向に上昇しない。減産合意直後に、IEA(国際エネルギー機関)が減産は結構よく守られているとの推定を発表したため、早々にバレル60ドル台までの上昇を見込んだ専門家もいたが、見事裏切られた格好だ。
そもそも、OPECが組織としての減産を通じて、価格上昇や維持に長期間成功したことは歴史上一度もない。これは、初歩のミクロ経済学が教えるところの「カルテルは裏切りのインセンティブに満ちた脆弱(ぜいじゃく)なもの」と言う定理の典型のようなカルテル組織がOPECであり、実際の価格の守護役は、極論すればサウジの単独原産のやせ我慢のみであって、サウジも長期やせ我慢には耐えられないし、今回もその例に漏れないと多くの市場参加者から見られていることが一因だ。

・ 【スポット解説】容量市場創設の検討を広域機関が経産省に要請 2017/04/21

電力広域的運営推進機関(広域機関)は3月30日、電気事業者から提出された計画をとりまとめ、2017年度の供給計画を経済産業相に提出した。電気事業法29条2項の規定により、広域機関は業務指針やこれまでに得られた知見などを踏まえて、供給計画の提出に合わせて経産相に意見を述べることができる。17年度計画では、今後10年の間に供給予備率が適正値から下がると予想されることから、容量市場の創設など3点について対応を求めている。

・ 東京電力が改革断行に経営陣を一新 2017/04/11

会長に「日立V字回復」の立役者・川村氏


東京電力ホールディングス(HD)は4月3日、記者会見を開き、会長に川村隆・日立製作所元会長、社長に小早川智明・東電エナジーパートナ(EP)社長が就く人事を発表した。6月に開かれる株主総会と取締役会の了承を経て就任する。數土文夫会長は退任し、廣瀬直己社長は新設の副会長(福島総括)に就く。
またパワーグリッド(PG)、フュエル・アンド・パワー(F&P)、EPの各カンパニーのトップと社内取締役も一新(表参照)。新体制で、16兆円にも上る福島第一原子力発電所事故関連費用の捻出など、山積する課題に挑むことになった。
 会長に就く川村氏は1962年に東大工学部電気工学科を卒業し、日立に入社。重電部門を歩み、姫路第二発電所6号機や島根原発1号機などの開発に携わっている。副社長を経て2003年にいったん退任。子会社の会長に就いたが、09年、リーマンショックなどの直撃を受け悪化した日立の経営再建のために呼び戻された。経営効率化、リストラなど、やるべきことのリストを100日でまとめ、スピード感を持って再建に挑み、同社の「V字回復」の立役者と呼ばれている。また、昨年10月に経済産業省が立ち上げた東電改革・1F問題委員会の委員を務め、自らの経験を踏まえて議論で主導的な役割を果たしたと言われている。

・ 【エネルギーを見る眼】経済の転換で変貌する中国のエネルギー事情 2017/04/11

高まる非化石燃料のシェア


経済の転換・産業構造の高度化に伴い、中国のエネルギー情勢は大きく変化してきている。エネルギー・資源多消費産業の生産能力の削減などからエネルギー情勢の変化を
中国のGDP実質成長率は、2011年以降大幅に下降しており、11年から14年までは年平均8%にダウンし、さらに15年に7%を割って6.9%となり、16年も6.7%に減速している。産業別付加価値の増加率も11年から大きく変化。第2次産業、3次産業の付加価値の増加率は10.3%、9.4%から14年には6%、8.3%まで下がり、 15年に鉱工業生産は過剰設備・余剰生産能力の拡大や在庫削減に伴い、前年比1.3ポイント減の6%と、同統計が始まった1998年以来最も低い水準になっている。

・ 【EWN】スマートメータ―活用でCO2削減 目標を達成へ 2017/04/11

英国事業者が図るマネジメントサービス


英国では2020年までに家庭用・小規模商業用の電力・ガス需要家に約5300万台のスマートメーターを導入する目標を掲げている。その背景として、スマートメーターの導入によって省エネやデマンドレスポンスなどのエネルギーマネジメントサービスが普及することにより、CO2排出の削減目標の達成に近づける狙いがある。加えて、小売り事業者にとっては、導入により従来型メーターで発生していた検針や管理、供給者変更などのコストの削減が期待できるという事情がある。
これまで多くの小売り事業者は四半期ごとの料金請求と立会検針を実施してきたが、顧客が不在の場合も多く、検針率が低いことが課題であった。英国ではメーターが屋内に設置されることが一般的で、EDF エナジーでは検針率が約50%であり、顧客不在の際は顧客自身が検針を行うケースも見受けられていた。

・ 【スポット解説】透明な石油価格確立に向け経産省がガイドラインを策定 2017/04/11

経済産業省は3月24日、石油流通の透明・公正化に向け、元売り会社と系列ガソリンスタンド(SS)や特約店との取引に関する「ガソリン適正取引慣行ガイドライン」を策定した。総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)資源・燃料分科会が2016年7月に公表した中間論点整理で、「ガソリンなどの石油製品の流通における卸取引の透明化・適正化について議論を深め、事業者に対するガイドラインの策定を進めるべき」と提言。これを受けて、16年秋から石油精製・流通研究会で検討してきた。

・ 危機に瀕する日本の原子力産業 2017/04/01

東芝はウエスチングハウスを「損切り」へ


東芝は米国子会社のウエスチングハウス社(WH)について、米連邦破産法11条の適用を申請する。現在、米国内で4基の原子力発電所を建設するWHは、工事の遅れなどから損失が拡大し、その額がどこまで増えるか見えていない。破産法が適用されれば損失額が確定し、また東芝は同社を連結から外すことができる。
WHが事業を継続するには他企業からの支援が必要となり、既に韓国・中国企業の名が取りざたされている。一方、原子力技術流出の心配があり、わが国の原子力産業の弱体化も避けられない。今後の行方を懸念する業界関係者は多い。
WHを支援する企業として、まず明らかになっているのは、韓国電力公社(KEPCO)だ。東芝は英国仏エネルギー建設会社のエンジー(ENGIE)社と共に、英国中部のムーアサイド原発に原子炉を3基つくる予定があるニュージェン社に出資している(株式の6割を保有)。KEPCO首脳は2月、その株式を取得する交渉をしていることを明らかにした。

・ 【エネルギーを見る眼】大型炭素税の導入は温暖化対策に効果あるか 2017/04/01

部門別・燃料別の政治的配慮が必要


経済全体のCO2排出に一定の税率を以て大型炭素税を導入しようとすると、どのような政治的配慮が必要になるだろうか。
家庭部門ではエネルギー消費の大半は電気とガスであって、石油は減少傾向にある。現在、電気とガスはサービスあたりのCO2排出量ではしのぎを削っている。すると、電気とガスの間では、代替が起きるとしても、CO2削減は量としてはあまり期待できない。
石油については、高い税率を課するならば、もちろん価格効果も代替効果も発生すると思われるが、これはありそうにない。というのは、家庭用の石油については、政治的配慮によって、高い炭素税を課することは難しいからだ。
石油は、まだ暖房用途に多くが使われている。特に、これは北海道などの寒冷地で家計に影響する。これを価格効果で減らせるだろうか。価格効果というと、無色透明な感じがするが、実際には「貧乏人は使うな」というに等しい残酷なものになる。現実には、暖房用の石油は減・免税にせざるをえないだろう。このような政治的配慮は現実には避けて通ることが難しい。

・ 【EWN】石油経済から投資国家へ変貌するサウジアラビア 2017/04/01

米国とサウジを仲介したIT業界の“風雲児”


世界最大の国営石油会社、サウジアラムコの株式公開(IPO)は早くとも2018年後半以降、おそらく19年以降になると言われている。上場時価総額は約230兆円ともみられ、日本側には東京にも上場場所を誘致したい意向がある。サルマン国王が来日時にこれをお土産とし、東京での上場を発表する可能性もあると言われていたが、実際は、東証、経済産業省とアラムコで東証上場についてのIPOの共同研究会をつくることになっただけだった。
サウジは国家収入の80%を石油の輸出に依存しているため、原油安の影響で財政は赤字が続く。そこで昨年ムハンマド副皇太子が「サウジビジョン2030」を発表し、その中で「脱石油経済、投資国家への構造改革が重要」と唱えた。その要がサウジアラムコのIPOである。想定される上場取引所はニューヨーク、ロンドン、アジア(1カ所)なので、東証は難しいと噂されているが、米国とのすき間風によりニューヨークが外されれば、東証の可能性も出るとも言われている。

・ 【スポット解説】福島事故のリスクを遮断 東電「新総特骨子」明らかに 2017/04/01

東京電力グループの改革の新たな方向性が示されている。原子力損害賠償・廃炉等支援機構と東電ホールディングス(HD)は3月22日、新・総合特別事業計画(新総特)改定版の骨子を公表した。
昨年12月に経済産業省の「東電改革・1F問題委員会」は、福島第一原発事故関連費用の総額を21兆5000億円とし、そのうち東電HDが負担する額として約16兆円と示した。改革委員会は16兆円を年間約5000億円を見込む「改革益」で賄うことを提言。原子力や送配電部門で他社と共同事業体をつくることで、資材の共同調達などでコストを削減し、また将来の海外展開などにより利益を生む体質に変わることを求めていた。

・ 環境省が石炭火力新設に難色 2017/03/21

環境アセスで「蘇我火力」に異議


中国電力とJFEスチールが千葉市に建設予定の出力107万kWの大型石炭火力「蘇我火力発電所」の計画段階配慮書について、山本公一環境相は3月10日、環境影響評価法に基づく意見書をまとめ、世耕弘成経済産業相に提出した。パリ協定締結後初の石炭火力の新設アセスであり注目を集めたが、内容は「事業見直しも含めた再検討を求める」と厳しいものになっている。
蘇我火力発電所は、中国電力が主体となって設立する特別目的会社がJFEスチール東日本製鉄所(千葉地区)の構内に石炭と副生ガスを燃料とする火力発電所を建設するもの。発電は最新鋭とされる超々臨界圧発電方式を採用。同所内の既設の石炭インフラを有効活用する計画だ。着工は2020年、運転開始は24年としている。

・ 【エネルギーを見る眼】原子力理解に欠かせない ステークホルダーの定義 2017/03/21

暴論がまかり通らないように


ステークホルダー(意訳=利害関係者)とは誰なのかと今あらためて思う。1月17~19日、パリで経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の主催する国際会議「原子力の意思決定に関するステークホルダーとのかかわり」が開催された。スピーカーやモデレータとして登壇した知人数人から伺った話や、会議後公開された資料などによると、まずそもそもステークホルダーが誰(何)かは場合により違うので、その定義から明確にせねばならない、とのことであった。
さらに、ステークホルダーとの議論を何のためにするのか、その目的を明確に持つことが必須であるとも指摘された。目的が明確であれば、おのずとステークホルダーの定義も明確にせざるを得ない。一般市民への原子力の重要性の浸透を促し、原子力エネルギーが社会から支援される一助とするためであれば、対象は立地地域に限らない一般市民である。事業者が自らの活動を認めてもらい、事業を拡大発展していくためであれば、対象は規制機関を含む電気事業管轄の官庁や取引先や顧客となるであろう。

・ 【EWN】LNG仕向地条項撤廃のもう一つのメリット 2017/03/21

これまで、長年にわたり欧州勢よりもかなり高いLNGを買わされてきた日本は、近年大手の買い手だけでなく経産省も巻き込んで、LNG輸入価格の低位安定化の方策を鋭意模索してきた。
何しろ、3.11直後の原発全面停止の時期には、最高で20ドル/100万BTU(原油換算約バレル120ドル)以上、通年でも17ドル/100万BTU(原油換算100ドル強)という同時期の欧州に比べると2倍前後もの、とんでもない高価格で輸入せざるを得なかった。このため、国富が不当に大幅流出し、電気料金や電力・ガス会社の料金に反映されて消費者全般の負担増となり、ないし電力・ガス会社の経営にも大きな負の影響を与え、ひいては日本経済全般の長引く不調の要因にもなった。

・ 【スポット解説】開発停滞で油価急騰も IEAが楽観論に警鐘 2017/03/21

国際エネルギー機関(IEA)は3月6日、2022年までの石油の需給動向についてのレポートをまとめた。需給では、昨年の石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC加盟国と減産での合意により、最大日量180万バレルの生産削減が見込まれている。一方で、需要は堅調に増える見通しだ。
レポートでは米国でのシェールオイルの生産回復などもあり、原油価格の行方は流動的と分析。だが、急騰のリスクは付きまとっており、IEAは重要なメッセージとして、「価格急騰のリスクを避けるために、開発に多くの投資が必要になっている。油価の行方について、市場は楽観的すぎる」と警鐘を鳴らしている。

・ 電力市場「詳細設計」の議論開始 2017/03/11

総合エネ調の作業部会が初会合


総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会(TF、座長=横山明彦・東大大学院教授)の初会合が3月6日に開かれ、今後の電気事業の市場整備の方向性などを議論した。
村瀬佳史・電力ガス事業部長は冒頭で挨拶し、TFの設立の背景について「電力システム改革が進められる中、昨年4月に電力小売り全面自由化が始まった。自由化全体では新電力の比率が8%に達し一定の成果が得られたものの、小口分野の切り替えは3%にとどまっている。さらに競争を加速化させていく必要があり、卸電力市場の活性化のため、環境整備を進めていく必要がある。ベースロード電源市場などはしっかり制度設計しないと魂がこもらない。徹底的に議論してほしい」と語った。

・ 【エネルギーを見る眼】地学と理学の狭間に ガウジ(粘土層)あり 2017/03/11

電位をモニタリングすることで地震予知も


地下の活断層がいつ動き出すのか。東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、運転を停止したままの原発。それを再稼働させようとするとき、最初の関門が活断層問題だ。「極端な話、地球物理学者は1億年単位で考え、地質学者は100年単位で推理する」と、知り合いの測量会社技師が皮肉を込めていう。すると「いや、地質学者だって1000年、1億年単位で考えるサ」と別の知人が反論する。
1億年先まで考えれば、断層が動いて地震が発生する確率は大いに高くなる。逆に100年単位でみれば、確率は一挙に低下する。その狭間で測量技師たちは揺れ動き、その雇用主の電力会社も身動きでいない。そこに「ガウジ(粘土)の電位変移」という新たな物差しが現れた。

・ 【EWN】規制州でガス事業を買収 「安定収益」図る米大手電力 2017/03/11

需要動向で供給を発電と小売りに分散も


米国では再生可能エネルギー導入量の増加やシェールガス革命に伴う天然ガス価格の低迷により、2009年ごろから卸電力価格の下落が続いている。
米国の大手電力会社の多くは、持ち株会社として傘下に規制事業(送配電事業、規制州における発電・小売事業)と非規制事業(非規制州における競争的発電・小売事業)を保有しているが、依然として卸電力価格の見通しが不透明な中、「安定収益の拡大」を目指して、規制事業である配ガス事業を主に営むガス配給事業者を買収する大手電力会社が現れてきている。
環境規制強化と再エネ優遇の側面が強かったオバマ政権下では、石炭火力の閉鎖、ガス火力と再エネの増加が顕著であった。トランプ政権下では環境規制は弱まるとみられているが、環境性だけでなく経済性でも石炭火力より優位になりつつあるガス火力は引き続き増加するとみられている。

・ 【スポット解説】環境省の温暖化長期ビジョン 炭素価格付けは両論併記へ 2017/03/11

2050年以降の地球温暖化対策の戦略を議論してきた中央環境審議会・長期低炭素ビジョン小委員会は、3月1日、取りまとめ案を示した。焦点だったカーボンプライシング(炭素の価格付け)については「脱炭素社会実現に向けて有効かつ必要」と記載。一方、前回(2月3日)の会合では、その根拠としてカーボンプライシングに肯定的な研究結果などを多数引用していたが、これに経済界が強く反発したことから、最終的な案では否定的な意見も追記し、両論併記に落ち着いた。1日の会合では委員がおおむね了承し、次回会合が開かれる16日にも最終的に取りまとめる予定だ。  

・ 注目集まるトランプ政権の原子力政策 2017/03/01

原子力協定の改定で問われるプルバランス


米トランプ政権の政策は、大統領自身の性格によるのか予測が難しく、不安と懸念が抱かれている。エネルギー政策については、軍事利用は別として、原子力エネルギーに言及したことはない。関係閣僚として国務長官、エネルギー庁長官、環境保護庁長官は指名されたものの、各組織の幹部の任命はこれからで相当の時間がかかるので、原子力を含めエネルギー政策の概要が明らかになるのは大分、先のことになるだろう。
今後の米国の原子力政策を占う手掛かりは、伝統的な政策(これはトランプ大統領の場合、無視する可能性も否定できないが)、トランプ氏自身の選挙戦でのエネルギー・環境問題についての発言、政策移行チームの動き、関係閣僚の背景くらいである。それから浮かびあがる点を分析してみよう。
トランプ大統領は、新政権のエネルギー政策として次の4点を示している。①エネルギーの自給率を高め、中東原油への依存度を減らす、②地球温暖化には懐疑的でありパリ協定には極めて消極的、③石炭、石油、ガスなど化石燃料に傾斜している、④エネルギーに関する規制を緩和する――。

・ 【エネルギーを見る眼】幻の原子力防災論文 2017/03/01

原子力事故の被害額を想定


昨年12月、経済産業省の有識者会議は、福島第一原発事故への対応費用が従来見込みの11兆円からほぼ倍の約22兆円に増大するとの見通しを示した。 事故発生当時から、対応費用が増える見込みが報じられるたびに、未発表に終わった学友の論稿を思い出していた。時期を逸したかもしれないが、エネルギー政策を研究する者の間で、原子力事故の被害規模想定についてどのような議論があったか、紹介したい。
京都大学エネルギー科学研究科のエネルギー政策学ゼミに参加していた頃、ある学友は、国の原子力防災拠点整備に民間企業で関わった経験から、原子力防災投資をどのように評価するかという問題意識で学位論文を書こうとしていた。その一部として、確か2008年から09年にかけて、防災投資の費用対効果をどのように評価するか、というテーマの草稿をゼミで何回か発表した。

・ 【EWN】疑わしいロシア国営石油の株式購入によるメリット 2017/03/01

より投資効果が高い保有プロジェクトの拡大


ロシアの国営会社の株式を買って大丈夫か。この疑問は普通の経済を理解する投資家がロシアのカントリーリスクを考えれば当然のことだ。 NHK の衛星放送で2017年1月15日に放送された「ドクキュメンタリーWAVE マイホームを奪わないで」が現在のロシア一般国民の生活苦についてルポしている。
08年のリーマンショック以前、数年間に民間銀行がマイホームローンを積極的に売り出した。それも、低給与や資産の薄い人たちに対して、ルーブル建てではなく、ドル建てやユーロ建ての住宅ローンだった。07年ごろにはルーブルの為替レートも安定しており、中央銀行もルーブルの為替安定性については心配ないとしていたそうだ。

・ 【スポット解説】柏崎刈羽再稼働が進展か 米山知事の姿勢が軟化か 2017/03/01

東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼動について、新潟県の地元同意の行方が注目されている。
昨年10月の県知事選では原発再稼動に慎重な米山隆一氏が当選。一方、直後の11月に行われた柏崎市長選では新人の桜井雅浩氏、同じく刈羽(かりわ)村長選では現職の品田宏夫氏が無投票で5選を果たした。櫻井氏、品田氏は再稼働を否定しておらず、2つの違う民意が選挙で示される中で、知事の考えに軟化の気配が出てきたとの指摘がある。

・ トランプ政権のエネルギー・環境政策を占う 2017/02/01

化石燃料を重視、温暖化対策は大きく後退も


トランプ氏の選挙公約である「アメリカ第1エネルギー計画(An America First Energy Plan)」や「米国を偉大にするための100日行動計画(100-day Action Plan to Make America Great Again)」を読むと、エネルギー独立の達成、国内石油・石炭・天然ガスなど化石燃料資源の再開発、開発のための連邦所有地の開放、エネルギーコストの低減、オバマ政権下でのエネルギー関連規制の緩和・撤廃などを列挙している。
また選挙中の遊説でトランプ大統領は気候変動への懐疑を掲げ、パリ協定の脱退を示唆した。共和党の大統領候補になる前は、ツイッターなどで「気候変動問題は中国が米国の競争力をそぐためにつくりあげたものだ」と放言していた。

・ 【エネルギーを見る眼】核のゴミの処分方法 2017/02/01

廃棄物を1000年単位で管理できるか


原子力発電の再稼働問題が議論されており、地震や津波などの自然災害に対する安全性の向上の問題がクローズアップされているが、今後も長期的に原子力エネルギー使い続けるべきか否かという問題を考えた場合、使用済み核燃料をどのように扱うべきかといういわゆる「核のゴミ」の問題が大きな課題とて残る。

・ 【EWN】産油国が望む「60ドル」の価格水準 2017/02/01

米、サウジ、ロシアに価格決定の主導権


2016年11月30日の石油輸出国機構(OPEC)総会での協調減産決定後、市場の供給量は、協調減産側のサウジアラビア、ロシアとシェールオイルの増産調整による価格決定権を握った米国の3大産油国による価格の調整メカニズムにより決定されることが明確になった。
一般の米国民にとっての原油価格は、ガソリンなどの燃料油が上昇しないような価格が望ましいと考えられている。エネルギー産業界としては海外を中心に開発生産を行っているメジャーなどの企業以外では、在来型の原油生産者は、メキシコ湾やアラスカなどでの深海、極地の開発でない限り、もし60ドルになれば、生産コストより売り値が高く、設備・掘削投資の償却も可能で平準化した利益が上がることになり望ましい。もちろん生産者にとっては高いに越したことはないが、国民生活上の観点からは及第点だろう。

・ 【スポット解説】エネルギー企業の再編・統合 2017/02/01

首都圏の都市ガス販売が軸に


エネルギー企業の再編・統合の議論が今年、本格化する。昨年12月、経済産業省の「東京電力改革・1F問題委員会」は、福島第一原子力発電所事故の賠償、廃炉などの費用で今後30~40年間に東電が負担する金額として、約16兆円を提示した。費用をまかなうために東電は年間5000億円の「改革益」を目指すが、単独で稼ぐことは難しく、経産省は他企業との再編・統合を積極的に進める方針。

・ 資源権益の確保、福島復興を重視 2017/01/21

17年度エネルギー関連予算を閣議決定


政府は昨年12月22日、2017年度予算案を閣議決定した。経済産業省のエネルギー特別会計総額は16年度当初予算比1.1%増の8474億円を計上。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出資金など資源開発予算や福島復興対策などを拡充する。
エネ特会のうちエネ需給勘定は4.4%減の6210億円を計上した。燃料安定供給対策は1.5%減の2779億円、エネ需給高度化対策は6.7%減の3431億円となった。
前者の柱となるのが石油・天然ガス資源開発権益の拡大。16年11月のJOGMEC法の改正を踏まえ、同機構への出資金として、新たに551億円(前年度560億円)、海外調査・情報収集費用89億円(同21億円)を計上した。経産省は既に第2次補正予算で出資金など128億円、財投1500億円を計上済みで、欧米メジャーだけでなく中国、インドからも大きな遅れをとった資源権益確保に全力を挙げる。また、国内の石油天然ガス地質調査・メタンハイドレート研究開発委託費として242億円を新規計上。国内での開発にも力を入れる。

・ 【エネルギーを見る眼】非化石電源の普及進む 中国のエネルギー事情 2017/01/21

環境対策で再エネ、原子力を積極的に推進


中国は、経済の減速や産業構造的転換(産業・工業構造の付加価値・クグリーン 化)が進んでいる。そのため世界的な原油安や供給過剰の中、2016年のエネルギー需給の動向が注目されていた。需給の状況および問題点を見てみたい。
16年に一次エネルギー消費総量は30億5000万t(石油換算)に達し、前年比1.4%増加した。一方、生産量は24 億100万tとなり、需給ギャップは10年前の5000万t台から5億4900万tにまで拡大している。
生産のうち、石炭の生産量は前年比8.5%減の16億781万tとなった。原油も6.9%減で1億9980万tと2億tを割った。一方、天然ガスの生産量は2.4%増の1377.3億㎥となった。化石エネルギーの生産量が減少あるいは伸び悩む一方、非化石エネルギーは3億8949万tと11.5%増加。一次エネルギー供給の16.2%を占めている。

・ 【EWN】米トランプ政権でガスが勝ち組に? 小型LNGにも注目 2017/01/21

1月20日、米国でトランプ政権が誕生した。いろいろと悪評や懸念の声も高いが、これが現実だ。少なくとも彼の主張の一部は合理性もあるので、エネルギーに関しても、必ずしもリスクだけではないと期待するしかない。
日本はエネルギーについて、3E+S(経済性、エネルギー安全保障、環境低負荷+原発の安全性)が重要としているが、最初の注目点は、経済性だ。  米新政権によって米連邦レヴェルでの種々の開発規制が緩和される見込みで、シェール・オイル・ガスの増産傾向を招来することになる。米国内のみならず、世界の石油・LPガス・天然ガス価格は低位安定化の方向へ向かう可能性が高い。これは、日本にとって好ましいシナリオだ。

・ 【スポット解説】改正FIT法が見据える 再エネの自立的普及拡大 2017/01/21

2012年7月にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が4月1日、大きな転換点を迎える。ポストFITを見据え、新たな政策を盛り込んだ改正法が施行されるのだ。長期安定電源としての確固たる地位を確立できるか。17年は、再エネ政策にとってもまさに正念場の年となりそうだ。
改正法の主眼は、従来の制度で問題となっていた太陽光偏重や国民負担の増大を解決することにある。エネルギー基本計画が目指す、30年度の電源構成に占める再エネ比率22~24%を達成するためにも、最大限の導入と国民負担抑制を両立させなければならない。そのためには、導入コストの低減によるFITに依存しない自立的な導入を促さなければならない。

・ 東電、統合で福島関連費用を捻出 2016/12/21

経産省の東電改革提言骨子案まとまる


福島第一原子力発電所事故への責任を果たすための東電改革の在り方を探る、東京電力改革・1F問題委員会で、資源エネルギー庁は12月9日、提言骨子案を示した。
福島第一原発の廃炉、賠償、除染の総額は、従来の試算の11兆円を大幅に上回る21兆5000億円となる見通しを公表。廃炉については管理型積立金制度を創設し、東電は発電や小売りに加え、規制が残る送配電事業の合理化分を優先的に充てる。賠償は、電力システム改革貫徹のための政策小委員会で決めた、賠償制度がなかった2011年より前を「過去分」とし、2兆4000億円を託送料に乗せ、新電力も含めた全需要家から回収する仕組みをつくる。加えて原子力や送配電事業で他社と共同事業体を設立し、さらなる費用捻出を進める構想だ。

・ 【エネルギーを見る眼】ティッピングエレメント 2016/12/21

不連続で大規模な変化への対応


地球温暖化は、CO2などの温室効果ガスが大気中に蓄積され、それが温室効果をもたらすことによって起き、結果としてさまざまな環境影響が起きることが懸念されている。ただし、この過程にはさまざまな不確実性が内包されている。
環境影響としては、長い時間をかけて連続的に起こるものばかりではなく、温度の上昇が一定の閾(ルビ・しきい)値を超えると、不連続かつ大規模な変化が起きるのではないか、という可能性も検討されている。そのような事象はティッピングエレメントと呼ばれている。

・ 【EWN】化石燃料重視を打ち出すトランプ政権のエネ政策 2016/12/21

再エネは税制優遇を廃止も


11月8日に行われた米国大統領選挙は、米国のほとんどの報道や政治評論家の分析で直前までヒラリー・クリントン氏の勝利を予想していた。その中で、9日(東部時間)夜中にドナルド・トランプ氏の勝利が確定。翌日は米国でも多くの人が驚きの朝を迎えたものと思われる。
報じられている通り、今回の勝利は、共和党が民主党に勝利したという単純な構図ではなく、「反エスタブリッシュメント(既存の政治エリートに対する不満)」が原動力となっているものとみられている(事実、連邦議会の議員選挙では、上下院とも、民主党がわずかに議席を増やす結果となった)。

・ 【スポット解説】トランプ政権で注目される 2016/12/21

日米原子力協定の行方


次期米大統領に選出されたトランプ氏は、米国の国益を重視するスタンスを鮮明に打ち出している。日米関係も変化は避けられないが、原子力業界関係者は、日米原子力協定についてトランプ氏がどう判断をするのか注目している。1988年に発効した協定は、非核保有国で唯一、わが国にだけ使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮を認め、包括的な同意を付している。現在の協定はトランプ政権の下、2018年7月に30年間の満期を迎える。
今後は、次の3つの選択肢がある。①自動延伸条項(16条)に沿って内容をそのままに自動継続、②新規更新、③事前の包括同意を止めて、個別同意に立ち返る――。この3つの中で、業界関係者は核燃料サイクルを国策とする日本として、①が最善と考えている。だが、期限の半年前からの文書による米国からの事前通告で、突然失効するリスクが残る。例えば、トランプ氏がTPPと同様、協定を破棄したいと言い出すこともないとは言えない。

・ ガス託送料金、査定方針を決定 2016/12/11

ヤードスティック方式採用に不満の声相次ぐ


2017年4月にスタートする都市ガス小売り全面自由化に向け、ガス各社が申請した託送料金についての査定方針が決定した。今後はこの方針に基づいて各社が補正申請し、12月下旬にも認可される見通し。大手電力などの新規事業者は、この託送料金を踏まえて料金メニューづくりに乗り出すことになり、年明けには本格的な営業活動がスタートすることになりそうだ。
電力・ガス取引監視等委員会の料金審査専門会合(座長=安念潤司・中央大学法科大学院教授)において、8月から東京、大阪、東邦の大手都市ガス3社が申請した託送料金の審査が進められてきた。査定の主なポイントは、経営効率化や高経年対策費、需要開拓費といった、各費目の参入コストの妥当性だ。同会合で決定した査定方針は、監視等委員会や経済産業局などが審査するほかのガス会社の託送申請にも反映される。

・ 【エネルギーを見る眼】ティッピングエレメント 2016/12/11

不連続で大規模な変化への対応


地球温暖化は、CO2などの温室効果ガスが大気中に蓄積され、それが温室効果をもたらすことによって起き、結果としてさまざまな環境影響が起きることが懸念されている。ただし、この過程にはさまざまな不確実性が内包されている。
環境影響としては、長い時間をかけて連続的に起こるものばかりではなく、温度の上昇が一定の閾(ルビ・しきい)値を超えると、不連続かつ大規模な変化が起きるのではないか、という可能性も検討されている。そのような事象はティッピングエレメントと呼ばれている。

・ 【EWN】化石燃料重視を打ち出すトランプ政権のエネ政策 2016/12/11

再エネは税制優遇を廃止も


11月8日に行われた米国大統領選挙は、米国のほとんどの報道や政治評論家の分析で直前までヒラリー・クリントン氏の勝利を予想していた。その中で、9日(東部時間)夜中にドナルド・トランプ氏の勝利が確定。翌日は米国でも多くの人が驚きの朝を迎えたものと思われる。
報じられている通り、今回の勝利は、共和党が民主党に勝利したという単純な構図ではなく、「反エスタブリッシュメント(既存の政治エリートに対する不満)」が原動力となっているものとみられている(事実、連邦議会の議員選挙では、上下院とも、民主党がわずかに議席を増やす結果となった)。

・ 【スポット解説】トランプ政権で注目される 2016/12/11

日米原子力協定の行方


次期米大統領に選出されたトランプ氏は、米国の国益を重視するスタンスを鮮明に打ち出している。日米関係も変化は避けられないが、原子力業界関係者は、日米原子力協定についてトランプ氏がどう判断をするのか注目している。1988年に発効した協定は、非核保有国で唯一、わが国にだけ使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮を認め、包括的な同意を付している。現在の協定はトランプ政権の下、2018年7月に30年間の満期を迎える。
今後は、次の3つの選択肢がある。①自動延伸条項(16条)に沿って内容をそのままに自動継続、②新規更新、③事前の包括同意を止めて、個別同意に立ち返る――。この3つの中で、業界関係者は核燃料サイクルを国策とする日本として、①が最善と考えている。だが、期限の半年前からの文書による米国からの事前通告で、突然失効するリスクが残る。例えば、トランプ氏がTPPと同様、協定を破棄したいと言い出すこともないとは言えない。

・ 資源権益の確保、福島復興を重視 2016/12/01

17年度エネルギー関連予算を閣議決定


政府は昨年12月22日、2017年度予算案を閣議決定した。経済産業省のエネルギー特別会計総額は16年度当初予算比1.1%増の8474億円を計上。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出資金など資源開発予算や福島復興対策などを拡充する。
経産省のエネ特会のうちエネ需給勘定は4.4%減の6210億円を計上した。燃料安定供給対策は1.5%減の2779億円、エネ需給高度化対策は6.7%減の3431億円となった。

・ 【エネルギーを見る眼】非化石電源の普及進む中国のエネルギー事情 2016/12/01

環境対策で再エネ、原子力を積極的に推進


中国は、経済の減速や産業構造的転換(産業・工業構造の付加価値・クグリーン 化)が進んでいる。そのため世界的な原油安や供給過剰の中、2016年のエネルギー需給の動向が注目されていた。需給の状況および問題点を見てみたい。
16年に一次エネルギー消費総量は30億5000万t(石油換算)に達し、前年比1.4%増加した。一方、生産量は24 億100万tとなり、需給ギャップは10年前の5000万t台から5億4900万tにまで拡大している。

・ 【EWN エネルギーワールド・ナウ】米トランプ政権でガスが勝ち組に? 小型LNGにも注目 2016/12/01

国務長官が在籍したEM社は天然ガスを重視


1月20日、米国でトランプ政権が誕生した。いろいろと悪評や懸念の声も高いが、これが現実だ。少なくとも彼の主張の一部は合理性もあるので、エネルギーに関しても、必ずしもリスクだけではないと期待するしかない。
日本はエネルギーについて、3E+S(経済性、エネルギー安全保障、環境低負荷+原発の安全性)が重要としているが、最初の注目点は、経済性だ。
米新政権によって米連邦レヴェルでの種々の開発規制が緩和される見込みで、シェール・オイル・ガスの増産傾向を招来することになる。米国内のみならず、世界の石油・LPガス・天然ガス価格は低位安定化の方向へ向かう可能性が高い。これは、日本にとって好ましいシナリオだ。

・ 【スポット解説】改正FIT法が見据える 2016/12/01

再エネの自立的普及拡大に


2012年7月にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が4月1日、大きな転換点を迎える。ポストFITを見据え、新たな政策を盛り込んだ改正法が施行されるのだ。長期安定電源としての確固たる地位を確立できるか。17年は、再エネ政策にとってもまさに正念場の年となりそうだ。
改正法の主眼は、従来の制度で問題となっていた太陽光偏重や国民負担の増大を解決することにある。エネルギー基本計画が目指す、30年度の電源構成に占める再エネ比率22~24%を達成するためにも、最大限の導入と国民負担抑制を両立させなければならない。そのためには、導入コストの低減によるFITに依存しない自立的な導入を促さなければならない。

・ 米新政権誕生で脱炭素社会に暗雲? 2016/11/21

注目集まるトランプ大統領のエネルギー環境政策


11月8日、米大統領選の投開票が行われ、大方の予想を裏切り次期大統領にドナルド・トランプ氏(70)が就任することとなった。大統領選と同時に米連邦議会選挙も行われ、上、下院とも共和党が多数派を占めた。8年ぶりの共和党政権、そして政治家・軍幹部経験のない異色の大統領が誕生する。
今年6月にイギリスのEU離脱を決めた国民投票を上回る衝撃が世界を駆け巡ったが、この〝トランプショック〟は気候変動問題とも無関係ではない。くしくも大統領選は国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)の期間中に行われた。トランプ氏勝利のニュースが駆け巡った会場では、パリ協定の早期発効のお祝いムードから一転、不安や動揺が広がり、米国関係者が他国への説明に追われた。ヒラリー・クリントン氏(69)勝利を想定してさらなる温暖化対策推進を訴えようと予定されていた集会では、急きょトランプ氏批判に趣旨を変更する事態もあった。

・ 【エネルギーを見る眼】世界の中心でエネルギーを語る 2016/11/21

世界エネルギー会議(WEC2016)に参加して


本稿は副題の通り、イスタンブールで10月9日~13日に開催された国際会議の参加報告である。そのままではあまりに素っ気ない表題になるので、映画化された一昔前の小説の題名をもじってみた(ただし、小説も読んでいなければ、映画も見てはいない)。
なぜイスタンブールが世界の中心なのか、首を傾げる向きが多いかもしれない。しかし、歴史をひもとけば、西暦395年のローマ帝国東西分裂後、東ローマ帝国の首都となったコンスタンティノープルであり、キリスト教正教会の本拠地でもあった。ローマが西ヨーロッパ世界の中心であったのに対し、東ヨーロッパ世界の中心であったと言える。

・ 【EWN】普及の遅れが懸念される 英国のスマートメーター 2016/11/21

設置義務がある小売り事業者の処分も


英国におけるスマートメーターの導入は、2009年12月に英国気候変動省(DECC)より発表されたスマートメーター実施プログラム(SMIP)に基づき進められている。このプログラムに基づき15年から本格設置が始まり、20年までにすべての一般家庭と小規模企業に約5300万件を導入する予定となっている。
スマートメーターの導入は、需要機器の負荷制御に代表されるデマンドレスポンスサービスや蓄電池、仮想発電所(VPP)、その他さまざまな新ビジネスエリアと密接に関連している。そのため、顧客へのアプローチのためにスマートメーターを積極的に活用しようとする小売り事業者の動きが活発となっている。一方、ここにきてスマートメーターの本格的な普及に立ちはだかる課題も見え始めている。

・ 【スポット解説】米国のエネルギー業界 トランプ大統領を歓迎 2016/11/21

米国のエネルギー産業界がトランプ氏の次期大統領就任を歓迎している。民主党政権が地球温暖化防止や自然保護を重視していたのに対し、共和党が米経済の回復に力点を置く産業界寄りの政策を打ち出しているためだ。トランプ政権で米国のエネルギー産業がどう変貌するか、注目が集まっている。   米原子力エネルギー協会(NEI)のコースニック次期理事長は大統領選翌日の11月10日、トランプ氏と副大統領に就くペンス氏に祝意を伝えた。コースニック氏は「選挙期間中、トランプ氏はより多くの原発を建設し、エネルギー供給を増大させることの必要性を訴えていた。成功した不動産業者として、トランプ氏は国に大きな利益をもたらす経済成長の土台となる信頼できる電源の必要性を理解している」と新政権への期待を語った。

・ COP22開幕、パリ協定補完ルール策定へ 2016/11/11

国内では経産・環境省の対立が熾烈に


COP22(気候変動枠組条約第22回締約国会議)が11月7日から18日にかけて、モロッコのマラケシュで開催されている。この会合では、透明性を確保するためのガイドラインなど、パリ協定を補完する詳細ルールや指針などの整備に乗り出す。一方、国内では2030年以降の中長期の地球温暖化対策の検討を進めている経済産業省と環境省の検討会がそれぞれ年内の取りまとめに乗り出している。
COP22は、昨年12月のCOP21でパリ協定が採択されてから初めての締約国会議として、パリ協定を補完するガイドラインなどの検討に臨む。具体的には、①報告・レビュー制度における透明性確保の枠組みに関する詳細ルール、②世界全体の実施状況を検討する仕組み(クローパルストックテイク)の方法、③緩和分野(各国の約束の作成・提出・維持)に関するガイドライン、④適応報告書に関するガイドライン、⑤市場メカニズム運用指針、▽途上国支援(資金、技術、能力開発)の実施に向けた議論――などを予定。いずれも会合では策定に向けた作業計画の決定などにとどまり、本格論議は来年度以降になるとの見通しだ。

・ 【エネルギーを見る眼】連系線利用見直しでの 大手電力の不誠実な主張 2016/11/11

電気のプロは矜持を持って発言を


明らかに不公正で非効率的であるにもかかわらず、旧一般電気事業者を中心とした既得権益者の抵抗によって長い間停滞した、先着優先に基づく連系線利用ルールの改革がようやく始まった。より公正で効率的なオークションを基本としたルールが整備される方向で議論が進んでいる。今後の最大の争点のひとつは「既得権益」の保護期間である。既に登録した者は、連系線の無償利用を前提に投資をしている。経過措置なしでは投資収益の予見可能性を低め、今後の投資に悪影響を与えかねないとの理由で、一定の経過措置を要求する声が出ている。
実際広域機関の検討会に参加している旧一般電気事業者3社は10年あるいはそれ以上の経過措置を要求している。しかし彼らにこれを主張する資格はあるのか。

・ 【EWN】国際会議を利用する OPECの目論見 2016/11/11

定例総会で減産計画の仕上げへ


9月26日~28日にアルジェで国際エネルギー・フォーラム(IEF)が開催された。IEFは、すべての主要産油国から閣僚クラスが集まる機会であり、OPEC(石油輸出国機構)加盟国はこの機会をとらえ臨時総会を行った。8月12日サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が、「原油市場安定に向けて産油国が話し合う機会が生まれた」と発言した際には、油価は同発言に反応。8月2日の1バレル当たり39.5ドル(WTI)から12日には44.49ドルに上昇した。
しかし、それでも大方の関係者は、会合が持たれても合意に至るとは予想していなかった。9月28日の減産合意を関係者が驚きをもって受け止めたことにはこうした背景があった。

・ 【スポット解説】発電事業者が20年度から 託送費用の一部を負担へ 2016/11/11

経済産業省が託送コストの一部を発電事業者に負担させる仕組みづくりに向けた検討に入っている。
電力・ガス取引監視等委員会・制度設計専門会合の下に、送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討ワーキンググループ(WG)を設置。今年度中に基本方針をとりまとめて同専門会合に報告、2017年度末までに省令や料金算定の手法確立を含めた詳細な制度設計を固め、20年度の導入を目指している。
現在託送にかかる費用については、需要家への電力供給を担う小売り電気事業者が送配電網を運用する大手電力会社に支払っている。家庭や企業が小売り事業者に支払っている電気料金の3~4割を託送料金が占めている。一方、発電事業者は託送コストを負担していない。

・ 米国で23年ぶりに新設原発が稼働 2016/11/01

ワッツバー原発2号機が運転開始


米国テネシー州で建設が進められてきたテネシー川流域開発公社(TVA)ワッツバー原子力発電所2号機が10月3日、商業運転を開始した。米国で新規の原子炉が商業運転するのはコマンチェ・ピーク原発2号機(テキサス州)が運転開始した1993年9月4日から23年ぶりとなる。オバマ政権下で、地球温暖化対策、石炭火力の抑制策などが進められ、原発の再評価が進んでいる。ワッツバー2号機の稼働は米国での原子力復活の兆しといえるだろうか。
 ワッツバー2号機は出力121万8000kWのPWR(沸騰水)でGEが原子炉の建造を担当した。 同原発2号機は、1号機と同時に73年に建設がスタートした。しかし79年に発生したスリーマイル原発2号機事故で原子力への風当たりが強くなり、また規制基準が強化され、83年に全体の80%が完了した段階で建設がストップ。しかし、廃炉にはならなかった。

・ 【エネルギーを見る眼】新潟県知事選で示された 「民意」への対応 2016/11/01

信頼される専門家が責任を持って情報発信を


「反原発の神輿に乗って当選したのだから、再稼働を認めることは自分の政治生命を絶つことになることは自分でもわかっているだろう」
このような趣旨の発言を新潟県知事選の結果が明らかになった日の新聞で目にした。鹿児島県知事選挙で起きたことが新潟でも繰り返されたことになる。このような結果が続けば「脱原発」を掲げれば当選できる、逆に原子力に対して好意的な意見を表明することは政治家として命取りになるという認識が定着し、「民意」に対して敏感な多くの政治家がこのリスクを回避することを第一に考えるようになってしまうことが強く懸念される。本稿では新潟県知事選の結果を受けて、「民意」とは何かということを考えたい。

・ 【EWN】時代遅れの観念に基づく エネルギー安全保障論 2016/11/01

問題の大半は消費国内で発生


10月12日午後に東京都心が大停電に見舞われ大騒ぎとなった。原因は周知のとおり、埼玉県新座市の地下送電幹線の火災だ。これについて、一般マスコミの論調は、火災原因となったケーブルの老朽化放置や点検の際の見逃しなど、東京電力の怠慢を論難するものがほとんどだった。(この大停電について、翌日の電気新聞の記事が非常に小さな扱いであったのはご愛嬌だが)
直後の民放テレビの報道ワイドショーで、ある良く知られているコメンテーターが、「そもそも再生可能エネルギーで分散型にしておけば、こういう問題は起きない」という驚愕の発言をしていた。再生可能エネルギーと言ってもさまざまあるが、この御仁の頭にあったのは、間違いなく太陽光パネルか風力発電だろう。

・ 【スポット解説】HFC国際規制の対象に 先進国36年までに85%削減 2016/11/01

地球温暖化効果が高いハイドロフルオロカーボン(HFC)の消費量を段階的に大幅削減していくことが、10月中旬にルワンダで開かれたモントリオール議定書第28回締約国会合(MOP28)で決まった。先進国は2011~13年の平均消費量に対し19年に10%削減させ、そこから段階的に規制を進め、36年には85%削減させる。途上国は2グループに分け、中東の産油国やインドなどは28年から規制を始め、47年に85%減(24~26年の平均消費量比)。中国やブラジルなどは24年から規制を始め、45年に80%減(20~22年の平均消費量比)とした。日本ではヒートポンプ冷凍空調設備などの冷媒としてHFCの利用が拡大しており、国内メーカーへの影響は大きい。

・ 東電改革、事業再編が焦点に 2016/10/21

賠償、除染、廃炉の追加費用の負担を検討


想定を超えて膨れ上がる福島第一原子力発電所事故の賠償、除染、廃炉の費用。これらについて負担の在り方などの検討が始まった。経済産業省は10月5日、「東京電力改革・1F問題委員会」(委員長=伊藤邦雄・一橋大大学院特任教授)の初会合を開催。国による救済ではなく、東電自身の改革や事業再編の具体策を検討し、それにより追加負担を賄う基本方針を確認した。
会合で伊藤委員長は当日欠席した世耕弘成経済産業相のメッセージとして、①検討結果を福島復興や電力改革の制度対応につなげる、②オールジャパンで検討を進める、③委員会で得た提言は国の対応と合わせて実行に移す――を紹介。また経産省事務局は、改革の基本的な考え方を示した(表参照)。この方針を基に議論を進め、年内をめどに提言の原案、年度内に最終提言をまとめる予定だ。

・ 【エネルギーを見る眼】第4次産業革命がもたらす エネルギーの技術革新 2016/10/21

安全保障や環境保全に寄与


昨今、IoT(モノのインターネット)など第4次産業革命によるイノベーションが注目を集めている。イノベーションがものづくり産業、新エネルギー産業などを振興させ、新しいビジネスモデルや経済効果を生み出し、世界経済の成長実現を可能とする。また、技術革新はエネルギー安全保障や環境の保全に寄与する。第4次産業革命の概念と特徴を分析し、エネルギー技術革新および主要国・地域のエネルギー技術革新の戦略を見てみよう。
第4次産業革命は、いつ提起されたのか。それはドイツ発インダストリー4.0に由来する概念である。インターネットなどの情報通信技術(IT)を駆使して製造業と結合し、製造業のイノベーションをもたらすことである。ドイツで2011年に提唱された。スマートグリッド、水素エネルギーなど新エネルギー、炭素繊維など新材料、CO2削減やCO2固定・貯留(CCS)など環境保全技術も含むと考えられる。

・ 【EWN】ニューヨーク州の 制度改革に全米注目 2016/10/21

分散型電源導入に発電・消費方法を変革


再生可能エネルギーを中心とする分散型電源の普及により、既存の電力会社の販売電力量の減少が懸念されるなど、現在、米国の電気事業は大きな転換点を迎えている。
このような懸念を受け、分散型電源の普及が見込まれる地域では、分散型電源を受け入れる立場にある既存電力会社の今後の役割も含めた電気事業規制体制に関する議論が進められている。
中でもニューヨーク州は国内で増え続ける分散型電源、再エネ導入を支えるための系統構築、事業モデルの先進的な検討主体として、カリフォルニア州とならび全米の他州から注目を集めている。

・ 【スポット解説】全面自由化後、高圧市場で 増す新電力の存在感 2016/10/21

4月1日の電力小売り全面自由化から半年が経過した。電力広域的運営推進機関の発表によると、家庭や商店などの低圧需要家約167万件が8月31日までに電力会社を切り替えた。自由化スタート直後は、新聞や雑誌がこぞって取り上げ脚光を浴びたものの、その鎮静化と呼応するように、新電力シェアの伸び率は鈍化しているようだ。新電力各社は、新たなメニューやキャンペーンを契約切り替えの呼び水にしようと、あの手この手の顧客争奪戦を繰り広げている。

・ 経産省、電力市場の活性化に着手 2016/10/11

ベースロード電源市場、原発廃炉の費用負担などを検討


経済産業省は今年4月に小売り全面自由化が施行されるなど電力システム改革が一歩前進したことを踏まえ、さらなる競争活性化、新たな公益的課題への対応方策の検討に着手した。総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)に新設した「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(委員長;山内弘隆・一橋大大学院教授)の初会合を9月27日に開催。ベースロード電源市場の創設や廃炉費用の負担問題のほか、容量メカニズムの導入や非化石価値取引市場の創設など新たな仕組みづくりを行う。
経産省は検討成果を待って、来年の通常国会に電気事業法改正案の提出を目指す。
小委員会の検討課題は次の6項目。①ベースロード電源市場の創設、②連系線利用ルールの見直し、③容量メカニズムの創設、④非化石価値取引市場の創設、⑤廃炉会計制度の在り方、⑥法人事業税の課税方式――。これらは新設する「市場整備WG」と「財務会計WG」で、具体的検討を始める。